ブルース・スプリングスティーン、ニューヨーク映画祭で熱唱&観客にメッセージ「アメリカは希望と夢の国であり続けている」
2025年9月30日 17:00

20世紀を代表するロック・アイコンで、“The Boss”と称されるブルース・スプリングスティーンの若き日を描く音楽ドラマ「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」が9月28日(現地時間)、第63回ニューヨーク映画祭「スポットライト・ガラ部門」作品としてプレミア上映された。
会場には主演のジェレミー・アレン・ホワイトをはじめとするメインキャスト、スコット・クーパー監督、ブルース・スプリングスティーンらが顔を揃えた。ニューヨークはスプリングスティーンが生まれ育ったニュージャージーからバスで30~40分の距離にあり、ミュージシャンとしての修業時代に何度も訪れた街だ。
プレミア上映では、スプリングスティーンの“地元”ということもあり、コンサートTシャツを着た多くのファンが詰めかけ、満員の会場は最初から熱気に包まれていた。本作は、最もパーソナルなアルバム「ネブラスカ」の創作の過程を通して、スプリングスティーンの内面の葛藤を描く。とても淡々とした静かな語り口の作品でありながら、上映中には登場人物たちのさりげない会話で何度も笑いが起きていた。
特に、本作のクライマックスの一つと言えるマネージャーのジョン・ランダウとCBSレコードの重役とのシーンで、コマーシャル性に乏しいアルバム「ネブラスカ」に消極的な態度を示す重役に対し、ランダウがはっきりと「私たちはブルース・スプリングスティーンを信じている」と言い切る場面では拍手喝さい。上映後も多くの拍手に包まれ、クーパー監督が、「アドレセンス」でエミー賞リミテッドシリーズ部門主演男優賞に輝いた父親役のスティーブン・グレアム、ジョン・ランダウを演じたジェレミー・ストロング、恋人フェイ役のオデッサ・ヤングらのキャスト、スプリングスティーンの盟友ジョン・ランダウ本人を紹介した。

そして「彼は皆さんが想像する以上の存在です。彼がいなければ、私は今ここにいません」とブルース・スプリングスティーンを紹介し、続けて「初めて彼に会った時、私はこう言いました。『神話や象徴を剥ぎ取ろう。ブルース・スプリングスティーンという名を持つ一人の男を演じる。苦しむ男だ。だが我々が描くのは人間性、優雅さ、謙虚さ。そしてジュリアード音楽院では教えられないあの風格だ』」と主演のホワイトを呼び込んだ。スプリングスティーンと熱いハグを交わしたクーパー監督は、「率直に言って、今この瞬間は予想外だ。結婚や娘たちの誕生に次ぐ、人生で最も胸躍る夜の一つです。ブルース・スプリングスティーンに感謝を伝えたい。君を愛しているぜ、兄弟」と謝意を伝えた後、スプリングスティーンにステージを譲った。

一人でステージに立ったスプリングスティーンは、穏やかな声で観客に語りかける。
そう言って締めくくると、ギター1本で、サプライズで「LAND OF HOPE AND DREAMS」を歌唱。この予想外の演出に満員の観客が大いに興奮したのは言うまでもなく、長年のスプリングスティーンのファンにとって、忘れられない“最高の一夜”となった。
「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」は、11月14日から全国公開。
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