近藤啓太郎 : ウィキペディア(Wikipedia)
近藤 啓太郎(こんどう けいたろう、1920年(大正9年)3月25日 - 2002年(平成14年)2月1日)は、日本の作家。
経歴
三重県四日市市生まれ。第一東京市立中学校(現東京都立九段高等学校)を経て、東京美術学校日本画科卒業。戦後、千葉県鴨川で1年ほど漁業に従事する。その後鴨川中学校の図工科教師となり、教職のかたわら創作を行う。1952年、「遭難」を『早稲田文学』に発表してデビュー、1956年、「海人舟」で芥川賞受賞。第三の新人の一人に数えられ、阿川弘之、吉行淳之介、安岡章太郎らとは終生親しくつきあった。
愛犬家で中学生の頃からの日本犬保存会の会員であり、鴨川で家を建てた後は「八色犬舎」という犬舎号を登録して柴犬や紀州犬の繁殖を行い井上靖、遠藤周作ら作家仲間に柴犬の仔犬を譲ったり、安岡章太郎に紀州犬の仔犬を世話したりした。碁好きでも知られ、囲碁棋士の坂田栄男を描いた『勝負師一代』がある。
1960年代からは、好色通俗小説をもっぱら書いていた(家を建てたあと借金を返す必要があったと自ら語っている)が、1972年より「生々流転―横山大観」を『中央公論』に連載、また同年より発病した妻が翌年癌で死ぬと、そのさまを描いた私小説「微笑」を『小説新潮』に連載、以後作風に変化を来たし、美術もの、犬に関するエッセイなどを書き、1988年「奥村土牛」で読売文学賞受賞。山口洋子が小説家デビューした際の師匠でもあった。
著書
- 『海人舟』(文藝春秋新社、1956年)
- 『敗北の夜』(六興出版部、1957年)
- 『好奇な冒険』(珊瑚書房、1957年)
- 『冬の嵐』(新潮社、1959年)
- 『人魚おんもり物語』(講談社、1961年)
- 『似ている女』(七曜社(不作法随筆シリーズ)、1962年)
- 『女体』(集英社、1963年)
- 『高価な女』(東方社、1963年)
- 『美しき獣』(学習研究社(ガッケン・ブックス)、1963年)
- 『海の虹』(学習研究社、1964年)
- 『熱い砂』(光風社、1964年)
- 『悪女がいっぱい』(光風社、1965年)
- 『陰の色彩』(河出書房新社、1965年)
- 『艶話いなもの』(徳間書店(平和新書)、1965年)
- 『南の男』(青樹社、1966年)
- 『男たちとの夜』(桃源社(ポピュラー・ブックス)、1966年)
- 『はだかの悪戯 笑いと興奮のテクニック』(青春出版社(プレイブックス)、1966年)
- 『近藤啓太郎傑作シリーズ』全4巻(講談社、1967年)
- 『海』(河出書房新社、1967年)
- 『殺されなかった女』(双葉社(双葉新書)、1967年)
- 『青い躯』(桃源社(ポピュラー・ブックス)、1968年)
- 『裸の女神 ジプシー・ローズの生涯』(文藝春秋、1968年)
- 『素晴しい女』(徳間書店(Bed-side books)1968)
- 『桃とバナナ』(実業之日本社(ホリデー新書)、1968年)
- 『鯨女』(新潮社、1968年)
- 『甘すぎた夜』(サンケイ新聞社出版局、1968年)
- 『高級娼婦』(桃源社(ポピュラー・ブックス)、1968年)
- 『妖婦は十八歳』(双葉新書、1969年)
- 『裸女の影像』(桃源社(ポピュラー・ブックス)、1969年)
- 『間違われた女』(桃源社(ポピュラー・ブックス)、1969年)
- 『黒い薔薇』(桃源社(ポピュラー・ブックス)、1969年)
- 『近藤啓太郎の本』(ベストセラーズ、1970年)
- 『眠れない夜の酔夢譚』(ベストセラーズ、1970年)
- 『蜜子』(桃源社(ポピュラー・ブックス)、1970年)
- 『妖婦は昼下りに』(桃源社(ポピュラー・ブックス)、1970年)
- 『一銃一狗』(講談社、1971年)
- 『女の獲物』(桃源社(ポピュラー・ブックス)、1971年)
- 『芸妓』(実業之日本社(ホリデー新書)、1971年)
- 『極悪女』(桃源社(ポピュラー・ブックス)、1971年)
- 『めりけん美人酔夢譚』(桃源社(ポピュラー・ブックス)、1971年)
- 『微笑』(新潮社、1974年)、のち文庫
- 『大観伝』(中央公論社、1974年/中公文庫、1976年、復刊1991年/講談社文芸文庫、2004年)
- 『映画女優』(桃源社(ポピュラー・ブックス)、1974年)
- 『古事記 日本の古典1』(世界文化社、1975年、新版2006年)グラフィック解説
- 『微笑日記』(講談社、1975年)
- 『ぬた毛の犬』(六興出版、1976年)
- 『勝負師一代 囲碁専門棋士の実態』(ぶっくまん、1976年)
- 『ゲンコツおやじ教育論 ここ一番の気概をわが子に植えよ』(青春出版社、1977年)
- 『魔の翳り』(日本経済新聞社、1978年)
- 『しやらくせえあほくせえ』(角川書店、1979年)
- 『犬キチに捧げる本』(日本経済新聞社、1979年)
- 『近代日本画の巨匠たち』(新潮社、1980年)
- 『海風』(家の光協会、1980年)
- 『炎の色』(中央公論社、1981年)
- 『素朴な味』(日本経済新聞社、1982年)
- 『小雪さん』(実業之日本社、1983年)
- 『爛熟時代』(講談社、1983年)
- 『バサラ少年』(読売新聞社、1984年)
- 『娘の結婚』(講談社、1984年)
- 『菱田春草』(講談社、1984年)
- 『明るい暗室』(実業之日本社、1985年)
- 『奥村土牛』(岩波書店、1987年)
- 『犬バカものがたり』(ペップ出版、1988年)
- 『愛の記念碑』(ペップ出版、1989年)
- 『うまい魚と絵があれば』(日本経済新聞社、1990年)
- 『白閃光』(日本経済新聞社、1991年)
- 『虹の雫』(学習研究社、1993年)
- 『楽に死ぬのがなぜ悪い 長生きは不幸の始まり』(光文社、1993年)
- 『男あそび』(有楽出版社、1995年)
- 『母子像』(講談社、1996年)
- 『愛しき犬たち』(講談社、1997年)
- 『齢八十いまなお勉強』(安岡章太郎対談、光文社、2001年)
- 『日本画誕生』(岩波書店、2003年)
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