返還前の沖縄で撮影された台湾の幻の映画2作が初上映【第2回沖縄環太平洋国際映画祭】
2025年2月23日 19:30

沖縄県・那覇市を中心に開催中の、第2回Cinema at Sea 沖縄環太平洋国際映画祭で、2月23日「琉球の恋」(リン・フーディ監督)が桜坂劇場でワールドプレミア上映され、女優として50年以上のキャリアを持つ、台湾の国民的女優シュウユウ(周遊)と国立台湾映画・視聴文化センター(TFAI)センター長の褚(シャ)明仁氏が来日し、トークを行った。
この日上映された「琉球の恋」「夕陽西下(せきようせいか)」の2作は、沖縄が日本復帰を迎える以前の1968年に撮影され、長年フィルムが行方不明となっていた「幻の映画」であった。しかし、2019年にアメリカ・サンフランシスコのチャイナタウンにある旧映画館で奇跡的に発見され、国立台湾映画・視聴文化センター(TFAI)が修復し、このほど日本でも初上映となった。
(C)Taiwan Film and Audivisual Institute 提供「琉球の恋」は、海運業を営む台湾人のリン一家は、次男のホンハイが父親の意向を無視してお見合いを拒否した挙句、ライバル会社の娘シウリンと恋に落ちたことで混乱に陥る…若者たちの悲恋を運命的に描いたメロドラマ。

国立台湾映画・視聴文化センターのシャ氏は、「この作品は、1966年の秋、冬に沖縄で撮られました。沖縄と台湾の合作映画ですが、長年にわたってのプリントの所在が分からなく、幻の映画と言われておりました。しかし、偶然プリントが見つかり、修復後、ここ沖縄、そして日本で初めて上映となりました。この映画が初めてふるさとに帰ってきたって言っと言っても過言ではありません」と本作の歴史を紹介する。
さらに、本作製作の経緯として、沖縄を舞台にした松竹映画「海流」(1958/堀内真直監督)が、台湾で人気を博し、インスパイアを受けたリン監督が、沖縄と合作で台湾の映画を作りたいと熱望し、実現したという逸話を明かした。

主要登場人物の姉役を演じた周遊は「1966年、アメリカ統治時代でまだあった沖縄の風景、そして、当時白色テロ時代だったこの台湾の風景が映っているこの珍しい映画が、ここ撮影地であるふるさと沖縄に戻れたことはとても嬉しいことです」と、日本での上映を喜び、「台湾語映画の中でもカラー映画で先駆的な映画だったので、リン監督にどんな役でもいいので出させてほしいと頼んだのです」と自ら出演を志願したと明かす。「戒厳令下の台湾で、台湾人は自由に出国できる時代ではありませんでした。しかし、私は大変幸運なことに、当時、文化工作隊に勤めており、軍の慰労親善団として、アメリカ軍の司令官と親交があったので、文化工作隊の一員として沖縄を訪れることができたのです」と振り返った。
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