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堤真一×山田裕貴、戦争を語り継ぐきっかけに……「戦後何年だろうが」「人間ってすぐ忘れてしまうから」【「木の上の軍隊」インタビュー】

2025年7月25日 15:00

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堤真一&山田裕貴
堤真一&山田裕貴

終戦に気づかないまま2年間も木の上で生き抜いた2人の日本兵の実話に着想を得た井上ひさし原案の同名舞台劇を、堤真一山田裕貴の主演で映画化した「木の上の軍隊」が7月25日から全国公開となる。6月13日より先行公開されている沖縄では、ミドル層からシニア層まで幅広い層を動員してヒットを記録している。

堤と山田は初共演ながら息の合った演技で、極限状態の兵士たちを繊細かつ力強く、人間らしいおかしみをもって表現している。そんなふたりに、戦後80年という節目の年にあらためて思う反戦への思いから、ふたり芝居となった撮影のことなどについて話を聞いた。(取材・文・写真/壬生智裕)

画像2(C)2025「木の上の軍隊」製作委員会
【「木の上の軍隊」概要】
太平洋戦争末期、沖縄県伊江島に米軍が侵攻。激しい攻防戦の末に、島は壊滅的な状況に陥っていた。宮崎から派兵された少尉・山下一雄(堤)と沖縄出身の新兵・安慶名セイジュン(山田)は、敵の銃撃に追い詰められ、大きなガジュマルの木の上に身を潜める。米軍との圧倒的な戦力の差を目の当たりにした山下は、援軍が来るまでその場で待機することを決断。やがて戦争は日本の敗戦をもって終結するが、そのことを知る術もない二人の“孤独な戦争”はまだ続いていた――。
画像3(C)2025「木の上の軍隊」製作委員会
――今年は戦後80年という節目の年となります。戦争の時代を知る方が世の中からどんどんいなくなってしまう中で、こういった映画で戦争を語り継ぐことの大切さもあると思います。おふたりはこの作品が戦後80年に発表されるということにどういう思いがありますか?

山田:僕の中の戦争映画の教科書って「火垂るの墓」だったんです。僕はあの映画を観て、本当に心に突き刺さりました。広島に住んでいたこともあって、子どもの頃に原爆ドームや原爆資料館に行ったときのことを今でも鮮明に覚えています。原爆が落ちた場所を身近に感じましたし、「こんなことになったら本当にダメだ」と思っていました。

たとえば食べ物を食べる時も「いただきます」と言って、動物の命をいただいているんだと思うように心がけていますが、ふとした瞬間に忘れてしまうこともあるし、日常で常にそのことばかりを考えているわけでもない。

だから戦後80年だからということだけでなく、戦後何年だろうが、皆さんの心の中にそうした思いがあった方がいいはずなんです。日常のありがたみを感じる上でも、この映画が、そのきっかけのひとつになれたらいいなと。年齢制限もないですし、戦争の悲惨さばかりを描き出しているような映画でもないので、子どもたちにも観てもらうこともできる。お子さんに教えてあげるのでもいい。そういうきっかけになればいいなと願っています。

画像4(C)2025「木の上の軍隊」製作委員会

堤:今年は戦後80年という区切りではありますが、それ自体はあまり重要ではないと思います。自分は昭和39年生まれなので、僕が生まれたのは戦後19年目のこと。もちろん日本に米軍が駐留していたり、戦後の傷痕が残っている場所もありましたが、戦争なんてとっくの昔に終わっているという意識で育ってきて、戦争は自分とはまったく関係ないと思っていたところがありました。

40歳になった時に、20歳からの20年ってあっという間だったなと感じて。その時に「戦争が終わって、たかだか20年後に俺は生まれたんだ」と。“20年も前”なんじゃなくて、“20年しか経っていなかった”んだと思って。父は大正生まれで、軍隊経験もあったんですが、戦争のことは語らなかったし、もちろん戦争は反対だという思いは母も話してはいましたが、どこか現実味がなかったですね。

でも自分に子どもができると、戦争で本当に犠牲になるのは子どもたちなんだと強く意識するようになりました。とにかく戦争にならないようにしなければ、という思いをこういう映画などでつないでいかないといけないなと思うんです。人間ってすぐに忘れてしまうから。

画像5(C)2025「木の上の軍隊」製作委員会
――沖縄県伊江島に上陸した米軍による激しい攻撃を受けた後に、およそ2年間にわたってガジュマルの木の上に身を潜めていたふたりですが、そんな暮らしを「僕たちは狂ってるのかもしれない」と言っていたセリフが印象的でした。“帰りたい”という気持ちとは裏腹に、心のどこかで“帰りたくない”という思いもあったのではないかという風にも見えてしまったのですが、おふたりはこのふたりの木の上の暮らしをどう見ていたのでしょうか?

