ジェームズ・キャメロン監督、AI兵器システムに警鐘「ターミネーター的終末の危険性」
2025年8月10日 22:30
Photo by Amy Sussman/WireImage/Getty Images人工知能(AI)技術が日常生活のあらゆる場面に浸透する現代において、「ターミネーター」シリーズで知られるジェームズ・キャメロン監督が、AI技術の兵器システムへの応用に対し強い警告を発した。同監督は、自身の代表作で描いた終末シナリオが現実のものとなる可能性について深刻な懸念を表明している。
キャメロン監督は、自身が映画化を目指す新著「Ghosts of Hiroshima(原題)」の宣伝で受けた米ローリング・ストーンのインタビューで、「AIを兵器システムと組み合わせることで、『ターミネーター』スタイルの終末が起こる危険がまだある」と明言。特に核兵器システムや核防衛反撃システムでの活用について、「作戦展開があまりにも迅速で、意思決定の時間があまりにも短いため、それを処理するには超知能が必要になるだろう」と指摘した。
さらに、「私たちが賢明であれば、人間をループに留めておくかもしれない。しかし、人間は間違いを犯しやすく、国際的な事件の瀬戸際まで私たちを追い込み、核戦争につながる可能性のある多くの間違いが犯されてきた」として、人間の判断に頼ることの限界も示唆している。
キャメロン監督は現在の状況について、「私たちは人類発展の転換点にいると感じている」と分析。気候変動と自然環境の劣化、核兵器、超知能という3つの脅威が「すべて同時に顕在化し、ピークに達している」と警告した。「超知能がその答えかもしれない。分からない。そう予測しているわけではないが、そうかもしれない」と、解決策としての可能性も含めて複雑な見解を示している。
1984年にアーノルド・シュワルツェネッガー主演で始まった「ターミネーター」シリーズは、スカイネットという人工知能防衛ネットワークが自我を獲得し人類を征服する世界を描いた。同作品は6作品が製作され、全世界で約19億ドルの興行収入を記録している。40年以上前に製作されたこのSF作品が、現在のAI技術の急速な発展により、単なるエンターテインメントを超えた現実的な警告として再評価されている。
一方、キャメロン監督はAI技術を全面否定しているわけではない。2023年のCTV Newsのインタビューでは、AI脚本について「具現化されていない心が、愛や嘘、恐怖、死について語った具現化された心の言葉をただ反芻しているだけで、それをすべてまとめて言葉のサラダにしてから反芻するだけ」として懐疑的な見解を示している。
しかし、映画製作技術面では建設的な活用を模索している。24年9月にはテキストから画像を生成するStable Diffusionを開発するStability AIの取締役会に参加。VFXコストを半分に削減し、「アーティストが他のクールなことに取り組めるよう、作業スピードを2倍にする」ことを目指していると述べている。
現在71歳のキャメロン監督は、12月19日公開予定の「アバター ファイヤー・アンド・アッシュ」の仕上げに取り組んでいる。AI技術の発展が加速する中、その創造的可能性と潜在的危険性の両面を見据えた発言として注目される。
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