ジャック・ドゥミ : ウィキペディア(Wikipedia)

ジャック・ドゥミJacques Demy, 1931年6月5日 - 1990年10月27日)は、フランス出身の映画監督・脚本家。

妻は同じく映画監督のアニエス・ヴァルダ。ともにヌーヴェルヴァーグの左岸派とされる。息子は、俳優のマチュー・ドゥミ

略歴

アニメーターのポール・グリモーや映画監督のジョルジュ・ルーキエと働いた後、1961年の『ローラ』で映画監督としてデビューして「ヌーヴェルヴァーグの真珠」にたとえられる、この作品で「恋の歓びと哀しみをまるでお伽話のような純粋さで謳いあげ」「この時代錯誤的なまでに単純な主題をつらぬくために」ミュージカルという「反時代的な形式を必要とした」中条省平『フランス映画史の誘惑』(集英社新書 2003年pp.196-199)。。

1964年公開のカトリーヌ・ドヌーヴ主演のミュージカル『シェルブールの雨傘』でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。ミシェル・ルグランと共に手掛けた音楽はそれまでのミュージカル映画に新たな波を引き起こした。

『ローラ』の音楽は当初、クインシー・ジョーンズが担当予定だったが、スケジュールの関係で辞退。ルグランが『アメリカの裏窓』の音楽を担当したフランソワ・レイシャンバックの勧めで、ドゥミがルグランに会った。ルグランは初め乗り気でなかったが、同席したアニエス・ヴァルダが説得、最終的にルグランが折れた。ルグランとのコンビは、『シェルブールの雨傘』後も、『ロシュフォールの恋人たち』『ロバと王女』『モン・パリ』『ベルサイユのばら』と続いたが、『都会の一部屋』の主題を気に入らなかったルグランがオファーを拒み、二人は疎遠になった。

ドゥミはバイセクシュアルであり、80年代は一時期妻のヴァルダと離れて暮らしていた。1988年頃からまた同居するようになった大寺真輔「アニエスからあなたへ」、金子遊他編『アニエス・ヴァルダ――愛と記憶のシネアスト』、neoneo編集室、2021、22-34、p. 32。。

1990年にエイズにて死去(information given in Agnès Varda's 2008 autobiographical movie Les Plages d'Agnès)。モンパルナス墓地に葬られている。

2004年には『ロバと王女』が妻と息子の手によってリバイバルされた。

2009年、『シェルブールの雨傘』製作45周年を記念し、日本で世界初となる“デジタルリマスター版”が『ロシュフォールの恋人たち』と共にリバイバル上映された。

主な監督作品

  • ローラ Lola(1961)
  • 新・七つの大罪 より 「淫乱の罪」 Les Sept Péchés capitaux , La Luxure(1962)
  • 天使の入り江 La Baie des Anges (1963)
  • シェルブールの雨傘 Les Parapluies de Cherbourg (1964)第17回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞
  • ロシュフォールの恋人たち Les Demoiselles de Rochefort (1967)
  • モデル・ショップ Model Shop (1968)
  • ロバと王女 Peau d'âne (1970)
  • ハメルンの笛吹き The Pied Piper (1971)
  • モン・パリ L'Événement le plus important depuis que l'homme a marché sur la lune (1973)
  • ベルサイユのばら Lady Oscar (1978)
  • 都会の一部屋 Une chambre en ville (1982)
  • パーキング Parking(1985)
  • 想い出のマルセイユ Trois places pour le 26 (1988)

関連文献

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/09/25 12:50 UTC (変更履歴
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