ジャック・ペラン : ウィキペディア(Wikipedia)

ジャック・ペランJacques Perrin、1941年7月13日 - 2022年4月21日)は、フランスの俳優・映画製作者。フランス、イタリアで活躍する、端正な顔立ちと繊細な演技で知られる俳優である。映画製作者としても高い評価を得た。

略歴

パリ出身。本名はジャック・アンドレ・シモネ(Jacques André Simonet)。ペランは母方の姓である。祖父はコメディ・フランセーズの演出家、父は同劇団の舞台美術家アレクサンドル・シモネ、母は舞台女優。

パリのフランス国立高等演劇学校(コンセルヴァトワール)で演技を学び優等で卒業。1957年、本名のジャック・シモネ名義で映画デビューしたのち、1960年にイタリアの映画監督ヴァレリオ・ズルリーニの『鞄を持った女』に出演、注目を浴びる。同じズルリーニ監督の『家族日誌』でマルチェロ・マストロヤンニの弟を演じ、世界的に知られた存在になる(マストロヤンニとは1990年に『みんな元気』で再び共演したが、その際は親子の役だった)。

1966年には『半人前の男』と『ラ・ブスカ』の2作品でヴェネツィア国際映画祭 男優賞を受賞(2作品とも日本では未公開)。ジャック・ドゥミ監督の『ロシュフォールの恋人たち』(1967年)や、ボリス・ヴィアン原作の『うたかたの日々』(1968年)にも出演、確かな演技力と美青年ぶりからアイドル的人気を博す。

27歳の時に映画スタジオを立ち上げ、初プロデュース作品となるコスタ=ガヴラス監督の『Z』で1969年度アカデミー外国語映画賞を受賞。その後も積極的に映画製作を行い、『戒厳令』『ブラック・アンド・ホワイト・イン・カラー』など政治的な作品の製作を手掛けた。その傍ら、ズルリーニ監督の遺作となった『タタール人の砂漠』、アラン・ドロン共演の『復讐のビッグガン』、『サロメの季節』などに出演するが、儚げな雰囲気と幼さの残る風貌のためか、青年から大人の男に脱しきれないという感が拭えなかった。しかし、1989年の『ニュー・シネマ・パラダイス』で、成長したトト役を演じ、あらためて存在感を示した。

1995年には、映画誕生100周年を記念した『リュミエールの子供たち』を製作。ドキュメンタリー手法を用いた作品も発表し、1996年には『ミクロコスモス』でセザール賞プロデューサー賞を受賞、2002年には『WATARIDORI』でアカデミー賞ドキュメンタリー長編部門にノミネートされた。

近年は、プロデューサーとしての活躍が多いが、映画出演とともに、80年代半ばからはテレビドラマにも出演しているほか、パリで多くの舞台にも立った。

2022年4月21日、パリで80歳で死去したことが家族によって伝えられた。死因は公表されていない。 4月29日にアンヴァリッドホテルで営まれた葬儀にはコスタ=ガヴラス、アンソニー・ドロン、フロランス・パルリ、ブリジット・マクロン、海洋学者のフランソワ・サラノらが参列、遺灰は海に撒かれた。

2022年3月公開の“Goliath”が最後の出演作となった。

私生活

私生活では三児の父で、長男のマチュー・シモネは写真家で俳優、脚本も書き、監督作品もある。次男のマクサンス・ペランはフランス映画『コーラス』に、三男のランスロ・ペランは『オーシャンズ』に出演している。

姉は女優のエヴァ・シモネ。音楽家で映画監督のクリストフ・バラティエはエヴァの息子で、ジャックの甥にあたる。

主な出演作品

公開年邦題原題役名備考
1960 真実La vérité ジェローム
1961 童貞物語Les nymphettes フェリペ
鞄を持った女La ragazza con la valigia ロレンツォ
1962 家族日誌Cronaca Familiare ロレンツォ
1963 堕落La Corruzione ステファノ
1964 恋のなぎさLa Calda Vita フレディ
1965 七人目に賭ける男Compartment Tueurs ダニエル
1966 ラ・ブスカLa Busca マヌエル ヴェネチア国際映画祭男優賞 受賞(『半人前の男』と共に)
半人前の男Un Uomo a metà ミシェル ヴェネチア国際映画祭男優賞 受賞(『ラ・ブスカ』と共に)
1967 ロシュフォールの恋人たちLes Demoiselles de Rochefort マクサンス
奇襲戦隊Un homme de trop Kerk
未青年La Grand Dadais Alain Quesnard
1968 うたかたの日々L'Écume des jours コリン
ふたりだけの夜明けVivre la nuit フェリペ
1969 ZZ ジャーナリスト 製作・出演
1970 ロバと王女Peau d'ane 王子
1972 戒厳令État de siège 電話オペレーター 製作・出演
1976 タタール人の砂漠Il Deserto dei Tartari Drogo 製作・出演
1980 レッド・ベレー/史上最強の傭兵部隊La légion saute sur Kolwezi
1981 蒼い本能La disubbidienza ダリオ
1982 戦争と名誉L'honneur d'un capitaine カロン
1984 サロメの季節L'Année des Méduses ヴィク
1985 復讐のビッグガンParole de flic ステファン・ライネル警部
1988 カレン族独立戦争/巨象の密林Médecins des homes: Les Karens ジュリアン テレビシリーズ
フォース・オブ・ラブMédecins des homes: Mer de Chine: Le pays pour mémoire ジュリアン テレビシリーズ監督・出演
ニュー・シネマ・パラダイスNuovo cinema Paradiso サルヴァトーレ
1990 ファイナルゾーンFuga dal paradiso Eliseo
1992 タッチ&ダイ/プルトニウム239追跡指令!Touch and Die Steuben テレビ映画
フライト・オブ・ジ・イノセントLa Corsa dell'innocente Davide Rienzi
1993 プロヴァンスの秘密Le Château des oliviers Pierre Séverin 連続テレビドラマ、NHK衛星第2テレビジョンで放映
2000 少女首狩事件Scènes de crimes Commissaire divisionnaire
2001 ジェヴォーダンの獣Le Pacte des loups Thomas Agé
2004 コーラスLes Choristes ピエール・モランジュ 製作・出演
2005 美しき運命の傷痕L'enfer フレデリック
2007 ロンギヌスの槍を追え!La lance de la destinée デヴィッド・レヴィ テレビ・ミニシリーズ
2008 HOLD UP!Hold-up à l'italienne ヴィクター テレビ映画
2018 家なき子 希望の歌声Rémi sans famille 壮年期レミ 日本劇場公開日 2020年11月20日家なき子 希望の歌声(日本公式サイト)

製作

公開年邦題原題担当備考
1995 リュミエールの子供たちLes enfants de Lumière 製作 ドキュメンタリー
1996 ミクロコスモスMicrocosmos: Le peuple de l'herbe 製作 ドキュメンタリー セザール賞プロデューサー賞 受賞
1999 キャラバンHimalaya - l'enfance d'un chef 製作 ドキュメンタリー
2001 WATARIDORILe Peuple Migrateur 製作・総監督・ナレーション ドキュメンタリー
2008 幸せはシャンソニア劇場からFaubourg 36 製作
2009 オーシャンズOcéans 監督・製作 ドキュメンタリー セザール賞ドキュメンタリー賞 受賞
2016 シーズンズ2万年の地球旅行Océans 監督・製作 ドキュメンタリー

参照

外部リンク

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