遂に最終章「スマホを落としただけなのに」 3作品で1番面白いのはどれ?【コラム/細野真宏の試写室日記】
2024年11月1日 10:00
映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。
また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。
更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)
今週末2024年11月1日(金)から「スマホを落としただけなのに」シリーズ第3弾であり「最終章」となる「スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナル ハッキング ゲーム」が公開されます。
情報を詰め込み過ぎたのか、タイトルが割と長めなので、以下「スマホを落としただけなのに 最終章」とします。
正直なところ第1弾の映画「スマホを落としただけなのに」を見た時に、シリーズ化して第3弾まで続くとは思っていませんでした。つまり、コンテンツとして優秀だったのでしょう。
今は何かとシビアな世の中なので、利益の見込みが薄ければバッサリ切られていても不思議ではないからです。
ここまでの成功の根本には、何と言っても「スマホを落としただけなのに」というタイトルの上手さがあると思います。
2018年に第1弾の「スマホを落としただけなのに」を見た時には、“スマホを落とす“という日常的に起こる事柄を題材に、よくここまで危機的な物語を構築したものだと感心しました。
ただ、物語が意外と入り組んでいたので、「脳の解像度を100」にして見ていたら、特に後半の入れ代わりに関する描写等で「ツッコミどころが多すぎる」と判断してしまいました。
その結果、「強くは推せない作品」という位置付けでしたが、タイトルや題材のキャッチーさは強く、興行収入19.6億円の大ヒットを記録しました。
原作小説として続編が発表されていましたし、この結果なら続編にゴーが出せるコンテンツだったと言えるでしょう。
そして続編「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」が作られ、2020年2月21日(金)に公開されました。
この第2弾に関しては、「スマホを落としていないのに?」といった根本的なツッコミはありましたが(一応、最後に取ってつけたようなオチで使われてはいます)、それ以外の違和感はなく、私は意外と好きな作品でした。
公開時期が、まさに未知の新型コロナウイルスの蔓延時期という最悪なタイミングでしたが、それでも興収11.9億円という立派な成績を収めました。
「スマホを落としただけなのに 最終章」の主役となるのは、天才的なハッカーで連続殺人鬼である「浦野」。第2弾のラストでは、海を越えて中国あたりに行っていましたが、最終章の舞台の1つは韓国になっています。
そして、もはや第1弾の「日常的なスマホの危機」からは物語がかけ離れて大きくなり過ぎた感があるので、ここで「終結」というのも良い判断だと思います。
しかも評価すべきは、物語の規模は大きくなっていっても、キチンと第1弾の登場人物、第2弾の登場人物、最終章の登場人物が、無理なくそれぞれの役割を上手く担っている点です。
そして第3弾も、私は意外と気に入っています。
そこで、「そもそもどれが1番面白いんだろう?」と思い、これを機に一気に3本を見てみました。
第1弾については、前回の反省を活かして「脳の解像度を100」から「脳の解像度50」くらいに落として、ぼんやりと眺めるようにして見てみました。
すると、「ちょっと終盤は展開が早過ぎて分かるような、分からないような」という感じでしたが、強烈なツッコミがおさまったぶん違和感が減りました。
そうなると感想も「まあアリかな」というポジティブなモノに変化しました。
第2弾についても同様に見てみると、暗号通貨とかのくだりが、(知識がないと)やや難しいのかもと感じました。
第3弾については、現実的にはリンクしない無理のある部分もありましたが、映像の妙もあり上手く映像化に成功しています。これも深く考えずに見ればそれなりの満足感が得られると思いました。
つまり、割と要素を詰め込んだ脚本は3作すべてに共通していて、詰まるところは、内容の親和性で好みが分かれるのかもしれません。
そのため、タイトルも含めて“日常的な恐怖"を描き切った第1弾の求心力がベストになるのでしょう。
そう考えると、なかなか続編で第1弾を超える結果にはなりにくく、第2弾は、前作の7掛けで興収13.7億円くらいが順当でしたが、新型コロナの直撃を踏まえると興収11.9億円というのは許容範囲の結果でしょう。
そして第3弾は、第2弾の興収11.9億円という数字を前提とすると7掛けで興行収入8.33億円が合格ラインとなります。ただ、新型コロナの影響を除外すれば、本来のポテンシャルは、13.7億円×0.7で興行収入9.59億円と考えることもできます。
どちらにしても興収10億円を割り込むことが想定されますが、韓国ロケなどのスケールアップが作用し、何とか興行収入10億円突破を目指してほしいところ。有終の美を飾れるかに注目したいと思います。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
十一人の賊軍 NEW
【本音レビュー】嘘があふれる世界で、本作はただリアルを突きつける。偽物はいらない。本物を観ろ。
提供:東映
映画料金が500円になる“裏ワザ” NEW
【仰天】「2000円は高い」という、あなただけに伝授…期間限定の最強キャンペーンに急げ!
提供:KDDI
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声 NEW
【人生最高の映画は?】彼らは即答する、「グラディエーター」だと…最新作に「今年ベスト」究極の絶賛
提供:東和ピクチャーズ
ヴェノム ザ・ラストダンス NEW
【最高の最終章だった】まさかの涙腺大決壊…すべての感情がバグり、ラストは涙で視界がぼやける
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
“サイコパス”、最愛の娘とライブへ行く
ライブ会場に300人の警察!! 「シックス・センス」監督が贈る予測不能の極上スリラー!
提供:ワーナー・ブラザース映画
予告編だけでめちゃくちゃ面白そう
見たことも聞いたこともない物語! 私たちの「コレ観たかった」全部入り“新傑作”誕生か!?
提供:ワーナー・ブラザース映画
八犬伝
【90%の観客が「想像超えた面白さ」と回答】「ゴジラ-1.0」監督も心酔した“前代未聞”の渾身作
提供:キノフィルムズ
追加料金ナシで映画館を極上にする方法、こっそり教えます
【利用すると「こんなすごいの!?」と絶句】案件とか関係なしに、シンプルにめちゃ良いのでオススメ
提供:TOHOシネマズ
ジョーカー フォリ・ア・ドゥ
【ネタバレ解説・考察】“賛否両論の衝撃作”を100倍味わう徹底攻略ガイド あのシーンの意味は?
提供:ワーナー・ブラザース映画
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
ハングルを作り出したことで知られる世宗大王と、彼に仕えた科学者チョン・ヨンシルの身分を超えた熱い絆を描いた韓国の歴史ロマン。「ベルリンファイル」のハン・ソッキュが世宗大王、「悪いやつら」のチェ・ミンシクがチャン・ヨンシルを演じ、2人にとっては「シュリ」以来20年ぶりの共演作となった。朝鮮王朝が明国の影響下にあった時代。第4代王・世宗は、奴婢の身分ながら科学者として才能にあふれたチャン・ヨンシルを武官に任命し、ヨンシルは、豊富な科学知識と高い技術力で水時計や天体観測機器を次々と発明し、庶民の生活に大いに貢献する。また、朝鮮の自立を成し遂げたい世宗は、朝鮮独自の文字であるハングルを作ろうと考えていた。2人は身分の差を超え、特別な絆を結んでいくが、朝鮮の独立を許さない明からの攻撃を恐れた臣下たちは、秘密裏に2人を引き離そうとする。監督は「四月の雪」「ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女」のホ・ジノ。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。