【「ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング」評論】全力疾走するトム・クルーズの健在ぶりが確認できるシリーズ完結編
2025年5月25日 12:00
(C)2024 PARAMOUNT PICTURES.人類を抹殺する威力を持つAI、“エンティティ”に対抗し得る唯一の武器を手に入れるため、イーサン・ハントとIMFの仲間たちがコンプリート不可能に思えるミッションを続けている。脚本家組合のストライキや撮影で使用する潜水艦の故障等で公開が遅れ、サブタイトルも変更されてようやく放たれたシリーズ最新作にして、1996年からスタートしたシリーズの完結編(と一応しておこう)。
冒頭から前作との繋がりや、かつてはCIAの副長官だったスローン(アンジェラ・バセット大熱演)が大統領に出世していたり、シリーズ1作目に登場した人物がキーパーソンとしてカムバックしたりと、観客は時間軸を行き来しつつ、それを今のストーリーに紐付けすることを強いられる。しかしそれは、決して困難という訳ではなく、シリーズのヒストリーを思い返す愉快な時間でもある。
記憶を辿る旅の合間に挿入されるアクション・シーケンスについては、大まかに言って二箇所ハイライトがある。一つは、黒海を覆う氷の下に沈む破壊されたロシアの潜水艦、“セヴァストポル”にイーサンが潜るシーン。詳細は避けるが、そこで試されるのはイーサンの潜水能力と言うより、観る側が想像の範囲内でどれだけ水圧に耐えられるか? だったりする。トムがシリーズ第5作「ローグ・ネイション」(2015)で見せた6分間の息止め潜水と、潜水艦に起きるある変化がもたらす平衡感覚の麻痺が恐怖を爆上げしてくれる。そしてもう一つは、言うまでもなくトレーラーでも公開されているイーサンによる複葉機飛び乗りと続く横移動と操縦席の奪取。これはもう、観て体感していただくしかない。
ここで言いたいのは、何かしらのマジックを使ったかも知れないこれら超人的アクションに至る過程で、トム・クルーズ自身が生の筋肉を発火させ、頬をぶるぶるさせながら身体を前に推進させていく全力疾走のリアルだ。その姿はまるで、「バニラ・スカイ」(2001)の劇中で、トム扮する主人公が見えざる恐怖から逃れるように無人のタイムズスクエアを疾走するシーンの延長線のよう。あの時も今も、彼はいったい何から逃れ、何に向かって駆け抜けようとしているのか? そこが俳優としてのトム・クルーズの宿命にもリンクするような気がするのだ。
しかし、思えばシリーズ開始から30年、62歳になった今も走る姿に衰えは皆無で、それがあり得ないスタントをあり得るように見せてしまう。これこそが、完走を義務付けられたミッション・インポッシブルと銘打つ所以なのではないだろうか。
(C)2024 PARAMOUNT PICTURES.
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
“愛と性”を語ることは“生きる”を語ること
【今年最後に観るべき邦画】なじみの娼婦、偶然出会った女子大生との情事。乾いた日常に強烈な一滴を。
提供:ハピネットファントム・スタジオ
アバター ファイヤー・アンド・アッシュ
【シリーズ完全初見で最新作を観たら…】「こんなに面白かったのか!!」「歴史を変える傑作」「号泣」
提供:ディズニー
「ズートピア2」「アバターF&A」「楓」など超注目作を“500円”で観る!
【知らないとめっっっっっっっちゃ損!】絶対に読んでから観に行って!!!!!
提供:KDDI
楓
【今年最大級に切なく、涙が流れた】双子の弟が亡くなった。僕は、弟の恋人のために“弟のフリ”をした
提供:アスミック・エース
「ズートピア2」観た人の感想は?
「大好き」「前作こえた面白さ」「ご褒美みたいな映画」「最高の続編」「メロすぎ」「全員みて」
提供:ディズニー
SNSで大炎上中…
【非難殺到】「絶対に許すな」「町ごと滅べ」些細なケンカが…まさかの大事件へ
提供:ハピネットファントム・スタジオ