堤康久 : ウィキペディア(Wikipedia)

は、日本の元俳優である。本名同じ。実兄は京都産業大学名誉教授の堤重久。妻は東宝専属女優の江島和子。東京出身。

経歴

東京府東京市(現在の東京都)で新宿の開業医の家庭に生まれ育ち、立教大学中退後、前進座に参加。

旧制中学校在学中、15歳の時から綴っていた全7冊ほどの日記は、太宰治の一番弟子と言われた兄重久の紹介により、太宰の長編小説『正義と微笑』(1942年)の題材となった。この作品の中で、康久の日記におけるマルクス主義への傾倒は、キリスト教への傾倒に置き換えられている『太宰治全集 第五巻 月報5』筑摩書房、1956年2月20日。堤重久「『正義と微笑』の背景」。。また前進座では「中村文吾」の芸名だったが、戦後は『正義と微笑』の主人公の名である「芹川進」で活動したこともある新潮文庫「パンドラの匣」解説 奥野健男 ISBN 978-4101006116。

戦後は東宝の専属俳優となり、脇役として多数の映画、テレビドラマに1960年代後半ごろまで出演。警官役や軍人役が多い。

引退後は書店を経営していたという。

人物

後輩俳優の加藤茂雄によれば、堤は江戸っ子弁で弁が立つ人物であったといい、『ゴジラ』(1954年)の鳥羽ロケから帰ってきた際には草間璋夫が足を負傷した話を「かまいたち」に遭ったと物語風に語っていたという。

堤は本多猪四郎監督作品の常連で、本多はよく自宅に俳優らを招いていたが、加藤によれば堤は「監督に媚びてまで仕事は欲しくない」という主張であたっため、加藤も東宝時代には本多宅を訪れることはなかったと述べている。一方で、妻の江島和子によれば、本多の誕生日に招かれたことがあったという。

出演

映画

  • 四十八人目の男(1952年)
  • 旅はそよ風(1953年)
  • サラリーマンの歌(1953年)
  • 太平洋の鷲(1953年) - 右翼の青年
  • 赤線基地(1953年)
  • 七人の侍(1954年)
  • 水着の花嫁(1954年)
  • ゴジラシリーズ
    • ゴジラ(1954年) - 大島島島民
    • キングコング対ゴジラ(1962年) - 東部軍陸上一部長
    • モスラ対ゴジラ(1964年) - 船着場の警官
    • 怪獣大戦争(1965年) - 第一調査隊隊長
  • 透明人間(1954年) - 宝石商の店員
  • 浮雲(1955年)
  • おえんさん(1955年)
  • 獣人雪男(1955年) - 児玉
  • 青い果実(1955年)
  • 驟雨(1956年)
  • 彼奴を逃すな(1956年)
  • 妻の心(1956年)
  • 不良少年(1961年)
  • 白夫人の妖恋(1956年)
  • 新婚第一課(1956年)
  • 裸足の青春(1956年)
  • 流れる(1956年)
  • 空の大怪獣 ラドン(1956年) - 今村
  • 危険な英雄(1957年、東宝)
  • 嵐の中の男(1957年)
  • 最後の脱走(1957年)
  • 夕凪(1957年)
  • 続々大番 怒涛篇(1957年)
  • 二人だけの橋(1958年)
  • 結婚のすべて(1958年)
  • 密航者は誰か(1958年)
  • 或る剣豪の生涯(1959年)
  • 日本誕生(1959年) - 大和の兵
  • 宇宙大戦争(1959年) - 急行列車運転士
  • 暗黒街の対決(1960年)
  • 落語天国紳士録(1960年)
  • 変身人間シリーズ
    • 電送人間(1960年) - 記者
    • ガス人間第一号(1960年) - 警官(相見巡査)
  • 恐妻党総裁に栄光あれ(1960年)
  • 大学の山賊たち(1960年)
  • 八百屋お七 江戸祭り一番娘(1960年)
  • ふんどし医者(1960年)
  • 愚連隊シリーズ
    • 独立愚連隊西へ(1960年)
    • どぶ鼠作戦(1962年)
  • 花のセールスマン 背広三四郎(1960年)
  • 大坂城物語(1961年)
  • 守屋浩の三度笠シリーズ 泣きとうござんす(1961年)
  • モスラ(1961年) - キコリ、日本大尉F
  • 紅の海(1961年)
  • 真紅の男(1961年)
  • 黒い画集 第二話 寒流(1961年)
  • 暗黒街撃滅命令(1961年)
  • 椿三十郎(1962年)
  • 重役候補生No.1(1962年)
  • クレージー映画
    • ニッポン無責任野郎(1962年)
    • クレージー作戦 くたばれ!無責任(1963年) - スーパーの主任
    • 日本一のホラ吹き男(1964年)
    • ホラ吹き太閤記(1964年)
    • 日本一のゴリガン男(1966年)
  • 太平洋の翼(1963年)
  • 天国と地獄(1963年)
  • 戦国野郎(1963年)
  • 青島要塞爆撃命令(1963年) - 太田兵曹
  • イチかバチか(1963年)
  • 大盗賊(1963年)
  • 江分利満氏の優雅な生活(1963年)
  • ああ爆弾(1964年)
  • ただいま診察中(1964年)
  • 宇宙大怪獣ドゴラ(1964年) - 銀座の警官
  • 西の王将東の大将(1964年)
  • 侍(1965年)
  • 暗黒街全滅作戦(1965年)
  • 赤ひげ(1965年)
  • ここから始まる(1965年)
  • 太平洋奇跡の作戦 キスカ(1965年) - 主計長
  • 戦場にながれる歌(1965年)
  • 香港の白い薔薇(1965年)
  • けものみち(1965年)
  • フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ(1966年) - 士官
  • 燃えろ!太陽(1967年)
  • 東宝8.15シリーズ
    • 日本のいちばん長い日(1967年)
    • 連合艦隊司令長官 山本五十六(1968年)

テレビドラマ

  • 青春とはなんだ 第3話「若い息吹き」(1965年):質屋
  • ウルトラシリーズ
    • ウルトラマン 第16話「科特隊宇宙へ」(1966年):新聞記者
    • ウルトラQ 第28話「あけてくれ!」(1967年):異次元列車車掌
    • ウルトラセブン 第16話「闇に光る目」(1968年):地獄山駐在所巡査
  • マイティジャック 第3話「燃えるバラ」(1968年):貸しビル管理人

その他

  • ETV2001 太宰治~死を人質に生きた男(2001年4月25日)

注釈

出典

出典(リンク)

参考文献

  • 洋泉社MOOK 別冊映画秘宝(洋泉社)

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