ダニエル・ハート : ウィキペディア(Wikipedia)

ダニエル・ポール・バードDaniel Paul Bard, 1985年6月25日 - )は、アメリカ合衆国テキサス州ヒューストン出身のプロ野球選手(投手)。右投右打。MLBのコロラド・ロッキーズ所属。

経歴

プロ入り前

5歳で野球を始め、少年時代は遊撃手を守っていた。高校では野球をするために転校して新しいチームでは投手として好記録を残し、打者としても3割を打ち5本塁打。翌年には4割を打って10本塁打を打った。のMLBドラフト20巡目(全体604位)でニューヨーク・ヤンキースから指名を受けたが、学業に励みたいという自身の意思から、地元ノースカロライナ州のノースカロライナ大学チャペルヒル校に進学。のベースボール・アメリカでアメリカの最も優れた新人であると評された。このシーズン16試合に登板し8勝4敗・防御率3.88を記録した。新人の8勝はノースカロライナ大学チャペルヒル校の新記録であった。

は7勝5敗、防御率4.22、も9勝4敗・防御率3.64を記録し、チームメイトのアンドリュー・ミラーと共にドラフト候補に挙がった。

プロ入りとレッドソックス時代

2006年のMLBドラフト1巡目(全体28位)でボストン・レッドソックスから指名され、プロ入り。

は傘下のA級グリーンビル・ドライブとA+級ランカスター・ジェットホークスで先発投手として75イニングを投げ、防御率7.05・78四球の成績を残した。この成績から中継ぎに移された。シーズン終了後レベル的にAAA級のハワイ・ウィンターリーグで16試合に投げて防御率1.08と好投し、制球問題に関しても大幅に改善した。

はA級グリーンビルとAA級ポートランド・シードッグスで中継ぎとして投げ、77イニングを投げ、防御率1.51・107奪三振の成績を残し、近年はジョン・レスターやクレイ・バックホルツが選出されていたマイナーリーグのピッチャー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。

はAAA級ポータケット・レッドソックスでシーズンをスタートし、16イニングで打者58人に対し29奪三振。6安打され、うち2本が本塁打であった。5月10日にハビアー・ロペスのマイナー降格に伴ってメジャー昇格し、13日のロサンゼルス・エンゼルス戦でメジャーデビューを果たした。5月20日のトロント・ブルージェイズ戦でフェンウェイ・パークで初登板したが、3安打を打たれ失点した。6月12日のフィラデルフィア・フィリーズ戦で延長13回に登板しメジャー初セーブを記録した。8月26日のシカゴ・ホワイトソックス戦でデビッド・オルティーズのサヨナラ本塁打でメジャー初勝利を記録した。

はジョナサン・パペルボンに繋ぐセットアップマンとして定着し、73試合の登板で防御率は1.93だった。32ホールドはリーグ最多だった。

は5月27日から7月31日にかけて、25登板連続無失点の球団新記録を樹立。しかし、9月以降に0勝4敗・防御率10.64と不振に陥り、レッドソックスは歴史的失速によってプレーオフ進出を逃したBoston Red Sox ugly September shows by the numbers

は自ら志願して先発に転向したが、深刻な制球難に陥り、6月5日には3シーズンぶりにマイナー降格の屈辱を味わった。降格後はリリーフに戻ったが、乱れた制球は改善されず、AAA級ポータケットで防御率7点台と苦しんだ。8月30日に再昇格したが、最後まで調子を取り戻すことはなかった。

9月1日にDFAとなった。

レッドソックス退団後

2013年9月4日にウェイバー公示を経てシカゴ・カブスへ移籍したが、12月2日にFAとなった。

1月31日にテキサス・レンジャーズとマイナー契約を結び、2月3日に球団が発表した。この年は傘下のA級ヒッコリー・クロウダッズで4試合に登板したが、防御率175.50と大炎上した。

