マチルダ : ウィキペディア(Wikipedia)

マチルダ』(原題:)は、1996年制作、ダニー・デヴィート監督のアメリカ合衆国のファンタジー・コメディ映画。原作はイギリスの作家ロアルド・ダールの児童文学作品『マチルダは小さな大天才』で、ニコラス・カザンとロビン・スウィコードが脚本を担当した。マーラ・ウィルソン、ダニー・デヴィート(ナレーターも兼任)、リー・パールマンエンベス・デイヴィッツパム・フェリスが出演し、1996年8月2日にトライスター・ピクチャーズにより公開された。無知で愚かな大人たちに立ち向かう子どもの姿をユーモラスに描いた作品である。

ストーリー

金儲けしか頭にないインチキ中古車販売業者のワームウッド夫妻は、女の子の赤ん坊・マチルダを授かった。父ハリーは仕事、母ジニアはビンゴ、兄マイケルは学校の間、彼女はわずか4歳で地元の図書館に毎日通い、高尚な英文学を読みこなし、数学に関しても大人顔負けな頭脳を発揮するまさに天才少女だった。しかし、両親はそんな我が子に露ほどの興味も示さず逆に邪魔者扱いをし、ことあるごとに罵倒するばかりだった。6歳半の頃、そんな両親に我慢ができなくなり学校に行きたいと訴えるが、ハリーは取りあってくれず、無理やり自室に押し込められて遠ざけられてしまった。その報復として父のヘアトニックに過酸化水素を入れ。ハリーは子供たちに自分の仕事について教えるが、マチルダは父の売る車が中古車に細工をしてごまかした欠陥車であることを知り、父の不正を責めたが軽くあしらわれまたしても罵倒される。憤慨したマチルダは強力接着剤を父の帽子に塗り頭から外れないように仕向けて仕返しをする。夜、応接間でのテレビをつけながらの団らん中に図書館で借りた本を読みふける娘を見たハリーは憤慨し、本を奪い取って引き裂いた上に無理矢理一緒にテレビを見させようとする。マチルダの怒りが頂点に達した時、テレビが突然爆発し、マチルダは呆然とする。

ある時、ハリーの中古車販売店に、クランチェムホール小学校の校長・トランチブルが訪れる。彼女は暴力を持って子供を支配する残酷な人間であり、彼女の唱える教育方針に賛意を示したハリーはマチルダをクランチェムホール小学校へと入学させる。憧れの学校生活に胸をときめかし、友達にも恵まれるマチルダであったが、トランチブルの暴力支配に脅かされている学校の実態を目の当たりにする。そんな中、マチルダは自分の理解者となってくれた心優しい担任教師ミス・ハニーと心を通わせていく。ミス・ハニーはマチルダをより上級のクラスへ異動させることを提案するが、トランチブル校長は父親から「マチルダは粗悪な不良児」という見解を信じ込んでおり、断固としてこれを拒否する。その夜ミス・ハニーはマチルダの家を訪問し、マチルダへの理解を深めるように語るが両親は全く相手にしない。一方マチルダは父の違法取引により自分の家族がFBI捜査員のボブとビルの監視下にあることに気付くが、両親はマチルダを信じず、母は彼らがモーターボートのセールスマンだと思い込む。

トランチブル校長は週に1度の調査と称して各教室を訪れ生徒を虐げていた。マチルダのクラスにその日がやってきたある日のこと、同級生のラベンダーはトランチブル校長を驚かせようといたずらで水差しにイモリを入れるが、トランチブル校長はイモリを見つけるとマチルダのせいにし、言いがかりに腹を立てたマチルダは念力でコップを倒して水をこぼし、イモリはトランチブル校長に飛びつく。そのいさかいをきっかけに、マチルダは自分の中に超能力が眠っていることに気が付く。放課後、ミス・ハニーはマチルダをお茶のため自宅に招待する。その道中2人はトランチブル校長の家の前を通り、ミス・ハニーは秘密を明かす。ミス・ハニーが2歳の時に母親が亡くなり、父マグナスは義姉妹を家に招きミス・ハニーの世話を見てもらうことにした。実はトランチブルはミス・ハニーの法律上の叔母であり、ミス・ハニーを常に虐待し続け、そして彼女が5歳の時にマグナスを自殺に見せかけて殺し、家と財産を奪った悪党だった。そのことを知ったマチルダは、トランチブル校長が不在の時にミス・ハニーと共に家に忍び込みミス・ハニーが大切にしていた人形を取り戻そうとするが、トランチブル校長が不意に戻ってきたため追われる羽目になってしまい、何も取り戻せないまま命からがら逃げだす。

