沖縄で水道水の化学物質汚染問題に立ち向かう女性たちのドキュメント「ウナイ 透明な闇 PFAS汚染に立ち向かう」
2025年7月3日 13:00

焦げ付かないフライパンなどなどあらゆる生活用品に使用されているが、発がん性など人体への有害性が指摘され世界的に規制が進む有機フッ素化合物、PFAS汚染についてのドキュメンタリー映画「ウナイ 透明な闇 PFAS 汚染に立ち向かう」が、7月26日から沖縄・桜坂劇場にて先行公開、8月16日よりポレポレ東中野ほか全国順次公開される。
「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」の平良いずみ監督の最新作。PFASは水や油をはじく特性をいかし焦げ付かないフライパンや防水スプレー、半導体、泡消火剤などあらゆる生活用品に使われてきた有機フッ素化合物の総称で、PFASの中でもPFOSやPFOAなどは、発がん性など人体への有害性が指摘され、世界では毒性を重く見て規制が進む。先日6月26日には、イタリア北東部ヴェネト州ビチェンツァでPFAS汚染をめぐり、三菱商事の元関連会社役員らへ有罪判決が下された。

2016年に沖縄県は「県民45万人に供給する水道の水に化学物質PFASが含まれていた」と発表した。しかし、多くの人々の反応は「PFASって何?」というもので、すぐに関心が高まったわけではなかった。米国ではすでに、がん、低体重出生……などの健康影響が確認されていた。その深刻さに女性たちは気づいていく。「他のお母さんたちにも知らせなきゃ」と、 彼女たちは街頭で涙ながらに訴え、調査や浄化を求める。しかし、沖縄では汚染発覚から9年経ってなお、汚染源の特定もできていない。その理由は、汚染源とみられる基地への立ち入り調査を米軍が拒み続けていること。それでも、子どもたちのために諦めるわけにはいかないと徒手空拳の闘いを続ける女性たちは国連を目指す。一方、米国や欧州では、PFAS規制の動きが進む。

タイトルの“ウナイ”は沖縄の言葉で“女性たち”という意味。平良いずみ監督は、「『私は、執念深い』監督である私の告白から始まる映画になりました。映画をご覧になるみなさんが凍りついてしまわないか今から気が気でないですが、笑ってもらえたら嬉しいです。この映画は、私が5年に渡り追ってきた“PFAS汚染”についての記録です。
起点となったのは9年前、沖縄県民45万人が飲んできた水道水にPFAS・有機フッ素化合物が含まれていたこと。生まれたばかりの息子に水道水でつくったミルクを与えていた私は、『絶対、許さない』―そう思いました。そうして気付いた時には、世界の至る所で汚染問題の解決を求め立ち上がった女性(ウナイ)たちに出会い、 言葉の壁を越え想いが通じ合う瞬間を何度も経験しました。汚染問題に直面した彼女たちはどう生きたか……。この先、この社会がきらいになりそうな人にこそ見てほしい。絶望の涙を、ひとしずくの希望にかえて立つ女性たちの姿を」とコメントを寄せている。
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