木村恵吾 : ウィキペディア(Wikipedia)
木村 恵吾(きむら けいご、1903年6月19日 - 1986年1月20日)は、日本の映画監督、脚本家である。サイレント映画の時代に脚本家、ついで監督としてデビューした。1940年(昭和15年)にオペレッタ映画『狸御殿』を創出、『オペレッタ狸御殿』(2005年)につながる源流をつくった。
人物・来歴
1903年(明治36年)6月19日、静岡県三島市に生まれる。
早稲田大学附属早稲田高等学院(現在の早稲田大学高等学院)の2年次終了で日活大将軍撮影所に入社木村恵吾、raizofan.net, 2009年10月14日閲覧。、1926年(大正15年)、オリジナル脚本が採用され、伊奈精一監督、根岸東一郎主演のサイレント映画『神田の下宿』で脚本家としてデビューした#外部リンク欄、「木村恵吾」の項リンク先、日本映画データベース、2009年10月14日閲覧。二重リンクを省く。。同年、オリジナル脚本第2作『都の西北』が映画化され、伊奈監督、中野英治主演で製作されたが、これには俳優時代ののちの映画監督渡辺邦男が出演している。同撮影所は1929年(昭和4年)に太秦に移転したが、同年までに11本の脚本が採用されて映画化された。
1930年(昭和5年)、帝国キネマ演芸に移籍、川口松太郎の原作を自ら脚色した中野英治主演の『若き血に燃ゆる者』で監督としてデビューした。同社で4作を監督し、オリジナル脚本を1作、松本英一監督に提供して、翌年1931年(昭和6年)に同社が新興キネマに改組されてからは、新興キネマ京都太秦撮影所(現在の東映京都撮影所)で活動した。1940年(昭和15年)、同社の紀元二千六百年奉祝のための大作『国姓爺合戦』の監督に抜擢され、八尋不二脚本、市川右太衛門主演で演出し、成功する。
1942年(昭和17年)、第二次世界大戦の戦時統制による同社合併により大日本映画製作(のちの大映)所属となり、以前日活太秦撮影所であった大映京都撮影所に異動になる。同年、オリジナル脚本による高山廣子・宮城千賀子主演のオペレッタ映画『歌ふ狸御殿』を監督、成功する。翌1943年(昭和18年)、召集を受けて戦地に赴く。1945年(昭和20年)前半には復員し、波多謙治こと西條照太郎との共同脚本、市川右太衛門主演の映画『紅顏鼓笛隊』で監督として復帰する。
終戦後も大映京都撮影所に所属し、1949年(昭和24年)の脚本・監督作『花くらべ狸御殿』に出演した京マチ子を同年、宇野重吉との共演作『痴人の愛』のナオミ役に起用し、京の売り出しに成功する。1950年代には、同撮影所に所属しながら、新東宝や宝塚映画、東京映画にもお呼びがかかった。
1955年(昭和30年)4月29日から始まったフランス・カンヌでの第8回カンヌ国際映画祭に、前年の京マチ子主演作品『千姫』(1954年)がパルムドールにノミネートされ、コンペティション上映されたが、賞は逃した。
1965年(昭和40年)、大映を退社後は、テレビ番組の演出をしたが、しばらくして引退した。
1986年(昭和61年)1月20日、胃癌により死去した。満82歳没。
おもなフィルモグラフィ
大映以前
- 神田の下宿 (監督伊奈精一、日活大将軍撮影所、1926年) - 原作・脚本のみ
- 都の西北 (監督伊奈精一、日活大将軍撮影所、1926年) - 原作・脚本のみ
- 若き血に燃ゆる者 (帝国キネマ演芸、1930年)
- 不如帰 (新興キネマ、1932年)
- 狸御殿 (新興キネマ、1939年)
- 国姓爺合戦 (新興キネマ、1940年)
大映京都撮影所
- 維新の曲 (1942年) - 応援演出
- 歌ふ狸御殿 (1942年)
- 紅顏鼓笛隊 (1945年)
- 瀧の白糸 (1946年)
- 天下の御意見番を意見する男 (1947年)
- 春爛漫狸祭 (1948年)
- 花くらべ狸御殿 (1949年)
- 痴人の愛 (1949年)
- 浅草の肌 (1950年)
- 牝犬 (1951年)
- 馬喰一代 (1951年)
- 三万両五十三次 (1952年)
- 千姫 (1954年) - 第8回カンヌ国際映画祭パルムドールノミネート
- 世にも面白い男の一生 桂春団治 (宝塚映画、1956年)
- 大当り狸御殿 (監督佐伯幸三、宝塚映画 / 東宝、1958年) - 原作のみ
- 初春狸御殿 (1959年)
- 痴人の愛 (1960年)
- お伝地獄 (1960年)
- 狸穴町0番地 (主演高田美和・西郷輝彦、1965年)
註
外部リンク
- 木村恵吾 - 日本映画データベース
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2023/11/27 10:31 UTC (変更履歴)
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