ジミー・バトラー : ウィキペディア(Wikipedia)
ジミー・バトラー3世(Jimmy Butler III, 1989年9月14日 - )は、アメリカ合衆国テキサス州ヒューストン出身のプロバスケットボール選手。NBAのマイアミ・ヒートに所属している。ポジションはスモールフォワードとシューティングガードを兼ねるスウィングマン。愛称は「Jimmy Buckets」。
経歴
生い立ち
「彼の生い立ちには驚くばかりだよ。彼の人生には幾つもの困難があったのに、いつも彼はそれを克服してきたんだ。もし彼と話をする機会が得られたならば(彼はあまり自分の生い立ちについて話したがらないだろうけど)彼に敬意を抱くと思うよ」 2011年のドラフトの前に、とあるNBAチームのGMが口にしたこの言葉が示すとおり、バトラーの経歴は非常に波乱に富んでいる。 バトラーの父は彼が幼い時に家族を置いて家を出て行った。そしてヒューストンの郊外、に住んでいた13歳の時に母親に父親(夫)に似ているという理由で家を追い出される事になった。 「あんたの顔が気に食わないんだ。さっさと出て行きな」 2011年のインタビューの時に、バトラーはそう母親に言われたと語っている。その後、バトラーは複数の友人の家の間を転々としながら過ごす事になった。
その後バトラーはトムボール高校に入学した。 12年生になる直前のサマーリーグで、バトラーは後輩のジョーダン・レスリーにスリーポイント勝負を挑まれた。 その後彼らはすぐに友達となり、バトラーはレスリーの家で寝泊りするようになった。レスリーの母と継父は、6人の子供がいるため最初は彼を養子として引き取る事に消極的だったが、結局数ヵ月後に彼を家族に迎え入れた。 「彼らは僕の事をバスケットボールが上手いから引き取ったわけじゃないんだ。彼女(レスリーの母)は信じられない事に僕の事を愛してくれたし、たらふくご飯を食べさせてくれたんだ」 後にジミーはインタビューでそう語っている。
バトラーはトムボール高校の最上級生の2006-2007年のシーズンには、試合平均19点、8リバウンドの成績を上げている。彼はチームで一番優秀なプレイヤーだった。
カレッジ
バトラーは高校を卒業した後、大学から引く手数多だったわけではなかった。そのため、バトラーはテキサス州にあるタイラー短期大学に入学する事に決めた。その後バトラーはマーケット大学に転校し、2年生だった2008-2009年の時に試合平均5.6得点、3.9リバウンド、FT率76.8%を記録した。3年生の時(2009-2010年のシーズン)には先発選手となり、試合平均14.7得点、6.4リバウンドを記録し、All-Big East Honorable Mention賞を獲得している。 このシーズンのバトラーのハイライトは、コネチカット大学とセント・ジョーンズ大学を相手にした試合でウィニングショットを放った事だった。この結果、マーケット大学の5期連続NCAAトーナメント出場にバトラーは貢献する事ができた。
シカゴ・ブルズ
- 2011–12シーズン
2011年のNBAドラフトにおいてシカゴ・ブルズから全体30位で指名される。 ルーキーイヤーは全試合ベンチからの出場となった。
- 2012–13シーズン
レギュラーシーズンが始まる前のサマーリーグで、バトラーは試合平均20.8得点、6.5リバウンド、2アシストを記録した。 この年も前半戦のうちは、昨年と同じく出場時間は限られていた。しかし、チームメイトのルオル・デンが負傷欠場によりバトラーは遂に先発出場を果たした。バトラーが先発選手として出場した最初の試合は、17分の出場で18得点、8リバウンド、3アシスト、3スティールだった。バトラーは次の4試合において40分以上の出場を果たす事になる。 2013年4月19日のトロント・ラプターズ戦で、バトラーは28得点を記録した。 このシーズンの終わりまでバトラーはブルズのローテーションに加わり、プレイオフでは試合平均40.8分の出場を果たした。
- 2013–14シーズン
2014年1月15日のオーランド・マジック戦ではトリプルオーバータイムの末、バトラーは60分の出場を果たしてシカゴ・ブルズのチーム記録を更新した。 2014年6月2日に発表されたNBAオールディフェンシブ2ndチームに選出され、リーグ屈指のディフェンダーである事を証明した。
- 2014–15シーズン
2014年10-11月において試合平均21.9得点でシュート率49.8%を記録し、イースタンカンファレンス月間MVPを獲得した。 2015年2月24日、NBAオールスターゲームに初出場。同シーズンは平均20得点とエース級の活躍を見せ、MIPを受賞した。
- 2015-16シーズン
