MIKIKO : ウィキペディア(Wikipedia)
MIKIKO(みきこ、1977年8月11日 - )は、日本の演出振付家。女性ダンスカンパニー、株式会社ELEVENPLAY(イレブンプレイ)代表取締役。愛称は「MIKIKO先生」。
経歴
東京生まれ。3人姉妹の末っ子で、2歳のとき父親の転勤で広島市へ引っ越す。広島の自宅は毎年5月にひろしまフラワーフェスティバルが開催される平和大通り(100m道路)沿いにあり『「ゆかりの人物インタビュー」 演出振付家 MIKIKOさん』 - 中国新聞 2017年5月5日 別紙「創刊125周年記念」2頁。、ステージの骨組みが出来ていく過程を興味深く眺めていた。父親が広告代理店に勤務していたため、ライブや舞台裏を見ることができた。振付師という職業を知ったのも、米米CLUBのライブをバックステージで見せてもらったことがきっかけという。舞台を作る仕事の原点は子ども時代にあるのかもと話した。安田女子中学校のバトン部の一員としてフラワーフェスティバルの舞台やパレードに出て、人前で踊る楽しさを覚え、高校に入ってヒップホップダンスを始めた。
1996年、19歳からバレエとストリートダンスの経験を元にダンス指導を開始する。1999年、大学在学中の21歳のとき、テレビ新広島がアミューズと提携してアクターズスクール広島を開校するための最初の講師陣の一人となった。一期生には当時小学校5年生だった(のちの)Perfumeもいた。Perfumeが東京に出て以降も、(アミューズでの初期の活動の一時点を除いて)楽曲ほぼすべてで振り付けを担当している。スクールの発表会は年に春と秋の2回あり、年間約50曲の振付をスクール生のために作成し、構成を含めたスキルが鍛えられた。
2000年にMAXのバックダンサーとなり、同時期にダンスグループVAXを結成した。広島と東京の間を週1回は往復する生活を5年間ほど送る。2003年、当時中学3年生のPerfumeがアミューズとマネジメント契約を結び、3人だけで上京。
2005年、28歳のときMIKIKOもアミューズとマネジメント契約を結び、本格的に演出家としての活動を開始、「つくる仕事」に専念するため東京に転居。この直接のきっかけは同社会長の大里洋吉が舞台「DRESS CODE」を見たこと。MIKIKOはその作・演出・振り付けを手掛けた。大里は演出家になること、感性を磨くため米国ニューヨークに転居することを指示。2006年から二年間米国留学。在米中もビデオレターを用いてPerfumeらにダンスを指導した。2008年帰国しPerfumeがブレイクしたことを知る。
帰国後、アミューズ所属のアーティストを中心に振り付けを提供。2009年、ELEVENPLAYを立ち上げ。この頃からテレビCMの振り付けやコンサート演出を大量に手掛けるようになる。2010年、さくら学院の結成以降、同グループとその派生ユニット(BABYMETAL、科学究明機構ロヂカ?など)の楽曲すべてを振り付け。2012年、蛯原友里、押切もえ、安座間美優、山本美月らモデル17人が踊るファッションショー「Canコレ!」の振り付けを担当AneCan編集部ブログ - CanCam・AneCanモデル大集合で記者会見。
2014年、ELEVENPLAYが初音ミクと共にレディー・ガガのコンサート前座を務める。MIKIKOが振り付け・演出した 伊勢丹の宣伝動画 がグッドデザイン賞を受ける。2015年、技術と芸術の祭典「SXSW」におけるPerfumeの 公演 が「ACC CM FESTIVAL」インタラクティブ部門の総理大臣賞/ACCグランプリを受賞。MIKIKOは絵コンテを作り、真鍋大度らに照明やカメラワークを指示した。
2016年、リオ五輪閉会式における、五輪旗引き継ぎ式の芸術パートを担当。同年、テレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』エンディングの振り付け(恋ダンス)を担当、大きな反響を得る。ミュージックビデオ「Cold Stares」がオーストリアの芸術賞「Prix Ars Electronica」(Computer Animation/Film/VFX部門)のAward of Distinctionを受ける。
