2024年の映画年間動員&興収減も邦画は歴代1位の新記録
2025年1月29日 21:00
日本映画製作者連盟(映連)の新年記者発表が1月29 日に都内ホテルで行われ、2024年(令和6年)の全国映画概況を発表。映連の島谷能成会長、松竹の髙𣘺敏弘社長、東宝の松岡宏泰社長、東映の吉村文雄社長、そしてKADOKAWAの夏野剛社長が登壇した。
昨年の年間興行収入は2069億8300万円で前年比144億円減の93.5%となり、2000年の興収発表以降で11番目の成績。コロナ禍前の19年の最高成績2612億円にはまだ及ばないが、22年以降は2000億円台を維持した。なお、北米は23年が年間88億ドル、24年が82億ドルで前年比94%だったので日本とほぼ同推移であるとした。
内訳は、邦画が1558億円で前年比76億円増(105.1%)、洋画が511億8300万円で前年比221億円減(69.8%)だった。洋画は23年の脚本家組合と俳優組合によるストライキの影響、その時の停滞が24年に及んでいるとした一方、邦画は好調で歴代1位だった16年の1486億円を大きく上回り新記録となった。
コロナ禍前の中位の平均値、19年から前の5年間と比べると邦画の興収は120%、洋画の興収は51%、トータルでは90%ということで回復基調であるとしたが、洋画は中位平均で年間1001億円あったのが24年は511億円ということで、約500億円落ちている。洋画がコロナ禍前と同じ平均値であれば、邦画が1558億円なので、2558億円になって大変な活況だったのではないかとした。
邦画と洋画の構成比は、邦画75.3%、洋画24.7%で、洋画のシェアは23年より8.4%ダウンしたが、米ハリウッドはストライキの影響から抜け出し、旺盛な作品製作に向かっているということで、25年は大作が続々と公開されることから、25年は期待できるとした。
また、中継(ライブビューイング)などを含まないODS(非映画コンテンツ)の24年年間興収は246億7300万円(前年比82%)。12年は47億円だったので、5.2倍と定着してきているとし、国内のシネマコンプレックスが映画だけでなく“映像館”に少しずつ近づいてきていて、さらに伸びると予想している。
23年に一般料金が2000円になった入場料金は、24年は平均1433円で前年より9円増。コロナ禍前の中位平均だと1311円だったので122円上がっている。年間の入場人員(観客動員)は1億4444万1000人で、前年より1109万人減(92.9%)となった。
24年の公開本数は、邦画が685本で前年より9本増。コロナ禍前の平均が606本だったのでプラス79本。洋画が505本で51本減。コロナ禍前は平均490本だった。邦洋合計では1190本で、2000年以降4番目に多い本数。
全国のスクリーン数は3675スクリーンで、前年より22スクリーン増。スクリーン数は23年に続いて増加傾向で、2000年以降の最多を更新。閉館とオープンの内訳は、閉館24、オープン46で、増加傾向は25年も続くとした。
興収10億円以上の邦画は「名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」ほか31作品で、前年より3作品減。31作品で1050億1000万円を上げ、23年は34作品で1139億円だったので、89億円の減となった。引き続きアニメが好調で、2作品が興収100億円を突破。邦画上位10本の内、アニメが6本を占めている。50億円超えは23年は5本だったが、24年は2本増えて7本。
洋画は「インサイド・ヘッド2」ほか10作品で、合計興収は252億5000万円。23年は15作品で483億円だったので、大きく減となった。50億円以上は23年が2本、24年は1本。邦画と洋画を合わせて、10億円以上の興収合計は1302億6000万円で、23年の1622億円から319億円の減。100億円超えは23年が3本だったので、1本減となっている。
興収10億円以上の実写作品とアニメ作品の比率は、邦画は42:58、洋画は47:53となり、いずれもアニメのシェアが高くなっている。邦画と洋画を合わせた比率は43:57で、2000年以降でアニメ比率が一番高い。100億円超えが2本ともアニメだったことが影響している。
また、劇映画のビデオソフトによる販売額の推定も発表。メーカー売上は457億円で前年比98.5%。内訳はセル394億円(102.1%)、レンタル63億円(80.5%)。セルは堅調だが、レンタルは配信への流れが進んだ。さらに映像ソフト市場の推計では、ビデオソフト市場は右肩下がりだが、有料動画配信市場は右肩上がりで、23年が5991億円(108.8%)。合計では8123億円(104.9%)と右肩上がり傾向となっている。
なお、24年の映画の輸出実績は5億4030万6000ドル(112%)で、12年連続の右肩上がりとなり、最高記録だった23年を上回って記録を更新。アニメ作品を中心に実写も売れて販売は好調だった。
以上、島谷会長が2024年全国映画概況について報告、説明。また、23年4月にスタートした「日本映画制作適正化機構」(映適)の状況についても報告した。続いて、映連加盟4社の各社長が24年の報告と25年のラインナップや抱負、さらにフジテレビへの対応などについて述べた。
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