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【「アマチュア」評論】全方位型ではなく、得意分野のみに特化したスパイをマレックが好演

2025年4月19日 13:00

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画像1(C)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

いわゆるスパイアクションの主人公には、ボーンのように知力と戦闘能力に長けた者もいれば、ボンドやハントのように歴史と伝統を築き上げた者もいる。かくもキャラが飽和する中で、はたしてラミ・マレックに出る幕はあるのか? やや半信半疑で鑑賞に臨んだ私だったが、ジャンルの隙間を縫うように創出されたこのスパイの奮闘になかなかの新鮮味を覚えた。

主人公のCIA分析官チャーリーは何よりも感情の人だ。直情型ではないが、焦りと緊張を抱くとがキョロキョロしてしまうし、その後、ロンドン出張中の妻がテロ事件に巻き込まれ命を落とすと、怒りと悲しみが抑えきれず実行犯への復讐を決意する。でもどうやって? これまで地下フロアでモニター越しの分析仕事に身を捧げてきた彼は、銃の撃ち方を知らないし、人を殺める心構えもない。そこで上司の弱みにつけ込んでCIA教官ヘンダーソン(ローレンス・フィッシュバーン)による短期特訓を取り付け、なんとか基礎能力を体得するが―。

後半ではアマチュア・スパイのチャーリーが、組織の静止を振り切って復讐に打って出る。だがもちろん彼の能力チャートには圧倒的なムラがある。そこで、申しわけ程度に経験値を底上げした銃撃や格闘などの弱点ははなから放棄し、むしろ人よりも圧倒的に秀でた得意分野(ハッキングや情報分析力、そして訓練で唯一培った”もう一つの才能”)のみを駆使して遂行していく。ここが本作の肝だ。原作が書かれたのは今から40年以上も前だが、一点集中型の戦い方はむしろ現代的とさえ言える。

従来の映画ではサポートに回りがちだったこの頭脳派、テクノロジー派の役柄を、ドラマシリーズ「窓際のスパイ」で新たなスパイ像を打ち出したジェームズ・ホーズ監督がスピーディーかつタイトな画面展開で浮き彫りにする。そして、それほど出ずっぱりなわけではないが、フィッシュバーンの深みと影のある人物像は構成として緩みがちな中盤をストイックに引き締め、さらにロンドン、マルセイユ、イスタンブールと駆け巡る中で出会う謎の人物がドラマにもう一つの人間味を添える。

総じて、長らく続いてきた”強さ”の概念からパラダイムシフトした感のある本作。弱さやブレがむしろ魅力になる。一つでも秀でたものがあれば戦える。もしかすると今後のアメリカ映画で主流となるのは、個人の価値観念に従って地道に動く彼のようなスパイ像かもしれない。

(牛津厚信)

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