山田:安慶名としては、帰る場所が戦地になってしまっているので。もう帰る場所がないと思っていたんじゃないかと思います。ここにいるのは2人だけだ、と。上官のセリフでもありますけど、それで楽になったわけではなくて、帰る場所もない、今ここにいるしかない、ということしか考えられなかったのかもしれない。作中でもありましたが、いろんなことを忘れていってしまうんですよね。楽しかった思い出も、その場所ももうないんだ、と。客観的に見れば、沖縄の出身ではない僕では計り知れない別の思いなんだろうと思います。

堤:モデルとなった実在の山口静雄さんとは違うんですが、(山口さんをモデルとした)劇中の山下としては上官であるという立場から、日本兵の精神として、たくさんの部下が死んでいるのに、自分だけが生き残っていることを恥じていたんだと思います。それは武士道精神にもっとも反することだと。だから、降りていくのが本当に怖かったのではないでしょうか。ある時期から戦闘状態が薄らいでいく中で、「本当は戦争は終わっているんじゃないのか、負けているんじゃないのか」など、いろいろな思いはあったでしょうが、降りていく勇気はなかった。生きて恥をさらすことを恐れていた人だな、と思いました。それは軍国主義教育を受けていたらそうなるだろうし。だから山下も戦争の被害者だなという気がします。

画像6(C)2025「木の上の軍隊」製作委員会
――映画はおふたりの芝居のやり取りが中心となったわけですが、実際にお芝居のやりやすさなどはいかがでしたか?

山田:僕はもう安心感しかなかった。どれだけ気持ちをぶつけようが、自由に動こうが、絶対に返してもらえるという安心感があったので、途中からはもう、「シンプルでいいや、何も考えずに堤さんにぶつけるだけだ」と思い始めて。本当に頼っていました。

堤:僕もやりやすいというか、本当に沖縄の人みたいな顔立ちで(笑)。

山田:ははは(笑)。それは沖縄の人にも言われました。

堤:だから「こうしよう」とか考えずにやっていましたね。監督も、リハーサルをちょっとやったら「もう本番でいっていいですか」みたいな感じのところもあったんで、どこか勢いに任せた部分もあったというか、やってみないと分からないという感じはありました。だからこのシーンをこうしたい、ああしたいというのは全部監督にお任せしていました。

山田:何度もリハーサルを重ねて「こうですかね」と話し合うのは、それはもうお芝居なので。だからふたりとも、上官なら上官、安慶名なら安慶名として、ただ生きようとした、という感じに近かったと思います。

画像7(C)2025「木の上の軍隊」製作委員会
――それはやはりあのガジュマルの木で撮影したということも大きかった?

山田:そうですね。あの木の上の雰囲気もあるし、本当の場所だということもあるし、お芝居っていわば“うそ”なんですけど、どこまで本当に近づけられるのか、この物語をしっかりと伝えられるのか、というところが大事だと思っていたので。次のセリフをどんな音で吐くかすら分からないぐらいの方が、その時のふたりにより近づけるのかなと思って。僕にとってはそのぶつかるスパークみたいなものがすごく印象に残っています。

――エンドクレジットを見ると、スタッフ、キャストともに沖縄の人の名前がずらっと並んでいて。沖縄の人にすごく囲まれた撮影だったんだろうなと思うのですが。

山田:そう、それは本当にありがたかったです。そういえばクレジットの話で思い出しましたが、クレジットの一番上に僕の名前があったのを見た時はビックリしました。今回は堤さんとの主演と聞いていたので、「あれ、堤さんは?」と思ったら、堤さんの名前は最後に。それは堤さんの「頑張ったから」という計らいだったと聞きました。

画像8

堤:いやいや。もともとの脚本が安慶名と、彼の家族の話が中心だったので、「これは安慶名が主役やろ」と思って。

山田:いやそんなことはないですよ(笑)。ふたりの物語なんですから。

堤:僕はこの物語ならば自分が2番手でも何番手でもいいからという話をしていたので、この形で満足です。

山田:堤さんはそんな風にしてくれる方で。そういうことも含めて、お芝居でも安心してぶつかることができたのかなと思いました。


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