保守的な価値観に“抵抗”“反抗”する女性たちを描く映画作家 ネリー・カプラン特集上映予告編
2025年10月17日 11:00

映画作家ネリー・カプランの傑作4作品を一挙公開する特集上映「ネリーに気をつけろ!ネリー・カプラン レトロスペクティヴ」の予告映像(https://youtu.be/HqdXeKmKkuc)、各作品場面画像が公開された。
1931年、アルゼンチンに生を受けたネリー・カプランは、フィルムアーキビストの国際会議のアルゼンチン代表としてフランスを訪れる。まもなく彼女は、フランス映画の名匠アベル・ガンスの知己を得、その映画制作に協力。やがてガンスと袂を分かったカプランは、シュルレアリスム小説家、批評家、ドキュメンタリー作家などのキャリアを経て、長編劇映画作家の道を歩みはじめる。デビュー作「海賊のフィアンセ」(69)はベネチア国際映画祭でプレミア上映され、パブロ・ピカソをして「芸術の域まで高められた尊大さ……ルイス・ブニュエルの最高傑作並みの作風だ」と言わしめた。

デビュー作以来、カプランは保守的な価値観に「抵抗」「反抗」する女性たちを描きつづけた。カプラン作品の魅力は、フィルムを遊び心で満たそうとする快活な演出にもある。せわしなく動きつづける人々、燃えあがる小屋、滑稽きわまりない乱闘、マヌケで官僚的な男たち……。カプランが描く奇抜で、愉快で、残酷な万華鏡的世界は、作品とその主題を教条主義の檻に閉じ込めず、観る者を興奮させ勇気づける挑発性とエンターテインメント性に満ちている。

上映作品ラインナップは、「ママと娼婦」などで知られるベルナデット・ラフォンが主演し、カプランが「現代の魔女の物語」と語る長編監督デビュー作「海賊のフィアンセ」、ギャング一味に誘拐された令嬢クッキーが千変万化の“顔芸”で躍動する「パパ・プティ・バトー」、エリック・ロメールに先駆けて“アレ”を画面に捉えたスラップスティック・ロードムービー「シャルルとリュシー」、とある南国の孤島を舞台に、裕福な三世代の女たちが文学者の男を手玉に取って翻弄する「愛の喜びは」の4作品だ。

予告編は、4作品のキャラクターたちのアクションに目を奪われるショットで構成されている。最後には、「オトコ社会のみなさん、笑っていられるのも今のうち」という、家父長制社会を撃つ、カプラン自身の言葉が提示され締めくくられる。12月26日から、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほかにて全国順次公開。
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