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なんのために生まれて、なにをして生きるのか――「アンパンマンのマーチ」の歌詞が“現代を生きる大人たち”に刺さるワケは?【作曲家・近藤浩章/独占インタビュー】

2025年7月4日 09:00

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「それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!」
「それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!」
(C)やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV (C)やなせたかし/アンパンマン製作委員会2025

なんのために生まれて、なにをして生きるのか――何故いま、現代を生きる大人たちに、「アンパンマンのマーチ」の歌詞が刺さるのか?

1988年10月からテレビアニメがスタートし、翌89年3月には劇場版が初公開。昭和、平成、そして令和と3つの時代を通じて日本中に「愛と勇気」を届けてきたみんなのヒーロー・アンパンマン。映画最新作「それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!」(公開中)では、アンパンマンに憧れ、ヒーローを夢見る男の子・チャポンの物語が描かれている。

自身に隠されていた出生の秘密を知ってしまうことで、初めてなりたい自分について考え成長していく姿を描きながら、誰もが知るアンパンマンシリーズの主題歌「アンパンマンのマーチ」の「なんのために生まれて、なにをして生きるのか」という歌詞にもあるように、アンパンマンが伝え続けてきた根本的なメッセージが込められたストーリーとなっている。

現在、やなせたかし氏とその妻の生涯をモチーフにしたNHK連続テレビ小説「あんぱん」が放映されており「なんのために生まれて、なにをして生きるのか」というメッセージが日本中で改めて注目されている。

「アンパンマンのマーチ」を歌う戸田恵子
「アンパンマンのマーチ」を歌う戸田恵子
蒼井優も「アンパンマンのマーチ」を歌唱
蒼井優も「アンパンマンのマーチ」を歌唱

「アンパンマンのマーチ」をはじめ、「アンパンマンたいそう」「生きてるパンをつくろう」「アンパンマン音頭」「勇気の花がひらくとき」などなど、幼い頃何気なく口ずさんでいたアンパンマンの楽曲たちを聞き直してみると、忙しい現代を生きる我々大人たちこそ、思わずハッとしてしまうワードがいくつも存在することに気付くはずだ。

映画.comでは、長年にわたり、“アンパンマンの生みの親”やなせ氏とともにアンパンマンシリーズの音楽を担当してきた作曲家・近藤浩章氏の独占インタビューを入手。やなせ氏との貴重な制作秘話を交えながら、アンパンマンの楽曲たちが、時代・世代を問わず多くの人々に愛される理由を明かしている。


近藤浩章/プロフィール】
近藤浩章
近藤浩章
作曲家・編曲家・プロデューサー。大学在学中より作曲家・いずみたく氏に師事。以降、いずみたく氏の作曲したレコード・劇音楽・ミュージカルなどの全てのアレンジを担当。1980年に作曲家・CMディレクターとして独立し、CM・劇伴・テレビ番組・ラジオ番組・等、多方面で音楽制作を手掛け、やなせたかし氏の「それいけ!アンパンマン」シリーズ全作の作曲を担当。

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――やなせたかし先生が作詞された「アンパンマンのマーチ」はいつの時代も聞く人の心に響く楽曲だと思いますが、これだけ長きにわたり人々の心を動かしてきた魅力はどんなところにあると思いますか?

覚えやすく親しみやすいメロディであるのも勿論大きな魅力ですが、何といっても所謂Aメロの冒頭にドンと置かれた半ば標語のようなフレーズ「なんのために生まれて なにをして生きるのか…」「なにが君のしあわせ なにをしてよろこぶ…」と、何度繰り返して歌っても、いつも新鮮に自らへの問い掛けとして迫り、心に勇気のような熱いものが自然と身体中に溢れてくる不思議な魔力を秘めている、ことば・詩が、一番の魅力だと思います。

――数々の楽曲を手掛けてこられたと思いますが、楽曲制作時にやなせたかし先生と交わした会話の中で印象的なエピソードがありましたら教えてください。また制作時に意識していることや、やなせたかし先生の想いを引き継いで取り組んでいることがありましたら教えてください。

これまでアンパンマンの中で沢山の楽曲を作編曲させて頂いてきましたが、やなせ先生直々に電話を貰い直接の想いや願いを聞いて書いた2曲の想い出はいつまでも忘れることなく先生の声と共に深く記憶しています。

「やきそばパンマン流れ旅」と「ナガネギフラメンコ」の2つの歌で、前者は「やきそばを作る時、ヘラは両手に持つよね。言ってみればそれは2丁拳銃なんだな。だからマカロニウエスタンにして作って欲しいんだよ」と先生が悦に入って話され、その約1年後今度は「ナガネギマンというキャラなんだけど、昼は農夫でネギを育ててるんだよ。ところが夜になると騎士(ナイト)になって正義の味方となるんだな。長いネギをサーベルにしてね、アハハハ!だからフラメンコにしたいからよろしく、こんちゃん!」と笑いながら電話を切られたのを覚えています。

注文通り作った2曲は先生の十八番としてご自分のステージでは必ず歌って下さってました。

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――長い年月をかけて愛されてきたたくさんの楽曲たちについて、昔と今で世の中の捉え方の変化を感じたことはありますか?またそれが制作時に影響をもたらしたことなどはありましたか?

いつまでも色褪せていかない、メロディ、詩、ことば、その全てを携えているのがアンパンマンから生まれた沢山の歌たちです。

それは何故だろうと考えてみると自ずと答えが見えてきて、やなせ先生の生み出す「ことばの行列」が「詞」ではなく「詩」であるからで、決してどの作品も時代に迎合する書き方をされていないので、それらのひとつひとつが永遠のスタンダードナンバーになっているということです。

昔、我が師匠のいずみたくが言っていたことですが「やなせさんの詩には一切無駄な部分がない、だから一字一句変えずに作曲をしてきた、近藤もそこは大事にするように」と。

メロディを作る時、やはりそれが「詞」ではなく「詩」であるということを強く感じ、流行りの歌を書くという意識が全く起こらないから不思議で仕方がありません。

時代を超えて色褪せていかない歌たちが正に永遠のスタンダードナンバーのように飽きられることなく愛されて、アンパンマンの中で歌い継がれているのです。

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――今の令和の時代における、「アンパンマン」が発信し続けているメッセージについてどう思われますか?

1988年10月に「それいけ!アンパンマン」のテレビアニメ放送が始まり、翌年から元号が平成に変わって、正に混迷、混沌の時代と言える平成の世を颯爽と飛び続けてきたのがこのアンパンマンです。歴史を揺るがす大事件が立て続けに起こったのも、関西と東北そして九州にとてつもない大地震が起こったのも全て平成の時代でしたね。

30年続いた平成が2019年に令和と変わって行くのですが、アンパンマンが絶えず歌い続けてきた、人はなんのために生まれなにをして生きるのか?という問いは、今を生きる人間にとって時代を超えて益々普遍性を増した大事な命題となってきているのを肌で感じます。

その問いに答えが見つかった人間の誰もがアンパンマンにきっとなれるんだと、やなせ先生は願い続けそのメッセージを発信されていたに違いないと確信しています。

先生の中に棲む「利他」の精神こそがアンパンマンの正義なのだと、僕らもずっと発信し続けていかなければいけないと思っています。


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