2017年、デジタルメディア協会はMIKIKOに、AMD Award '16 審査員特別賞(Jury's special award)を授与。同年、『VOGUE JAPAN Women of the year 2017』を受賞。さらに、東京2020 開会式・閉会式 4式典総合プランニングチームに就任。演出チームの実質的な統括地位にあったが、開会が迫る2020年12月、髙田佳夫(電通代表取締役)により演出チームは解散に追い込まれる恰好で辞職した。代わって総合統括に就いたのが佐々木宏(髙田と電通同期入社のクリエイティブディレクター)であった。
2018年、「第4回Women of Excellence Awards」にてビジネス部門を受賞。
振り付けや演出の特徴
目標は踊り手の身体や個性を美しく見せること。米国で体型や文化の差を確認したことが転機となったPerfumeの振付師・MIKIKOに訪れた転機「辞める楽しさと苦しさ、どっちを選ぶ?と迫られてるような一年間だった。例えば、ヒップホップのような外来のダンスをそのまま取り入れず、かつ着物のような外見ではなく、細やかさのような日本人の内面を表現することを一層重視する。MIKIKOは日常の仕草を振り付けに多用し、プロジェクターやドローン、LED、移動式半透過スクリーンなど先端技術を用いた演出も得意とする。最も影響を受けた振付師は「引き算の美学」を感じるボブ・フォッシーと話した「引き算の美学を学んだ」Perfumeダンスを生んだ演出振付家・MIKIKOが影響されたアーティスト。
脚本家で映像、音楽制作を手掛ける小中千昭は、振り付けの特徴の一部を次のように指摘した。
- 振り付け対象が広範:テクノやJ-POPはもちろん、ヘヴィメタルも対象とする。しかも後者ではブラストビートやギターソロまで視覚化した。「グラッドストーンというものがある。ブラストビートを叩く上では必須な技術なのだが、『Road of Resistance』イントロの騎乗ダンスはその視覚化」(公式動画 の01:25)。「ギター・ソロにダンスがついている事が判る。
恋ダンスにおける振り付けの目標は、楽器の音や歌詞を解説し、振り付けがない場合と異なる面を観客に感じさせることだった。星野源は振り付けを「楽曲の持つ魅力とリスナーへの伝達力を何倍にも大きくしてくれる」と評した。
振付
アーティスト
など
など
など
CM
ライブ・イベント
舞台・ミュージカル
- 『歌謡シアター「ラムネ」〜夢の途中編〜』(2008年)
- 『EVIL DEAD THE MUSICAL』(2009年)
- 『黒執事』(2010年)
- 雪之丞一座〜参上公演ロック☆オペラ 『サイケデリック・ペイン』(2012年)
- 『THE ALUCARD SHOW』(2013年)
- 『黒執事-地に燃えるリコリス-』(2014年)
- 劇団☆新感線『髑髏城の七人Season鳥』(2017年)
テレビ番組
- クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!(2009年)
- すすめ!キッチン戦隊クックルン(2013年)
- 第55回日本レコード大賞 『55周年アニバーサリーメドレー』(2013年)
- ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン(2015年)
- ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」エンディングテーマ『恋』(2016年、TBS) - 星野のPVも同様の振りつけ
アニメ
- ドーラ
- オープニングテーマ「Dora Theme Song」(2009年)
- 戦姫絶唱シンフォギア
- 劇中歌「逆光のフリューゲル」モーションキャプチャー用振付(2012年)
- ドキドキ!プリキュア
- 前期エンディングテーマ「この空の向こう」(2013年)
- 後期エンディングテーマ「ラブリンク」(2013年)
- ハピネスチャージプリキュア!