5年9000万ドルのマックス契約でブルズと再契約した同シーズンは、圧巻のパフォーマンスの連続。4度の延長戦にまでもつれ込んだ2015年12月18日のデトロイト・ピストンズ戦は、チーム最多の43得点を記録Drummond leads way, Pistons beat Bulls 147-144 in 4 OT。更に2016年1月3日のトロント・ラプターズでは、計42得点中の40得点を3rdクォーター以降に叩き出し、1989年2月のミルウォーキー・バックス戦でマイケル・ジョーダンが後半戦に39得点を記録したチーム記録を更新する最高のパフォーマンスを披露Butler tops Jordan Bulls record with 40 points in half。同月14日のフィラデルフィア・76ers戦では、自己最多の53得点を記録したButler scores career-high 53 to lead Bulls over 76ers in OT。
ミネソタ・ティンバーウルブズ
2017年のNBAドラフト開催日、ザック・ラヴィーンらとのトレードでミネソタ・ティンバーウルブズへの移籍が決定。ブルズ時代の恩師トム・シボドーの下で再出発することになったJAPAN。
- 2017-18シーズン
2017年12月27日に行われたデンバー・ナゲッツ戦でシーズン・ハイの39得点を記録、試合はウルブズがオーバータイムの末128-125で勝利した。2018年2月18日に行われるNBAオールスターゲームに出場することが発表された。試合には休養のため出場しなかった。オールスターブレイク直後の2月23日に行われたヒューストン・ロケッツ戦で負傷により途中退場となった。MRI検査の結果、右膝の半月板を損傷していることがわかった。4月6日に行われたロサンゼルス・レイカーズ戦で怪我から復帰、18得点を記録し試合はウルブズが113-96で勝利した。プレーオフ1回戦、対ヒューストン・ロケッツの第3戦で28得点を記録、試合は121-105で勝利した。
2018-19シーズンのトレーニングキャンプ前にバトラーはウルブズにトレードを要求した。だが、トレードは成立せずバトラーはウルブズでシーズン開幕を迎える事となった。
フィラデルフィア・76ers
- 2018-19シーズン
2018年11月にジャスティン・パットンと共にロバート・コビントン、ダリオ・サリッチ、ジェリッド・ベイレス、2022年のドラフト2巡目指名権との交換でフィラデルフィア・76ersに移籍した。
マイアミ・ヒート
- 2019-20シーズン
2019年7月2日、4チーム間のトレードでマイアミ・ヒートに移籍した。12月9日、1試合平均27.5得点、9.0リバウンド、8.5アシストを記録し、イースタンカンファレンス週間最優秀選手に選ばれた。12月10日、アトランタ・ホークス戦にて20得点、キャリアハイの18リバウンド、11アシストを記録し135-121で延長戦の末勝利した。1月30日、キャリア5回目となるNBAオールスターゲームにリザーブで選ばれた。プレーオフでは自身初のNBAファイナルまで進み、10月5日の第3戦では40得点、11リバウンド、13アシストのトリプルダブルを達成した。第5戦では、35得点、12リバウンド、11アシスト、5スティールを記録し、ファイナルで35得点・10リバウンド・10アシスト・5スティール以上を記録した初のプレーヤーとなった。ファイナルの結果ヒートはレイカーズに4-2で敗れたが、バトラーはレブロン・ジェームズ、マジック・ジョンソン、ラリー・バード、ウィルト・チェンバレン、ドレイモンド・グリーンに次ぐ、NBA史上6人目となるファイナルで複数回のトリプルダブルを記録した。そして2016年のレブロン以来となるファイナルにおける、得点・リバウンド・アシスト・スティール・ブロックでチームトップを記録した。
- 2020-21シーズン
オフシーズンが短かったこともあり、調整不足から開幕当初は自身もチームも低調なスタートだったが、シーズンが進むにつれ調子を上げ、最終的には平均リバウンドと平均アシストでキャリアハイを更新。また自身初となるスティール王に輝いた。カンファレンス6位でプレーオフに出場し、1回戦で前年勝利したミルウォーキー・バックスと対戦。バトラーはこのシリーズでフィールドゴール成功率が30%を下回る深刻な不振に陥ってしまう。チームも第1戦でオーバータイムの末に敗れると、その後の3試合はドリュー・ホリデーらが加わり強化されたバックスの前に為す術もなく大敗を喫し、4連敗で1回戦敗退となった。
2021年8月7日にヒートと4年1億8400万ドルのマックス契約を結び契約延長した。
- 2021-22シーズン
2022年1月24日のロサンゼルス・レイカーズ戦にて、20得点、10リバウンド、12アシストを記録し、トリプル・ダブルを達成した。また、ヒートでのレギュラーシーズン通算10回目のトリプル・ダブルを記録し、レブロン・ジェームズが保持していた9回を上回り、球団最多記録を更新した。
プレースタイル
リーグ屈指のタフなプレイヤーとして知られ、NBAオールディフェンシブ2ndチームに選ばれるほどの好ディフェンダーである。特に相手からファールを奪い、フリースローを獲得する技術に優れている。出場時間および試合ごとの走行距離から分かるとおり、非常にスタミナのあるプレイヤーでもある。 闘争心に溢れており、努力家として知られている。リーグでも屈指のクラッチプレーヤーとしても知られており、2020年には下馬評を覆しマイアミ・ヒートをファイナルへ導くと、勝利した2試合でトリプルダブルを記録するなど大舞台でも活躍できるオールラウンダーである。
個人成績
