キム・コリンズ : ウィキペディア(Wikipedia)
キム・コリンズ(Kim Collins、1976年4月5日 - )は、セントクリストファー・ネイビスの陸上競技選手。100mの40歳以上世界最高記録保持者(9秒93)。2003年世界選手権男子100mの金メダリストである。
経歴
コリンズは、1997年の世界選手権でメジャーな大会にデビューしている。このときは1次予選で予選落ちした。その後、力をつけてゆき、2000年シドニーオリンピックでは、決勝進出を果たし、7位入賞を果たした。
2001年は、世界選手権の200mにおいて20秒20を記録し、セントクリストファー・ネイビス初となる銅メダルを獲得した。2002年のコモンウェルスゲームズの100mで、9秒98で走り、メジャーな大会で初の金メダルを獲得した。しかし、レース後のドーピング検査で陽性と判定される。だが、これは彼が数年間摂取している薬に反応したものであり、彼が報告を怠っていただけということで失格とはならなかった。
2003年には、ついに世界選手権の100mで金メダルを獲得した。この大会は、準決勝で優勝候補のモーリス・グリーンが敗退するなど、波乱の展開であった。決勝は、0.02秒の間に上位4人がゴールするという接戦で、その接戦をコリンズが制し、セントクリストファー・ネイビス初となる世界選手権での金メダルを獲得した。
2004年アテネオリンピックでは、セントクリストファー・ネイビス選手団の旗手を務め、前回大会の7位を上回る6位入賞を果たしている。2005年の世界選手権ではアメリカのジャスティン・ガトリン、ジャマイカのマイケル・フレイターに次いで3位に入り銅メダルを獲得。3大会連続の表彰台の栄誉に輝いた。
2009年9月、現役引退を発表したがThanks For The Memories: Kim Collins Retires - Winn FM (St. Kitts Nevis) News. 2009年9月15日Collins, 2003 World 100m champion, retires. - Raynor, Kayon (2009-09-29). IAAF、体調良好を理由に2011年1月29日に現役復帰を果たした。
2011年の世界選手権では、ジャマイカのウサイン・ボルトがフライングで失格になる波乱の展開の中、3位に入り銅メダルを獲得。また、400mリレーでも3位に入り、この大会で2つの銅メダルを手にした。
2012年ロンドンオリンピックの開会式では、アテネ大会以来2大会ぶりにセントクリストファー・ネイビス選手団の旗手を務めた。しかし、大会期間中に妻との面会を代表団指導部から断られ、それを不服として100mに出場せず、数日間行方不明になっていた陸上元金メダリストが妻に会うため競技に不参加 The Voice of Russia 「ロシアの声」 (2012-8-4). 2014年12月3日閲覧。。その結果、100m以外に200mと4×100mRに出場予定だったが代表から外されたコリンズ、代表から外される…練習を何度も休む 読売新聞 YOMIURI ONLINE (2012-8-5). 2014年12月3日閲覧。。
2013年7月4日に行われたダイヤモンドリーグのアスレティッシマ100mにおいて9秒97(+2.0)をマークし、自身の持つセントクリストファー・ネイビス記録を11年ぶりに0秒01更新した。この時のコリンズの年齢は37歳90日で、これは最年長9秒台記録であり、リンフォード・クリスティと並ぶ35歳以上世界最高記録でもあった。6日後に行われたハンガリー国際グランプリ100mでも9秒99(+0.2)をマークして、35歳以上で9秒台を2回マークした初の選手となった。
2014年2月25日にプラハで行われた室内60mにおいて6秒49のセントクリストファー・ネイビス記録を樹立すると、7月20日にロンドンで行われた100mでも9秒96(+1.0)のセントクリストファー・ネイビス記録(35歳以上世界最高記録)を樹立し従来の35歳以上世界最高記録はリンフォード・クリスティの9秒97だった。、自身の持つ最年長9秒台記録を38歳106日に更新した。
2015年2月1日にモスクワ、3日にトルンで行われた室内60mにおいてセントクリストファー・ネイビス記録となる6秒48をマークすると、同月17日にウッチで行われた室内60mでは更にタイムを縮める6秒47の中央アメリカ・カリブ海タイ記録をマークした。5月30日に行われたダイヤモンドリーグ第3戦ユージーン大会100mでは9秒99(+1.5)をマークし、自身の持つ最年長9秒台記録を39歳55日に更新すると、6月13日のセントクリストファー・ネイビス選手権100mでは39歳と69日に更新する9秒98(+1.8)をマークした。8月22日には世界選手権100mに出場し、トロイ・ダグラスが保持していた男子100mの最年長出場記録(38歳と248日)を39歳と139日に塗り替えた。
2016年3月18日にポートランドで開催された世界室内選手権の60mに出場し、男子60mの最年長出場記録(38歳と26日)と最年長ファイナリスト記録(35歳と337日)を39歳と348日に塗り替え、決勝では6秒56で8位に入った。40歳になってから約1ヶ月後の5月7日に100mで10秒09(+1.0)をマークし、トロイ・ダグラスが保持していた40歳以上世界最高記録(10秒29)を塗り替えると、5月29日には100mで自身の持つセントクリストファー・ネイビス記録を0秒03塗り替える9秒93(+1.9)をマーク。最年長9秒台記録も40歳と54日に塗り替え、40歳以上で9秒台をマークした初の選手となった。
主要大会の結果
年度 | 大会 | 場所 | 種目 | 記録 | 結果 |
---|---|---|---|---|---|
1996 | オリンピック | アトランタ(アメリカ) | 100m | 10.34(-0.2) | 2次予選 |
400mR | 40.12 | 予選 | |||
1997 | 世界選手権 | アテネ(ギリシャ) | 100m | 21.73(-0.6) | 1次予選 |
1999 | 世界選手権 | セビリア(スペイン) | 100m | 10.50(-0.9) | 1次予選 |
200m | 20.95(+0.1) | 1次予選 | |||
2000 | オリンピック | シドニー(オーストラリア) | 100m | 10.17(-0.3) | 7位 |