1月18日にカブスとマイナー契約を結ぶが、登板なしに終わった。オフに自由契約となった。

1月14日にピッツバーグ・パイレーツとマイナー契約を結ぶが、5月13日に自由契約となった。その後、6月22日にセントルイス・カージナルスとマイナー契約を結んだ。

もカージナルス傘下に在籍し、開幕からAA級スプリングフィールド・カージナルスでプレーしていたが、5月15日に自由契約となった。その後、6月11日にニューヨーク・メッツとマイナー契約を結び、傘下のA+級セントルーシー・メッツへ配属された。

1月4日に現役引退を表明した。

引退後

2018年2月1日にアリゾナ・ダイヤモンドバックスのメンタルトレーニング部門のスタッフに就任した。

現役復帰

2月21日にコロラド・ロッキーズとマイナー契約を結び、現役復帰した。7月17日にメジャー契約を結んで40人枠入りした。7月25日のレンジャーズ戦、1点をリードした5回途中から先発のジョン・グレイの後を受けて2番手で登板した。これがレッドソックスに在籍していた2013年4月27日のヒューストン・アストロズ戦以来、7年、2646日ぶりのメジャーのマウンドとなった。最速99mph(約159km/h)の速球を軸に、2安打を許したものの、1回1/3を無失点に封じてチームはそのまま勝利して白星を挙げた。メジャーでの勝利となると、2012年5月29日のデトロイト・タイガース戦まで遡ることになり、2979日ぶりの白星だった。

はシーズン開幕前の2月10日に第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のアメリカ合衆国代表に選出された。

投球スタイル

+投球データ(2021年レギュラーシーズン)球種割合平均球速最高球速
%mphkm/hmphkm/h
スライダー46.187.1140.292.2148.4
フォーシーム34.897.5156.9101.3163
シンカー13.697.3156.699.8160.6
チェンジアップ5.489.8144.591.7147.6

6' 4"(約193cm)の長身を活かしたサイドスローから投げ込む速球を武器とし、毎年投球回数に迫るほどの奪三振を残す。球種は、平均97mph(約156.1km/h)を超えるフォーシームのほかスライダーやカーブ、たまにチェンジアップを組み合わせて投げる。最速は、2009年に計測した102mph(約164.2km/h)。

家族

5歳年下の弟のルーク・バードもプロ野球選手(投手)である。2012年のMLBドラフト1巡目追補(全体42位)でミネソタ・ツインズから指名されてプロ入り後、2018年にエンゼルスでメジャーデビューを果たしている。

また、従兄弟にも同じくプロ野球選手(外野手)のジョン・アンドレオリがいる。

詳細情報

年度別投手成績

BOS49000022113.50021249.14152233631124203.651.28
73000012332.33329574.24563032762018161.931.00
70000029134.18228873.04652432742129273.330.96
17100005600.45527759.16014318381242416.221.74
200000000----61.010200100119.003.00
COL2300004262.66710624.22221023271010103.651.30
67000078204.46730465.26983617804041385.211.60
57000064340.60024560.13532513693015121.790.99
5000004216.66723249.13554938472130254.561.70
MLB:9年4081000031356691.4701965457.13544324117364751652101903.741.30
  • 2023年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

WBCでの投手成績

年度代表登板先発勝利敗戦セ|ブ打者投球回被安打被本塁打与四球敬遠奪三振暴投ボ|ク失点自責点防御率
20232023 WBC Player Pitching StatsMLB.com 2023年4月1日閲覧アメリカ合衆国30000151.250402308843.20

年度別守備成績

年度球団投手(P)
試合刺殺補殺失策併殺守備率
2009BOS494221.750
2010737721.875
20117011510.941
20121748031.000
2013201001.000
2020COL231010.500
2021671210.750
20225726001.000
2023503110.800
MLB408333285.890
  • 2023年度シーズン終了時

表彰

  • カムバック賞 : 1回 (2020年)
  • トニー・コニグリアロ賞:1回(2020年)

背番号

  • 60(2009年)
  • 51(2010年 - 2013年)
  • 52(2020年 - )

代表歴

  • 2023 ワールド・ベースボール・クラシック・アメリカ合衆国代表

関連項目

  • メジャーリーグベースボールの選手一覧 B
  • 兄弟スポーツ選手一覧

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/10/05 05:16 UTC (変更履歴
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike and/or GNU Free Documentation License.

「ダニエル・ハート」の人物情報へ