- 前期エンディングテーマ「プリキュア・メモリ」(2014年)
- 後期エンディングテーマ「パーティ ハズカム」(2014年)
- Go!プリンセスプリキュア
- 前期エンディングテーマ「ドリーミング☆プリンセスプリキュア」(2015年)
- 後期エンディングテーマ「夢は未来への道」(2015年)
ゲーム
- Dance Evolution
- Crazy Control
- Everyday, Everynight
- Open Your Eyes
- We Can Win the Fight
- KIMONO♥PRINCESS
- HIGHER
- Lover's High
- Unity
- BURNIN'THE FLOOR
- 華爛漫 -Flowers-(2nd EDITION)
演出
- 2005年
- 『DRESS CODE』舞台/作・振付・演出
- 2007年
- Perfume 『perfumeの掟』振付・演出
- 『CATHY HAIR SHOW in New York』演出
- 2008年
- Perfume 『Perfume first tour「GAME」』LIVE/演出・構成
- Perfume 『武道館ワンマンライブ「BUDOUKaaaaaaaaaaN!!!!!」』LIVE/演出・構成
- 2009年
- Perfume 『ディスコ!ディスコ!ディスコ!』LIVE/演出
- Perfume 『Perfume Second Tour 2009「直角二等辺三角形Tour」』 LIVE/演出・構成
- 2010年
- Perfume 『「パッと楽しく遊ぼうの会」ライブハウストゥワー』LIVE/演出・構成
- Perfume 『Perfume LIVE @東京ドーム「1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11」』LIVE/演出・構成
- 2011年
- ELEVENPLAY 『レセプション公演「so mayny men, so many minds.」』舞台/作・演出・振付:MIKIKO&Tomomi Yoshimura
- ELEVENPLAY 『ダンスインスタレーション「dot.」』舞台/作・演出・振付:MIKIKO&Tomomi Yoshimura
- 2012年
- Perfume 『Perfume 3rd Tour「JPN」』LIVE/演出・構成
- BACARDI 『THE PARTY』フラッシュモブパフォーマンス/振付・演出
- MTV 『MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2012』オープニングアクト(Perfume)/振付・演出
- Perfume 『氷結SUMMER NIGHT』LIVE/演出・構成
- さくら学院 『さくら学院祭☆2012』LIVE/演出
- Perfume 『Perfume WORLD TOUR 1st』LIVE/演出・構成
- 2013年
- Perfume 『ずっと好きだったんじゃけぇ〜さすらいの麺カタPerfume FES!!」LIVE/構成・演出
- Perfume 『ULTRA KOREA 2013(ULTRA MUSIC FESTIVAL)』LIVE/振付・演出
- 『「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」プレゼンテーション Perfume「Spending all my time」』/振付・演出
- Perfume 『Perfume WORLD TOUR 2nd』LIVE/構成・演出
- 武藤彩未 『武藤彩未LIVE DINA 1980』LIVE/演出・振付
- 武藤彩未 『武藤彩未LIVE DINA 1980〜version2.〜』LIVE/演出・振付
- Perfume 『Perfume 4th Tour in DOME 「LEVEL3」』LIVE/構成・演出
- 2014年
- BABYMETAL 『赤い夜 LEGEND “巨大コルセット祭り” 〜天下一メタル武道会ファイナル〜』/振付演出
- BABYMETAL 『黒い夜 LEGEND “DOOMSDAY” 〜召喚の儀〜』/振付演出
- ELEVENPLAY 『ダンスインスタレーション「モザイク」』舞台/作・演出・振付
- Perfume 『Perfume Fes!!2014』LIVE/演出
- Perfume 『Perfume 5th Tour 2014 「ぐるんぐるん」』LIVE/振付・構成・演出
- Perfume『Perfume WORLD TOUR 3rd』LIVE/構成・演出
- Rhizomatiks×ELEVENPLAY 『Pulse』メキシコツアー/演出振付
- 2015年
- Mercedes-Benz Japan『新型Aクラス発表会 オープニング』 /振付・演出
- Perfume『Perfume Anniversary 10days 2015 「PPPPPPPPPP」』LIVE/振付・構成・演出
- BABYMETAL『~巨大天下一メタル武道会~』 /振付演出
- BABYMETAL『LEGEND "2015" 〜新春キツネ祭り〜』 /振付演出
- SXSW2015『SXSW Perfume Live STORY』 LIVE/振付・演出
