九里一平 : ウィキペディア(Wikipedia)
九里 一平(くり いっぺい、1940年1月1日 - 2023年7月1日訃報 - タツノコプロ(2023年7月19日)2023年7月20日閲覧。)は、日本の漫画家、アニメ監督、アニメーションプロデューサー、キャラクターデザイナー。株式会社タツノコプロ第3代社長。京都府京都市出身。本名:吉田豊治(よしだ とよはる)。
来歴・人物
タツノコプロ創業経営者一族の「吉田三兄弟」の三男で、長兄は漫画家・アニメ原作者・タツノコプロ初代社長の吉田竜夫、次兄はアニメプロデューサー・タツノコプロ第2代社長・初代会長の吉田健二。
ペンネームの由来は「お前は目がクリクリしているから」と言われ「クリ=九里」とし、さらに「一平」をつけたことによる。
挿絵画家・漫画家として活躍していた竜夫の後を追い上京。当初は挿絵画家志望だったが、竜夫の影響で漫画家を志し、竜夫のアシスタントとして活動した後、赤本の描き下ろし単行本『あばれ天狗』でデビュー。『マッハ三四郎』などの作品で人気を博す。タツノコプロ設立後は、多くのタツノコアニメでプロデューサー・企画・監督などの重責を約40年間にわたって担い続けた。
幼少の頃に進駐軍を見て「日本人でいたくない」という願望を持つ。進駐軍払い下げのアメコミを読み『スーパーマン』に憧れる(九里によると漫画デビュー作は「『スーパーマン』を子供にしたような漫画」である)。こうした原体験からその画風はアメコミ調である。さらに『マッハGoGoGo』など、手がけたアニメの世界観もアメリカ的である『動画王』vol.7 キネマ旬報社、1998年、76-94頁。
京都美術工芸大学の客員教授も務めた京都美術工芸大学教員紹介。
2023年7月1日に死去し、同月10日に近親者のみによる葬儀が執り行われたことが、19日にタツノコプロより発表された。
経歴
- 1940年、京都市に生まれる。
- 1958年、京都市立洛陽高等学校(後の京都市立洛陽工業高等学校→現・京都市立京都工学院高等学校)を中退。挿絵画家を志し、次兄・吉田健二とともに上京。
- 1959年、赤本の描き下ろし漫画単行本『あばれ天狗』を経て、集英社の「日の丸」に『Zボーイ』を連載し、中央の出版社でデビュー。
- 1962年、吉田竜夫、吉田健二と3人でアニメーション制作会社「竜の子プロダクション」(タツノコプロ)を設立。
- 1977年、タツノコプロの子会社・アニメフレンド(1990年解散)が設立され、同社の代表取締役に就任。
- 1987年、吉田健二の社長退任に伴い、タツノコプロの第3代社長に就任。
- 2005年
- 7月1日、大手玩具メーカーのタカラによるタツノコプロの子会社化を受けて社長を退任。この時、吉田健二会長も同時に退任、吉田三兄弟がタツノコプロの経営から離れた。
- 10月、第10回アニメーション神戸賞(神戸市主催)特別賞受賞。
- 2019年7月29日、10年以上の歳月をかけ、人生最後の描き下ろし伝奇時代劇漫画『暗闇同心 鍔鳴剣屍郎 怨霊斬り』『暗闇同心 鍔鳴剣屍郎 怨霊斬り』特設サイトを丸善ジュンク堂書店およびhonto限定で発売。
- 2023年7月1日、死去。。奇しくもタツノコプロ社長退任からちょうど18年後の同日だった。
主な作品
漫画
- マッハ三四郎(原作:久米みのる、構成:吉田竜夫)
- 大空のちかい
- 紅三四郎
- ファイター健
- 弾丸児
- アラーの誓い
- 海底人8823
- 海洋少年隊
- アラーの使者(同名特撮番組のコミカライズ)
- 暗闇同心 鍔鳴剣屍郎 怨霊斬り
アニメ
- 赤い光弾ジリオン(製作)
- アニメンタリー 決断(総監督・演出・作画監督・原動画)
- 宇宙エース(企画・脚本・演出・キャラクターデザイン・作画監督)
- 宇宙の騎士テッカマン(プロデューサー・演出)
- 宇宙の騎士テッカマンブレード(製作)
- おらぁグズラだど(リメイク版)(企画)
- 海底大戦争 愛の20000マイル(監督・絵コンテ)
- 科学忍者隊ガッチャマン(プロデューサー)
- 科学忍者隊ガッチャマンII(プロデューサー・キャラクターデザイン)
- 科学忍者隊ガッチャマンF(企画・プロデューサー)
- 樫の木モック(演出)
- 鴉 -KARAS-(製作)
- キャッ党忍伝てやんでえ(製作総指揮)
- 紅三四郎(演出・総監督)
- けろっこデメタン(プロデューサー)
- ゴールドライタン(企画・キャラクターデザイン)
- ゴワッパー5 ゴーダム(演出)
- 昆虫物語 みなしごハッチ(演出・総監督)
- 昆虫物語 新みなしごハッチ(プロデューサー)
- 昆虫物語 みなしごハッチ(リメイク版)(製作・キャラクターデザイン)
- 昭和アホ草紙あかぬけ一番!(企画)
- 新造人間キャシャーン(テレビアニメ版=プロデューサー、OVA版=エグゼクティブプロデューサー)
- シンデレラ物語(製作)
- タイムボカンシリーズ(企画・プロデューサーただし、「イタダキマン」は原作のみに格下げられた。)
- ダッシュ勝平(企画)
- 天空戦記シュラト(製作)
- 闘士ゴーディアン(企画・キャラクターデザイン)
- ドテラマン(原案)
- とんでも戦士ムテキング(企画・プロデューサー・キャラクターデザイン)
- 風船少女テンプルちゃん(演出)
- ポールのミラクル大作戦(プロデューサー)
- マッハGoGoGo(1967年版)(演出)
- マッハGoGoGo(1997年版)(キャラクター原案・アートディレクター・主題歌作詞、他)
- 未来警察ウラシマン(企画)
- よばれてとびでて!アクビちゃん(企画・製作)
- ロビンフッドの大冒険(アニメーションプロデューサー)
これらはごく一部で、殆ど全てのタツノコアニメに重要な役割で携わっている。
著書
- 『京の夢、明日の思い出—あの頃のぼくに招かれて』 講談社、2004年11月。ISBN 4062126508
- 『九里一平作品集』 求龍堂、2012年11月。ISBN 4763012347
- 『九里一平 PAST & FUTURE』 河出書房新社(MOBSPROOF EX・出版ワークス)、2016年9月。ISBN 4309920942
関連記事
- 岩切徹「漫画家九里一平 アニメ界のモックは何処へ」 『AERA』、朝日新聞社、2005年10月17日号
関連項目
- 京都府出身の人物一覧
外部リンク
- 一平舎 - 九里一平のオフィシャルサイト
- タツノコプロ元社長の九里一平さん死去 「みなしごハッチ」総監督 (朝日新聞、2023年7月20日)
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