父との口論の最中にマチルダの超能力が再び活性化し、マチルダは自分の思い通りに使いこなせるよう訓練する。マチルダはトランチブル校長の家に再びやってきて人形を取り戻すと、ついでに超能力を利用しマグナスの霊を装って脅しをかけ村から追い出そうとするが、暴風に煽られて取れたリボンが木の枝に引っかかってしまい、校長に正体を勘付かれてしまう。翌日。マチルダが人形を取り戻してくれた事に驚くミス・ハニーの前で超能力を披露していると、トランチブル校長が教室にやってきてマチルダに罪を認めさせようとする。しかし、追い詰められたマチルダは動じることなく、再びマグナスの霊のフリをしてトランチブルがマグナスを殺害したことを責め、脅迫と警告のメッセージをチョークで黒板に書き付けた。ショックのあまり我を忘れて暴走する校長はことごとくマチルダの超能力でやり込められ、ついに虐げてきた子供たちの反撃を一斉に喰らう。完膚無きまでに打ちのめされた校長は逃げ出し、ついに学校に平和が、ミス・ハニーに財産と家が取り戻された。

その後、父はFBIに追い詰められて家族でグアムに高飛びしようとする。彼らはミス・ハニーの家にマチルダを迎えに行くが、マチルダは家族と決別し、ミス・ハニーに養子にしてくれるように頼む。母はマチルダを理解してあげられなかったことを一瞬だけ後悔し、マチルダがずっと保管していた養子縁組申請書に両親とも署名する。一家はそのまま逃亡し、マチルダは新たにクランチェムホール小学校校長となったミス・ハニーと共に幸せに暮らすのだった。

登場人物

マチルダ
本作の主人公兼ヒロイン。ワームウッド家の長女。赤ん坊の頃にはすでにアルファベットを書けるようになり、4歳で高尚な英文学を読みこなし数学にも抜群の才能を発揮する天才少女。理不尽な仕打ちをする大人たちへの怒りから超能力に目覚め、持ち前の頭脳と超能力で悪辣な大人たちを懲らしめるべく立ち向かう。
性格そのものは年相応の女の子らしく明るく天真爛漫で、自分の才能をひけらかして鼻にかけるような事もしないため、クラスメートとすぐに打ち解けている。
ワームフッド
マチルダの父親。インチキ中古車販売業者。実の娘であるマチルダをことあるごとに罵倒し、怒鳴り散らす。原作とイメージが反対で小太りな体格。
ジニア
マチルダの母親。怠惰な性格で、赤ん坊のマチルダを家に置き去りにしてビンゴ大会にいってしまう。原作とイメージが反対で細身で派手な格好をしている。
マイケル
マチルダの兄。原作と違い、マチルダをバカ呼ばわりする性悪な性格。
ミス・ハニー
クランチェムホール小学校の1年生クラスの担任教師。マチルダの天才ぶりに舌を巻き、良き理解者となる。心優しく控えめな性格で生徒達から慕われているが、辛い生い立ちを背負いある秘密を抱えている。
トランチブル校長
クランチェムホール小学校の女校長。元オリンピックのハンマー投の選手で、筋骨隆々のたくましい肉体を持つ。子供嫌いな性格で、暴力で学校を支配し生徒たちに容赦ない虐待を加える。自分の嫌いなおさげ髪の少女を、おさげを掴んで投げ飛ばしてしまうほどの怪力の持ち主。
ハリーにオンボロの中古車を売りつけられた恨みから、娘であるマチルダを目の敵にするようになる。
ラベンダー
マチルダのクラスメートで親友。休み時間にマチルダの武勇伝を聞いてトランチブルにイタズラを仕掛ける事を思いつくものの反対にマチルダを追い詰めてしまうが、それがきっかけで彼女の超能力が本格的に覚醒した。
アマンダー・フィリップ
マチルダのクラスメート。トランチブルの嫌いなおさげで登校したためトランチブルに目をつけられ、ハンマー投げの如く投げ飛ばされてしまう。
運良く花壇に落ちたためケガすることなく無事で済み、その後はミスハニーにおさげ髪をほどいてもらい長髪におろすようになった。
ブルース・ボッグトロッター
マチルダのクラスメートでかなりの食いしん坊。チョコケーキを盗み食いした罪でトランチブルから巨大なガトーショコラを食べさせられてしまうが、マチルダとクラスメート達の応援で見事完食して校長の鼻をあかして見せた。
ホルテンシア
マチルダが通う小学校の上級生。マチルダとラベンダーにトランチブルについて教える。
ミス・フェルプス
マチルダが通う図書館の館長。マチルダの天才ぶりに舌を巻き、本を読みたがっている彼女に様々な助言を与えた。
マチルダにとって最初に出会った数少ない理解者の1人。
クッキー
校長先生の指示でチョコレートケーキを作る
FBI捜査官ボブ
FBI捜査官ビル
ハリーのインチキ商法の証拠を掴むために自宅を見張っていたFBI捜査官。マチルダの超能力と口八丁で言いくるめられてしまう。
マギー
ミッキー
劇中番組『ミリオン・ダラー・スティッキー』の司会。