NBA
レギュラーシーズン
|- | align="left" | 2011–12 | align="center" rowspan=6 | CHI | 42 || 0 || 8.5 || .405 || .182 || .768 || 1.3 || .3 || .3 || .1 || 2.6 |- | align="left" | 2012–13 | style="background:#cfecec;"| 82* || 20 || 26.0 || .467 || .381 || .803 || 4.0 || 1.4 || 1.0 || .4 || 8.6 |- | align="left" | 2013–14 | 67 || 67 || 38.7 || .397 || .283 || .769 || 4.9 || 2.6 || 1.9 || .5 || 13.1 |- | align="left" | 2014–15 | 65 || 65 || style="background:#cfecec;"| 38.7* || .462 || .378 || .834 || 5.8 || 3.3 || 1.8 || .6 || 20.0 |- | align="left" | 2015–16 | 67 || 67 || 36.9 || .454 || .312 || .832 || 5.3 || 4.8 || 1.6 || .6 || 20.9 |- | align="left" | 2016–17 | 76 || 76 || 37.0 || .455 || .367 || .865 || 6.2 || 5.5 || 1.9 || .4 || 23.9 |- | align="left" | | align="center"rowspan=2 | MIN | 59 || 59 || 36.7 || .474 || .350 || .854 || 5.3 || 4.9 || 2.0 || .4 || 22.2 |- | align="left" rowspan=2| | 10 || 10 || 36.1 || .471 || .378 || .787 || 5.2 || 4.3 || 2.4 || 1.0 || 21.3 |- | align="center" | PHI | 55 || 55 || 33.2 || .461 || .338 || .868 || 5.3 || 4.0 || 1.8 || .5 || 18.2 |- | style="text-align:left;"| | style="text-align:center;" rowspan=5|MIA | 58 || 58 || 33.8 || .455 || .244 || .834 || 6.7 || 6.0 || 1.8 || .6 || 19.9 |- | style="text-align:left;"| | 52 || 52 || 33.6 || .497 || .245 || .863 || 6.9 || 7.1 || style="background:#cfecec;"|2.1* || .3 || 21.5 |- | style="text-align:left;"| | 57 || 57 || 33.9 || .480 || .233 || .870 || 5.9 || 5.5 || 1.6 || .5 || 21.4 |- | style="text-align:left;"| | 64 || 64 || 33.4 || .539 || .350 || .850 || 5.9 || 5.3 || 1.8 || .3 || 22.9 |- | style="text-align:left;"| | 60 || 60 || 34.0 || .499 || .414 || .858 || 5.3 || 5.0 || 1.3 || .3 || 20.8 |- class="sortbottom" | style="text-align:center;" colspan="2"|通算 | 814 || 709 || 33.2 || .470 || .329 || .844 || 5.3 || 4.3 || 1.6 || .4 || 18.3 |- class="sortbottom" | style="text-align:center;" colspan="2"|オールスター | 4 || 1 || 12.8 || .750 || .000 || --- || 1.8 || 1.5 || 1.8 || .0 || 4.5
プレーオフ
