バラン・ボー・オダー : ウィキペディア(Wikipedia)

バラン・ボー・オダー(Baran bo Odar, 1978年4月18日 - )は、スイスの映画監督、脚本家。

クリエイティブ面、また私生活でもパートナーであると共同製作を務めた『ダーク』や『1899』で知られる。

来歴

1978年4月18日、スイスのオルテンに生まれ、2歳の時にドイツに移住する。

両親ともにドイツ人ではなく、母方はトルコ系で、父方はロシア系である。”ボー”というのは単なるニックネームで、”オダー”は創作された姓である。父方の祖父は白軍に属す医師だったため、十月革命後にロシアから亡命する必要があった。その際、彼は身分を偽造し、他の言語で「医師」を意味する”オダー”という名前を選んだ。

兵役を逃れるために、てんかん患者を治療するクリニックで働いていた。

1998年から2006年まで、で映画製作を学んだ。も同大学の卒業生である。

12歳から絵を描き始め、油絵や漫画、抽象画など様々な絵を描いたことがある。画家を目指していた時期もあったが、上記大学在学中に両方やり続けるのは不可能だと思い、映画製作者の道を選んだ。

ミュンヘン大学で商業映画およびプロモーション映画のマスタークラスを修了した。

自身に影響を与えた映画に、『ブレードランナー』と『アラビアのロレンス』 を挙げている。またジャンルミックスな映画を好み、尊敬する映画にポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』を挙げている。

経歴

2003年、ベルリン国際映画祭が行う若手育成プログラム「ベルリナーレ・タレント・キャンパス(現ベルリナーレ・タレンツ)」に招待され、2005年に短編映画『Quietsch』が第55回ベルリン国際映画祭で上映された。

2006年、自身初の長編映画『Unter der Sonne』が公開され、2006年のスタジオ・ハンブルク新人賞と2007年のミュンヘン映画賞で新人監督賞を受賞した。

2014年、『ピエロがお前を嘲笑う』が公開された。同作はドイツ映画チャートの上位にランクインし、2015年のドイツ映画賞で長編映画賞や脚本賞にノミネートされ、編集賞、美術賞、音響編集賞を受賞した。また、バンビ賞で最優秀ドイツ映画賞を受賞した。

2016年2月、Netflixオリジナル初のドイツ語テレビシリーズとなる『ダーク』の製作が発表された。と共同製作を務め、全エピソードの監督をオダーが務めた。

2017年、『スリープレス・ナイト』でハリウッドデビューを果たす。同年12月、『ダーク』が公開され世界中で絶賛された。

2018年、『ダーク』シーズン1の演出が評価され、ドイツで最も権威のあるテレビ賞と言われるを受賞した。2019年にはシーズン2が、2020年には最終シーズンとなるシーズン3が公開された。

2018年6月、オダーとフリーセがNetflixと提携し、ヨーロッパ初となる同社とのオーバーオール契約を締結した。

2018年11月、『ダーク』のシーズン3公開に先立ち『1899』の製作が発表された。最初の2話は2022年9月のトロント国際映画祭でプレミア公開され、11月17日にNetflixで全話配信された。

2019年、オダーとフリーセが映画製作会社「Dark Ways」を設立した。

2019年10月、Netflixがダニエル・ケールマンの小説『Tyll』の映像化権を獲得し、オダーとフリーセが製作を務めることが報じられた。同作では、14世紀の北ドイツに実在したとされるティル・オイレンシュピーゲルを三十年戦争の時代に登場させている。

2023年1月、Netflixが『1899』の製作をキャンセルしたと報じられた。製作側はシーズン3までの構想をしていたという。

2023年2月、Netflixがオダーとフリーセと8桁の大金で再契約を結んだことが報じられた。コミックブック作品『Something Is Killing the Children』の映像化に動いているという。

フィルモグラフィー

映画

公開タイトル監督脚本製作総指揮備考
2005Quietsch短編
2006Unter der Sonne
2010
2014ピエロがお前を嘲笑う
2017スリープレス・ナイト

テレビ

公開タイトル監督脚本製作総指揮備考
2017–20ダーク
2022
TBATyll

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2023/10/19 08:13 UTC (変更履歴
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