巨匠ヴェンダース劇場未公開作品のデジタルリマスター化プロジェクトが進行中 追加場面写真を公開
2025年5月8日 10:00

ドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダースが出演、ナレーションを担当しながら劇場未公開作品となっていた幻のアートフィルム「ドリーム・アイランド ヴィム・ヴェンダースの失われた夢」デジタルリマスター化プロジェクトのクラウドファンディングが、5月15日で終了する。
これに併せ、同監督の「ベルリン・天使の詩」「夢の涯てまでも」の劇場公開時のパンフレット寄稿や「リスボン物語」公開時の監督との対談経験もある文化人類学者で批評家の今福龍太氏の激励コメントと、本作中に登場するエレクトロニク・ペインティングなどの追加場面写真が公開された。

本作は、ヴェンダース本人が「一番好きな作品」と語った映画「夢の涯てまでも」(1991)のために制作された“夢のシークエンス”がきっかけとなり、東京を舞台に実写ドラマとして作られた幻の未公開アートフィルム。「夢の涯てまでも」で使用されなかった約100分間の“夢のシークエンス”の中から、厳選したシーンをヴェンダース自らが編集し、自身が12歳の時に撮った8ミリフィルムも使用されている。
この“夢のシークエンス”からは、後に“エレクトロニク・ペインティング”と呼ばれる当時最先端のメディアを駆使した平面作品が生まれており、ヴェンダースを語る上で外せない表現手法のひとつだ。また、ヴェンダース自らが出演し、ナレーションを務めているという点でも貴重な作品になっている。しかし、これまで「夢の涯てまでも」のレーザーディスク版(1993年発売)の特典映像として収録されたのみで、現在では観る術がなく、長い間、関係者やヴェンダースファンの間で幻の作品とされていた。

そんな折、2020年の1月にヴェンダースから「夢の涯てまでも」のアソシエイト・プロデューサーの御影雅良氏に以下のメールが届いた。
(C)2025 Dream Island Associationそこで御影氏は「ドリーム・アイランド」のコピー(VHS)をヴェンダースに送った。時が経ち、ヴェンダースは東京を舞台にした「PERFECT DAYS」を監督。第76回カンヌ国際映画祭で主演の役所広司が男優賞するなど、絶賛されたことは記憶に新しい。そんな折、今回のプロジェクトの共同代表となる仲田早織氏が、御影氏にアプローチした。彼女は「ドリーム・アイランド」の撮影監督をした故仲田能也氏の娘だ。
「PERFECT DAYS」に映し出される東京の下町を観ていて、幼い頃に何度も父と観ていた「ドリーム・アイランド」を思い出し、もう一度本作が観られないか相談をするため、急遽、東京都写真美術館で実施された「夢の涯てまでも」ディレクターズ・カット4Kレストア版上映のイベントに登壇する御影氏を訪問。そこから紆余曲折を経て、失われていたと思われていた本作のオリジナルテープや16ミリフィルムを執念で見つけ出し、本プロジェクトが発足した。プロジェクトの詳細は、MOTION GALLERYの支援ページ(https://motion-gallery.net/projects/DreamIsland)で確認できる。

また、詳細な経緯は「ドリーム・アイランド」デジタルリマスター製作委員会共同代表の仲田氏のコメントで知ることができる。
脆く、あやうい、けれど鮮烈な「夢」という形のままに……。
夢なので、それは彼のフィルモグラフィーの外部にある一つの淡い奇蹟。
見えないはずのイメージが、私たちの脳裡で明滅を始め、私たちをいざなう。
人が誰でも自分の内部にもつ、あの愛おしい「夢という島」に赴こう!、と。
そしてこのフィルムが現実に蘇ること、それこそ私たちのもう一つの奇蹟だ。
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