出演

役名 俳優 日本語吹替
マチルダ マラ・ウィルソン 矢島晶子
ハリー ダニー・デヴィート 樋浦勉
ジニア レア・パールマン 一城みゆ希
ミス・ハニー エンベス・ダビドス 佐々木優子
トランチブル校長 パム・フェリス 吉田理保子
FBI捜査官ボブ ポール・ルーベンス 清水明彦
FBI捜査官ビル トレイシー・ウォルター 仲野裕
ラベンダー キアミ・ダバエル こおろぎさとみ
ブルース ジミー・カーツ 水原リン
ミッキー ジョン・ロヴィッツ 家中宏
その他 藤枝成子喜田あゆ美亀井芳子藤堂陽子筒井巧木附久美子松岡恵美子岩居由希子津村まこと
ナレーター ダニー・デヴィート 樋浦勉

※日本語版スタッフ

  • 演出:松川陸
  • 吹替翻訳:徐賀世子
  • 調整:オムニバス・ジャパン
  • 製作:東北新社

エピソード

マチルダ役のマーラ・ウィルソンの母、スージー・ウィルソンが撮影中に乳癌で逝去し、完成した作品は彼女に捧げられた。エンドロール前のスタッフクレジットの最後にスージーの名前が掲げられている。

音楽

ラステッド・ルートによる『Send Me on My Way 』が、マチルダ4歳の時に自宅で1人でパンケーキを作るシーンと、ミス・ハニーがトランチブルから家を取り戻してマチルダと共に暮らすモンタージュで使用されている。サーストン・ハリスの『Little Bitty Pretty One 』が、マチルダが自身で超能力の訓練をするシーンで使用されている。

映画のオリジナルの楽曲はデヴィッド・ニューマンにより作曲された。

評判

公開時、批評家の称賛を得た。Rotten Tomatoesでは90%の満足度であった。アメリカ国内では3,600万ドルの予算に対し、興行収入3,300万ドルであった。世界で公開されると興行収入は上がり、ビデオが出版されテレビで放映され、最終的に予算の2倍近くの興行収入となった。

ブルーレイ

映画公開から17周年となる2013年に出演者たちは久々に再会した。再会シーンが特典映像として追加されたブルーレイがリリースされた。

受賞歴

受賞
  • ヤングスター・アワード
  • シネキッド・ライオン観客賞
  • オウル国際子供映画祭スターボーイ賞
    • 監督賞 — ダニー・デヴィート
ノミネート
  • サテライト賞
    • 助演男優賞コメディ/ミュージカル部門 — ダニー・デヴィート
  • ヤング・アーティスト賞
    • 主演女優賞映画部門 — マーラ・ウィルソン
    • 助演女優賞映画部門 — キラ・スペンサー・ヘッサー

アカデミー作曲賞ノミネート有力とされていたが、結局ノミネートはされなかった。

参考文献

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2021/05/23 11:53 UTC (変更履歴
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