|- | align="center" | | align="center"rowspan=5 | CHI | 3 || 0 || 1.3 || --- || --- || --- || .0 || .0 || .0 || .0 || .0 |- | align="center" | | 12 || 12 || 40.8 || .435 || .405 || .818 || 5.2 || 2.7|| 1.3 || .5 || 13.3 |- | align="center" | | 5 || 5 || 43.6 || .386 || .300 || .783 || 5.2 || 2.2 || 1.4 || .0 || 13.6 |- | align="center" | | 12 || 12 || 42.2 || .441 || .389 || .819 || 5.6 || 3.2 || 2.4 || .8 || 22.9 |- | align="center" | | 6 || 6 || 39.8 || .426 || .261 || .809 || 7.3 || 4.3 || 1.7 || .8 || 22.7 |- | align="center" | | align="center" | MIN | 5 || 5 || 34.0 || .444 || .471 || .833 || 6.0 || 4.0 || .8 || .2 || 15.8 |- | align="center" | | align="center" | PHI | 12 || 12 || 35.1 || .451 || .267 || .875 || 6.1 || 5.2 || 1.4 || .6 || 19.4 |- | style="text-align:center;"| | style="text-align:center;" rowspan=4|MIA | 21 || 21 || 38.4 || .488 || .349 || .859 || 6.5 || 6.0 || 2.0 || .7 || 22.2 |- | style="text-align:center;"| | 4 || 4 || 38.5 || .297 || .267 || .727 || 7.5 || 7.0 || 1.3 || .3 || 14.5 |- | style="text-align:center;"| | 17 || 17 || 37.0 || .506 || .338 || .841 || 7.4 || 4.6 || 2.1 || .6 || 27.4 |- | style="text-align:center;"| | 22 || 22 || 39.7 || .468 || .359 || .806 || 6.5 || 5.9 || 1.8 || .6 || 26.9 |- class="sortbottom" | style="text-align:center;" colspan="2"|通算 | 119 || 116 || 37.9 || .460 || .347 || .830 || 6.2 || 4.6 || 1.7 || .6 || 21.3
カレッジ
|- |style="text-align:left;"|2008–09 |style="text-align:left;" rowspan=3|マーケット |35||0||19.6||.514||.000||.768||3.9||.7||.5||.5||0.5||5.6 |- |style="text-align:left;"|2009-10 |34||34||34.3||.530||.500||.766||6.4||2.0||1.3||.6||1.1||14.7 |- |style="text-align:left;"|2010-11 |37||35||34.6||.490||.345||.783||6.1||2.3||1.4||.4||1.5||15.7 |- class="sortbottom" | style="text-align:center;" colspan="2"|通算Jimmy Butler, sports-reference.com, Retrieved May 20, 2011. | 106 || 69 || 29.6 || .508 || .383 || .773 || 5.5 || 1.7 || 1.1 || .5 || 1.0 || 12.0 |}
エピソード
- 2016年にシカゴ・ブルズの兄貴分であるデリック・ローズがニューヨーク・ニックスに放出された際には、自身のインスタグラムにて感謝のメッセージを送っているジミーバトラー、兄貴分デリックローズに感謝のメッセージ。因みにローズとの間には不仲説が取り沙汰されていたが、バトラー自身はこれを否定している。
- ブルズからミネソタ・ティンバーウルブズに移籍が決まった翌日には、自身のインスタグラムにて、自分をドラフト全体30位で指名してくれたブルズとブルズのファンに対してシカゴへの愛と感謝を伝えたブルズからウルブズにトレードされたジミー・バトラーが、シカゴのファンに惜別メッセージ「シカゴは自分の人生そのものだった。
- 2020年のにてバトラーは1杯20ドル(約2100円)の高級コーヒーショップを開いたことで一時期メディアで話題となった。
外部リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/05/28 08:36 UTC (変更履歴)
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