- ELEVENPLAY『Dance Installation「MOSAIC Ver.1.5」』 舞台/作・演出・振付
- 2016年
- Perfume『Perfume 6th Tour 2016「COSMIC EXPLORER」』 LIVE/振付・構成・演出
- 東京都-パリ市 文化交流事業「「空へ、海へ、彼方へ―旅するルイ・ヴィトン」展 イベント/ダンス演出・振付
- 2016年リオデジャネイロオリンピックの閉会式#オリンピック旗授受 総合演出・演舞振付
- 2017年
- Rhizomatiks Research x ELEVENPLAY 『Dance Installation at Gallery AaMo “phosphere”』 /演出振付
- Perfume『【docomo×Perfume】 FUTURE-EXPERIMENT VOL.01 距離をなくせ。』 演出・振付
- 2018年
- ELEVENPLAY✕Rhizomatiks Research US TOUR 2018『things』 演出振付
- NTT R&Dフォーラム2018 Kirari! プレゼンテーション 演出振付
- Perfume『This is NIPPON プレミアムシアター「Perfume×TECHNOLOGY」presents "Reframe"』 演出振付
- Rhizomatiks Research x ELEVENPLAY North American Tour 2018 『discrete figures』東京公演 演出振付
- ELEVENPLAY×Rhizomatiks Research×Kyle McDonald『discrete figures』演出振付
- Perfume『Perfume 7th Tour 2018 「FUTURE POP」』 演出振付
- 2019年
- Rhizomatiks Research x ELEVENPLAY x Kyle McDonald, “discrete figures2019”EU tour(デュッセルドルフ公演・アイントホーフェン公演)演出振付
- Rhizomatiks Research x ELEVENPLAY x Kyle McDonald, “discrete figures2019”US tour(ニューヨーク公演・サンフランシスコ公演) 演出振付
- ELEVENPLAY DANCE INSTALLATION 「Nu.」 演出振付
- Rhizomatiks Research x ELEVENPLAY x Kyle McDonald, “discrete figures Special Edition“”札幌公演 演出振付
- Tokyo Tokyo Festival Special 13 Light and Sound Installation "Coded Field" 演出振付
- Rhizomatiks Research x ELEVENPLAY x Kyle McDonald, “discrete figures Special Edition“”リエージュ公演 演出振付
- Rhizomatiks Research x ELEVENPLAY x Kyle McDonald, “discrete figures Special Edition“東京公演 演出振付
- 2020年
- Perfume『Perfume 8th Tour 2020 “P Cubed” in Dome』 演出振付
- Perfume『Perfume Imaginary Museum “Time Warp”』 演出振付
- インテル PC FES 2020「ELEVENPLAY x Rhizomatiks “S . P . A . C . E . ”」 演出振付
- 2023年
- Rhizomatiks x ELEVENPLAY “Syn : 身体感覚の新たな地平” (TOKYO NODE 開館記念企画)
- 羽生結弦 Yuzuru Hanyu ICE STORY 2023『GIFT』 at TOKYO DOME 演出
- 羽生結弦 Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd "RE_PRAY" TOUR 演出
テレビ出演
- NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』(2019年2月4日放送)「人の光を、解き放つ~演出振付家MIKIKO」
- NHK『NHKアカデミア』「MIKIKO(前編)」(初回放送日: 2023年9月20日)/「MIKIKO(後編)」(初回放送日: 2023年9月27日)/ テキスト「第22回 」( ①,②,③,まとめ講義 )
注釈
出典
外部リンク
- MIKIKO | CHOREO-DIRECTOR - 公式ホームページ
- ELEVENPLAY | イレブンプレイ - イレブンプレイ公式ホームページ
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/11/05 09:10 UTC (変更履歴)
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike and/or GNU Free Documentation License.