200m | 20.57(+0.3) | 準決勝 | |||
2001 | 世界選手権 | エドモントン(カナダ) | 100m | 10.07(-0.2) | 5位 |
200m | 20.20(+0.1) | 銅 | |||
2002 | コモンウェルスゲームズ | マンチェスター(イギリス) | 100m | 9.98(+0.2) | 金 |
200m | 1次予選 | ||||
2003 | 世界室内選手権 | バーミンガム(イギリス) | 60m | 6.53 | 銀 |
2003 | 世界選手権 | パリ(フランス) | 100m | 10.07(0.0) | 金 |
2004 | オリンピック | アテネ(ギリシャ) | 100m | 10.00(+0.6) | 6位 |
2005 | 世界選手権 | ヘルシンキ(フィンランド) | 100m | 10.05(+0.4) | 銅 |
2007 | 世界選手権 | 大阪(日本) | 100m | 10.21(+0.3) | 準決勝 |
2008 | 世界室内選手権 | バレンシア(スペイン) | 60m | 6.54 | 銀 |
2008 | オリンピック | 北京(中国) | 100m | 10.05(-0.1) | 準決勝 |
200m | 20.59(-0.9) | 6位 | |||
2009 | 世界選手権 | ベルリン(ドイツ) | 100m | 10.20(-0.4) | 2次予選 |
200m | 20.84(0.0) | 2次予選 | |||
2011 | 世界選手権 | テグ(韓国) | 100m | 10.09(-1.4) | 銅 |
200m | 20.64(-1.0) | 準決勝 | |||
400mR | 38.49(2走) | 銅 | |||
2012 | オリンピック | ロンドン(イギリス) | 100m | 予選 | |
2015 | 世界選手権 | 北京(中国) | 100m | 10.16(+2.1) | 予選 |
2016 | 世界室内選手権 | ポートランド(アメリカ) | 60m | 6.56 | 8位 |
オリンピック | リオデジャネイロ(ブラジル) | 100m | 10.12(+0.2) | 準決勝 | |
400mR | 39秒81(2走) | 予選 | |||
2018 | 世界室内選手権 | バーミンガム(イギリス) | 60m | 準決勝 | |
年次ベスト
年 | 100m | 風速 | 備考 |
---|---|---|---|
1995年(19歳) | 10秒63 | ||
1996年(20歳) | 10秒27 | +0.1 | |
1997年(21歳) | 21秒73 | -0.6 | |
1998年(22歳) | 10秒18 | +0.5 | |
1999年(23歳) | 10秒21 | -0.1 | |
2000年(24歳) | 10秒13 | +0.6 | |
2001年(25歳) | 10秒04 | -0.2 | |
2002年(26歳) | 9秒98 | +0.2 | 同タイムを3回マーク(+0.2,+1.6,+2.0)。 |
2003年(27歳) | 9秒99 | +1.3 | |
2004年(28歳) | 10秒00 | +0.6 | |
2005年(29歳) | 10秒00 | +1.0 | |
2006年(30歳) | 10秒33 | +0.1 | |
2007年(31歳) | 10秒14 | +1.7 | |
2008年(32歳) | 10秒05 | -0.1 | |
2009年(33歳) | 10秒15 | +0.6 | |
2010年(34歳) | 10秒20 | +0.4 | |
2011年(35歳) | 10秒00 | +0.4 | |
2012年(36歳) | 10秒01 | +1.4 | |
2013年(37歳) | 9秒97 | +2.0 | |
2014年(38歳) | 9秒96 | +1.0 | |
2015年(39歳) | 9秒98 | +1.8 | |
2016年(40歳) | 9秒93 | +1.9 | セントクリストファー・ネイビス記録、40歳以上世界最高記録 |
2017年(41歳) | 10秒20 | +0.3 | |
2018年(42歳) | 10秒37 | +2.0 |
年 | 60m | 備考 |
---|---|---|
1999-2000 | 6秒53 | |
2000-2001 | 6秒58 | |
2002-2003 | 6秒58 | |
2004-2005 | 6秒54 | |
2007-2008 | 6秒54 | |
2008-2009 | 6秒58 | |
2010-2011 | 6秒50 | |
2011-2012 | 6秒56 | |
2012-2013 | 6秒53 | |
2013-2014 | 6秒49 | |
2014-2015 | 6秒47 | セントクリストファー・ネイビス記録、35歳以上世界最高記録 |
2015-2016 | 6秒49 | |
2016-2017 | 6秒52 | 40歳以上世界最高記録 |
2017-2018 | 6秒60 |
自己ベスト
- 50m - 5秒75 (2009年2月10日)
- 60m - 6秒47 (2015年2月17日) セントクリストファー・ネイビス記録、35歳以上世界最高記録
- 100m - 9秒93 (2016年5月29日) セントクリストファー・ネイビス記録、40歳以上世界最高記録
- 200m - 20秒20 (2001年8月9日)
最年長記録
- 男子100m最年長9秒台記録 - 40歳と54日
- オリンピック男子100m最年長出場記録 - 40歳と131日
- 世界選手権男子100m最年長出場記録 - 39歳と139日
- 世界室内選手権男子60m最年長ファイナリスト記録 - 39歳と348日
- 世界室内選手権男子60m最年長出場記録 - 41歳と332日
外部リンク
*閉会式はアントワーヌ・アダムス
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/01/03 16:39 UTC (変更履歴)
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