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【「野生の島のロズ」評論】動物と生きる。それはプログラムではない、私の意志

2025年2月16日 13:00

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画像1(C)2024 DREAMWORKS ANIMATION LLC

「技術と手を結びつけるには、心という媒介がなければならない」

これはフリッツ・ラングのスチームバンクSF「メトロポリス」(1927)の中で交わされる、対立する知識階級と労働者との融和をうながすフレーズだ。女性型ロボットが登場する作品としても有名なこの古典は、先のフレーズと合わせて「野生の島のロズ」を連想させるに充分な要素を有する。本作も女性型ロボットがキーパーソンとなり、そして文明と自然という対立的存在を結びつけるのに、心を要するアニメーションだからだ。

テクノロジーの発達した世界で、人間をアシストするよう開発されたロボットのロズ(声=ルピタ・ニョンゴ/綾瀬はるか)。物語はある日、彼女が無人島に流れ着いたところから始まる。そこは動物しかいない未開の地で、彼女は生き残るためにプログラム以上の能力を発揮せねばならなくなる。

映画はロズが悪戦苦闘しながらも周囲になじみ、キツネのチャッカリ(声=ペドロ・パスカル/柄本佑)を筆頭に動物たちとの関係を築く様子を描いていく。そして親を失った渡り鳥の雛キラリ(声=キット・コナー/鈴木福)の養母として、彼の成長を全力でアシストしていくのだ。いずれ別れが訪れるかもしれない、限られた時間の中で……。

本作の制作ドリームワークス・アニメーションは、ピクサーやディズニー、あるいはイルミネーションといった他スタジオに比べ、最も日本アニメへのリスペクトを露わにしているのが実感できる。3年前に国内公開された「バッドガイズ」(2022)も絶妙に「ルパン三世」を思わせる怪盗設定だったし、なにより我が国のアニメ演出の特徴であるリミテッドスタイル(フレーム数を調整してアクションの強弱をつける)の影響が見られるのも、群を抜いてドリームワークスだ。

だが、この作品が受け継いでいるのは、そういったキャラクターや表現技法だけではない。心を持たないメカに感情が芽生え、そして人類と深い絆を築いていくといった、「鉄腕アトム」を嚆矢に連綿と描かれてきたテーマを共有している。なので冒頭の「メトロポリス」にまでさかのぼり、根拠を示す必要はないのかもしれない。

やがてドラマは外界からの脅威に抵抗するため、動物どうしが互いに協力するようロズが先導する展開へと至っていく。奇しくも同年、近似したシチュエーションをディズニーが「ライオン・キング ムファサ」(2024)で設定していたが、リーダーの資質を問うための試練としてそれを描いた同作に対し、ダイバーシティの尊重や融和という観点を踏まえて共同体を唱えた「ロズ」の視程はより広く深い。心という媒介で、全ては手を取り合えるのだ、と―。

(尾﨑一男)

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