【第3回新潟国際アニメーション映画祭】グランプリ「ルックバック」押山清高ら受賞監督が会見 一問一答全文
2025年3月20日 23:25

第3回新潟国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門受賞作品が3月20日発表された。授賞式の後に受賞監督の会見が行われ、グランプリ「ルックバック」押山清高監督、傾奇賞「カタツムリのメモワール」アダム・エリオット監督、境界賞「バレンティス」ジョバンニ・コロンブ監督、奨励賞「ペーパーカット:インディー作家の僕の人生」エリック・パワー監督が記者の質問に答えた。
「ルックバック」は手描きによるアニメーション表現ということで、手描きってその国の文化がダイレクトに表現される表現だと思います。そういった日本らしさが出たアニメーションが国際映画祭の中で評価されたことは非常に嬉しいなと思います。
僕はどちらかというと肯定的に見ていまして、この変化の波はもうとっくの昔に、もうアニメ業界のみならず、ほとんど全ての業界に既に浸食が始まっていて、もうAIからは逃れるのが難しいような状況になりつつあると思うんです。
ですから、現時点でAIで代替可能なものは取り入れることで、作り手がアニメーションにこだわる時間や業務を、AIと役割分担して、少しでもクオリティアップに繋げられるのであれば、それはそれでいいと思います。
ただ、それとはまた別な観点で、AIによって仕事を奪われるクリエイターがでてくること、それを競争や淘汰と言ってよいのかわかりませんが、時代の移り変わりとともに人間の携わる職業も移り変わるものですので、そういう変化は避けようがない。そういう状況なので、あとはどういう風にAIと共存していくかが、それぞれの課題になっていくかなと思ってます。ちょっとざっくりした答えですが。
「フリップフラッパーズ」以降、テレビシリーズはちょっと距離置きたいなと思っていました。それで、今回の「ルックバック」まで監督作品は間が空いたと思っています。そういう意味で、なるべく少人数で作りたいと実験的にやったのが短編「SHISHIGARI」です。その前例があったので、商業作品企画ではありますが、今回「ルックバック」でも大胆に少人数でトライできました。
今後、当面は長編の企画でやってみたいなっていう気持ちがあります。でも、シリーズをやりたくないということではありません。自分がやりたいプロセスで作れるのであれば、シリーズにトライしてもいいかなとは思ってます。
基本的に手描きだったらそうだと思います。もしそれが3Dや実写だったら、また考え方は変わってくると思うんですけど、こと手描きは、やっぱ描き手1人1人の個性だったり手癖、そういったものにかなり作品が左右される表現なので、その表現を取るのであれば、やはり絶対的に少人数がいいなと思っています。

こちらの作品のプロモーションのためにいろんなところを回って、いろんな賞をいただいて、もちろん素晴らしい気持ちになりますし、嬉しいです。同時に、賞を獲れば獲るほど、次の作品を作るための資金集めがよりやりやすくなるという意味でも、良い効果をもたらしてくれるので、私はカタツムリのように常に前進しています。
そうですね。次回の作品に関してもクレイ、粘土で作る予定です。年を取ってきたので、新しい技を学ぶのは難しいと思っていますし、急に粘土以外の素材を使ったら、古くからのファンたちが怒ってしまうかなとも思います。私は粘土で作品作りを始めて、粘土のおかげでここまで来れたと思っていますし、手で色々作り出すのも大好きなので、クレイアニメーションを作り続けていきます。

受賞する前からすでにものすごくハッピーだったんです。理由としては、日本の皆様が本当に大好きで、日本は本当に他の国とは比べられないほど、素晴らしいいろんな特徴がある国だと思うからです。
自分が子供だった時代のことを思い浮かべながら作った物語です。主人公たちが本当に好きで、この物語を作り出したいという強い気持ちがありました。
少年2人が主人公で、泥棒扱いされており、主人公のうちの1人が怪我をしても、軍隊にはどうせ泥棒だからそのまま死んでも問題ないと思われ、置き去りにされてしまうのです。少年2人には彼らなりの思想というものもありますし、色々と機転の利く少年たちだったので、泥棒ではなく、本当は馬たちを解放したいという気持ちを表現しました。

今回また新潟に戻れたことは、ある意味実家に戻ってきたような安堵感があります。1回目でいろんな知り合いができたので、今回もまたその人々に会えたというのが1番大きな違いで、1回目に訪れた時に気に入った場所やお店にもう一度行けて嬉しかったです。
自分の心の中に、物語を伝えたいっていう思いが、ものすごく強くあるんです。何が何でも伝え続けたいっていう風に思っているので、どんな苦難があっても、必ずそれを乗り越えるほどの原動力をもって、物語を作り続けました。また、小さい子供が3人おりますし、アニメーションに人生を捧げてきたので、それしか知らないですし、今後もずっと続けていきたいと思っています。
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