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【ネタバレあり】「全編にわたって何かがみなぎっているすごい映画」「ナミビアの砂漠」二村ヒトシと映画.com編集部がトーク

2024年10月2日 21:00

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「ナミビアの砂漠」
「ナミビアの砂漠」
(C)2024「ナミビアの砂漠」製作委員会

TOKYO FMほか全国38のFM局のオーディオコンテンツプラットフォームで、スマートフォンアプリとウェブサイトで楽しめるサービス「AuDee(オーディー)」 と映画.comのコラボ新番組「映画と愛とオトナノハナシ at 半蔵門」。作家でAV監督の二村ヒトシと映画.com編集部エビタニが映画トークを繰り広げる。

今回は2024年・第77回カンヌ国際映画祭の監督週間で国際映画批評家連盟賞受賞作で、山中瑶子監督・脚本、「あんのこと」の河合優実主演作「ナミビアの砂漠」を取り上げる。

主人公は脱毛サロンで働く21歳のカナ。同棲している恋人ホンダは家賃を払ったり料理を作ったりして彼女を喜ばせようとするが、カナは自信家のクリエイター、ハヤシとの関係を深めていく……という物語。金子大地がハヤシ、寛一郎がホンダを演じ、新谷ゆづみ中島歩唐田えりか渋谷采郁が共演。

二村は「河合優実さんが素晴らしいし、映画としても素晴らしい」と絶賛。エビタニは「最初は正直、消化しきれなかったので、2回見た。細かいところが凝っていた」と感想を語り、とりわけ主演の河合について「私の上半期ナンバーワン『あんのこと』は表情での演技が素晴らしかった。この作品でもこういう子いるな、と思えた」と振り返る。

さらに二村は、「カメラもすごくうまい。ワンカットで人間の混乱を見せていく。同じく女性の不安定さを描いたジョン・カサベテスの『こわれゆく女』を思い出した」「状況を説明しようというセリフがない。説明しないことが映画としてかっこいい。役者にも恵まれているが、全編にわたって何かがみなぎっているすごい映画」と評し、エビタニも「小物の使い方もすごい。洋服も彼女の性格を表しているようだったし、動画編集している彼氏の本棚とか」「音のテクニックも素晴らしかった」と細部まで各種設定にリアリティがあったと感心する。

日常生活にも仕事にも情熱を持っていない主人公カナが、恋愛で自身の環境を変えていくことについて、二人は分析。「ホンダにケアされてる彼女は安定していて、彼女に必要なのは安定なのにケアする人を愛せない」「カナもハヤシもふたりとも自分が大事なタイプ」とエビタニ。家族のように穏やかだったホンダとの同棲生活とは一転、互いに高め合える関係になると思いきや、暴力的になってしまったハヤシとカナについて「DV気質のある人は、相手に自立していてほしいと言ったりする矛盾があるようです」と二村。そして、カナを含め、若い登場人物たちの親や家族関係についても言及し、「恋愛が親との関係でやり切っていなかったことをやり直しているような気がする」と考察する。

そのほか、タイトルである「ナミビアの砂漠」についてや、カウンセリングや箱庭療法などについても、ふたりは様々な意見を交わしながら、主人公カナの心のあり方を探る。「彼女に必要なのは恋人ではなくて、友達なのでは」(二村)、「彼女は自己愛が強い分、自己嫌悪も強いんだろうな」(エビタニ)とそれぞれの見解を語っていた。

トーク全編はAuDee(https://audee.jp/voice/show/55260)で聞くことができる(無料配信中)。次回は直木賞作家・辻村深月のベストセラー小説を、藤ヶ谷太輔奈緒の共演で映画化した「傲慢と善良」を取り上げる。

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