第78回カンヌ国際映画祭開幕、名誉パルムドールのデ・ニーロをディカプリオがサプライズ祝福 スピーチは政治的なテーマに終始
2025年5月14日 11:00

第78回カンヌ国際映画祭が、現地時間の5月13日に開幕した。米トランプ大統領による関税政策の映画界への影響や、ロシアのウクライナ侵攻の停戦を求める声を背景に、今年はことさら政治色の強い幕開けとなった。
まず初日はウクライナをサポートする日として、最新のウクライナのドキュメンタリー2本、およびゼレンスキー大統領に関するドキュメンタリーが開幕に先立って上映された。
開幕式では司会を務めたフランスの俳優ローラン・ラフィットが、元俳優のゼレンスキー大統領ほか、リチャード・ギアやアデル・エネルなど勇気ある俳優たちの名前を挙げて讃えながら、「わたしたちは常に、果たして映画は世界を変えられるのかと自問していますが、映画がさまざまなことを包括し、代弁し、平等を表現することを我々が望むなら、映画が世界を変えることができるというのは確かに真実と言えるでしょう」と語った。
一方、今年の審査員長を務めるジュリエット・ビノシュは、カンヌのACID部門(カンヌの並行部門でインディペンデント映画普及協会が作品を選ぶ)で上映予定のセピデ・ファルシ監督の作品「Put Your Soul on Your Hand and Walk」に出演した、ガザ在住のフォト・ジャーナリストの女性、ファティマ・ハスナさんとその家族全員が、カンヌ直前に自宅の空爆で亡くなったことに触れ、「彼女は亡くなる寸前、この映画がカンヌに選ばれたことを聞いていました。ファティマさんは今日、わたしたちと共にあります。アートは後世まで残り、わたしたちの人生、夢の力強い記録となるでしょう。そしてわたしたち観客はそれを一緒に讃えましょう」と述べた。
さらに開幕式後半では、今回名誉パルムドールを授与されたロバート・デ・ニーロが登壇。サプライズで登場したレオナルド・ディカプリオからパルムの盾を授与されたあと、スピーチでトランプ大統領を激しく批判。「アートとは自由の探求であり、ダイバーシティも含むもの。ゆえに今日それは脅威に晒されている。いまこそ我々は暴力ではなく、情熱と執拗さを持って、これに反対していかなければなりません」と訴えた。
政治的なスピーチに終始した最後には、こちらもサプライズのクエンティン・タランティーノが現れ、映画祭の開幕を高らかに告げた。

今年は例年以上にセレクションの追加作品が後を絶たず、最後にコンペティションに追加になったビー・ガンの「Kuang Ye Shi Dai (Résurrection)」が発表されたのはなんと、開幕5日前。なんでも中国政府との調整に時間が掛かったという。最終的にコンペ作品は22本。パルムドール受賞者のジュリア・デュクルノー、ダンデンヌ兄弟、カンヌ参加が危ぶまれるイランのジャファル・パナヒ、リチャード・リンクレイター、ウェス・アンダーソン、ケリー・ライカート、リン・ラムジー、コンペ初参加のアリ・アスターと早川千絵など、多彩な顔ぶれが集まった。
審査員団もまた多国籍であり、ビノシュを筆頭にハル・ベリー、アルバ・ロルバケル、ジェレミー・ストロング、ホン・サンス、インドのパヤル・カパーリヤー、メキシコのカルロス・レイガダス、コンゴのデュード・アマディ、モロッコ出身の作家レイラ・スリマニの9名。彼らが選ぶパルムドールは、5月24日の閉幕式で発表される。昨年のパルムドール作「ANORA アノーラ」のように、米アカデミー賞を席巻する作品が出てくるかどうかも注目されるところだ。(佐藤久理子)
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