リュック・ムレ : ウィキペディア(Wikipedia)

リュック・ムレLuc Moullet、1937年10月14日 - )は、フランスの映画監督、脚本家、映画プロデューサーである。リュック・ムーレとも。ヌーヴェルヴァーグの映画作家である。

来歴・人物

1937年10月14日、パリに生まれる。弟はジャン=リュック・ゴダール監督作『カラビニエ』(1963年)にミケランジュ役で出演した弟アルベール・ジュロスの記述による。遠山純生編・細川晋著『ヌーヴェル・ヴァーグの時代 1958‐1963』(エスクァイアマガジンジャパン、1999年4月、ISBN 4872950615)P.180によれば、ジュロスは「従弟」であり有名な数学者であるとのこと。(その後、本名パトリス・ムレの名で活動し、短編および長編デビュー作以後の多くの作品に出演し、劇伴音楽の作曲をしている)。のちに1968年、パトリスと、同作でクレオパトル役のカトリーヌ・リベイロとともに、ロック・バンド「アルプス」を組んでいる。

『カイエ・デュ・シネマ』誌の批評家としてデビューし(1956年)、そして1960年には最初の短編映画『焼け過ぎのステーキ』で演出家へと素早く転出した。2本の短編をつづけて撮り、1966年には初の長編映画『ブリジットとブリジット』を撮った。デビューから今日まで、ムレは30本の作品を撮り、かなりの数の短編を撮った。その全体が、笑いもバーレスクもなく切り取る、というひとつの特異な作品を構成している。

ムレは、その長編デビュー作『ブリジットとブリジット』がゴダールに「真に革命的な映画」と讃えられ、ジャン=マリー・ストローブには「ブニュエルタチの両方を継承する」とまで言われたヌーヴェルヴァーグの作家であるが、ただの1本たりとも日本で劇場公開されたものはない。『ブリジットとブリジット』『カップルの解剖学』等がホール上映される機会があったのみである。『ブリジットとブリジット』には、クロード・メルキジャン=ダニエル・ポレ『酔っぱらってりゃ…』(1957年)とおなじ「レオン」役で出演しており、クロード・シャブロルサミュエル・フラーエリック・ロメールら映画監督がそれぞれ役をもって出演している。『ビリー・ザ・キッドの冒険』はジャン=ピエール・レオ主演の西部劇であり、編集は『ママと娼婦』(1973年)の監督ジャン・ユスターシュであった。日本で本格的に紹介されるべき、知られざる作家のひとりである。

プロデューサーとして、マルグリット・デュラスの監督作『ナタリー・グランジェ』(1972年)などを製作した。

フィルモグラフィー

  • 『焼け過ぎのステーキ』 Un steak trop cuit 1960年 短編
  • Terres noires 1961年 短編
  • Capito ? 1962年 短編
  • 『ブリジットとブリジット』 Brigitte et Brigitte 1966年 ※長編デビュー作
  • Les contrebandières 1967年
  • 『ビリー・ザ・キッドの冒険』 Une aventure de Billy le Kid 1971年
  • 『カップルの解剖学』 Anatomie d'un rapport 1975年
  • Genèse d'un repas 1978年 - 第29回ベルリン国際映画祭ニューシネマフォーラム部門インターフィルム賞 (1979年)
  • Ma première brasse 1981年
  • Introduction 1982年
  • Les Minutes d'un faiseur de film 1983年
  • Les Havres 1983年
  • Barres 1984年
  • L'Empire de Médor 1986年
  • La Valse des médias 1987年
  • La Comédie du travail 1987年 - ジャン・ヴィゴ賞 (1988年)
  • Essai d'ouverture 1988年
  • Les Sièges de l'Alcazar 1989年
  • La Sept selon Jean et Luc 1990年
  • AERROPORRRT D'ORRRRLY 1990年
  • Cabale des oursins 1991年
  • Parpaillon 1993年
  • Foix 1994年
  • Toujours plus 1994年
  • Imphy 1995年
  • Le Ventre de l'Amérique 1996年
  • L'Odyssée du 16/9ème 1996年
  • Le Fantôme de Longstaff 1996年
  • Nous sommes tous des cafards 1997年
  • ...Au champ d'honneur 1998年
  • Le Système Zsygmondy 2000年 - 第54回カンヌ国際映画祭コダック短篇映画賞 (2001年)
  • Les Naufragés de la D17 2002年
  • Le prestige de la mort 2006年
  • La Seule Solution 2006年
  • Le litre de lait 2006年
  • La terre de la folie 2009年

関連文献

外部リンク

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