上遠恵子 : ウィキペディア(Wikipedia)
上遠 恵子(かみとお けいこ、1929年7月17日 - )は、日本のエッセイスト、翻訳家。レイチェル・カーソン日本協会会長。
人物
東京都出身。東京薬科大学卒業。1974年、『生命の棲家』(後に『レイチェル・カーソン』と改題)を訳出。研究室勤務、学会誌編集者を経て、現在エッセイスト。レイチェル・カーソン日本協会理事長を経て会長。
年譜
1929年:東京・田園調布にて誕生。父親は昆虫学者。東京帝国大学理学部を卒業後、農林省(現:農林水産省)に勤務する技官だった。両親がクリスチャンだったため、幼児洗礼を受ける。
1936年:小学校入学。
1941年:太平洋戦争勃発。田園調布のあたりもB29の空襲を受けるが、生家は被害を免れた。
1942年:東京府立第三高等女学校(現:東京都立駒場高等学校)入学。
1946年:帝国女子理学専門学校(現:東邦大学理学部)生物学科入学、2年後に退学。
1950年:東京薬科大学に2年次編入学、在学中に21歳で結婚。
1953年:同大学を卒業し、東京大学農学部農芸化学科研究室に勤務。
1959年:離婚。学会誌の編集などに携わる。この頃、甥や姪の母親代わりも務めるようになる。
1960年:日本農芸化学会編集部勤務。
1962年:米国でレイチェル・カーソンが『Silent Spring』を出版。DDTを始めとする農薬などの化学物質の危険性、生態系への影響を公にし、社会的に大きな影響を与えた。著作は半年で50万部を売り上げる。日本でも2年後に翻訳出版される。
1965年:植物化学調節研究会主事。
1970年:『Since Silent Spring/邦題:サイレント・スプリングの行くえ』フランク・グレアム著(同文書院)を共訳する。職業の分野だけでなく境遇まで似ていることもあり、レイチェル・カーソンに興味を抱く。
1974年:『The House of life/~Rachel Carson at Work~/邦題:生命の棲家』ポール・ブルックス著(新潮社)を訳出(後に『レイチェル・カーソン』と改題)。
1977年:植物化学調節学会を退職。執筆生活と両親の介護をする。
1987年:『The Edge of the Sea/邦題:海辺』(平河出版)を訳出。後に平凡社ライブラリーにて新書版も出版。
1988年:母死去。レイチェル・カーソン日本協会設立。代表委員となる。母の死をきっかけに信仰を告白。
1991年:『The Sense of Wonder/邦題:センス・オブ・ワンダー』(佑学社)を訳出。
1993年:『Under the Sea Wind/邦題:潮風の下で』(宝島社)を訳出。父死去。
1995年:『Peace Times/邦題:平和へ』キャサリン・スコールズ著(岩崎書店)を訳出。
1996年:佑学社の倒産により、『The Sense of Wonder/邦題「センス オブ・ワンダー」を新潮社が買い取り再販。
1999年:『Voice for the Earth/邦題:「沈黙の春」で地球の叫びを伝えた科学者レイチェル・カーソン』ジンジャー・ワズワース著(偕成社)訳出。
2001年:映画『センス・オブ・ワンダーレイチェル・カーソンの贈りもの』(グループ現代製作)に朗読者として出演。子安美知子・上遠恵子対談集『いのちの樹の下で』(海拓社)出版。
2004年:著書『レイチェル・カーソンの世界へ』(かもがわ出版)を上梓。
2006年:『Speaking for Nature/邦題:自然保護の夜明け デイヴィド・ソローからレイチェル・カーソンへ』ポール・ブルックス著(新思索社)を訳出。
2013年:著書『レイチェル・カーソン:いのちと地球を愛した人』(日本キリスト教団出版局)を上梓。
2014年:著書『レイチェル・カーソン いまに生きる言葉』(翔泳社)を上梓。
2021年:監修書『13歳からのレイチェル・カーソン』(かもがわ出版)を上梓。
翻訳
レイチェル・カーソンの著作
- 『海辺 The Edge of the Sea』(平河出版社、1987年)、のち平凡社ライブラリー
- 『潮風の下で Under the Sea-Wind』(宝島社、1993年)、のち文庫、岩波現代文庫、ヤマケイ文庫
- 『センス・オブ・ワンダー The Sense of Wonder』(祐学社、1991年、新潮社、1996年)、のち新潮文庫
他の主な訳書
- フランク・グレアム 『サイレント・スプリングの行くえ Since Silent Spring』(田村三郎共訳、同文書院、1970年)
- ポール・ブルックス『生命の棲家 The House of Life: Rachel Carson at Work』(新潮社、1974年)
- 改訂版『レイチェル・カーソン』(新潮社、1994年、新版2004年)、のち新潮文庫 上下
- キャスリン・カドリンスキー『レイチェル・カーソン―沈黙の春をこえて』(佑学社、1989年)、児童向け。点字資料
- ジンジャー・ワズワース『レイチェル・カーソン 〈沈黙の春〉で地球の叫びを伝えた科学者』(偕成社、1999年)、児童向け
- リンダ・リア『レイチェル・カーソン『沈黙の春』の生涯』(東京書籍、2002年)
- ポール・ブルックス『自然保護の夜明け』(北沢久美共訳、新思索社、2006年)
著書
- 『レイチェル・カーソン : その生涯』レイチェル・カーソン女史生誕80年記念事業推進委員会、1987.5
- 『「沈黙の春」を読む』原強と共著、レイチェル・カーソン日本協会編、かもがわ出版、1992.4
- 『いのちの樹の下で : エンデとカーソンの道を継ぐ』子安美知子と共著、海拓舎、2001.7
- 『レイチェル・カーソンの世界へ』かもがわ出版、2004.8
- 『レイチェル・カーソン : いのちと地球を愛した人』日本キリスト教団出版局、2013.2
- 『レイチェル・カーソン : いまに生きる言葉』翔泳社、2014.7
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