映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック
その他情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

【「シサム」インタビュー】寛一郎×坂東龍汰、芝居という“共通言語”で深める仲 お互いの役者としての魅力は?

2024年9月19日 11:00

リンクをコピーしました。
(左から)坂東龍汰、寛一郎
(左から)坂東龍汰、寛一郎

北海道の大自然を背景にアイヌと和人(日本人)との歴史を描いた映画「シサム」(9月13日から公開中 ※ムは小文字が正式表記)で初共演を果たした寛一郎坂東龍汰。実はプライベートでは5年ほど前からの仲だといい、「ついに共演できる」と喜び合ったという。撮影舞台裏のほか、お互いの役者としての魅力を聞いた。(取材・文/編集部、撮影・山口真由子)


【「シサム」あらすじ】
画像2(C)映画「シサム」製作委員会

江戸時代前期。北海道南西部に位置する松前藩は、アイヌとの交易品を主な収入源としていた。松前藩士の息子である孝二郎(寛一郎)と兄の栄之助(三浦貴大)は、アイヌとの交易で得た品を他藩に売る仕事をしている。ある日、栄之助は使用人・善助(和田正人)の不審な行動を見つけるが、そのせいで善助に殺されてしまう。復讐のため善助を追って蝦夷地へ向かった孝二郎は、そこで異なる文化や風習に触れ、それを理解することで自身の人生を見つめ直していく。


主演の寛一郎は主人公の孝二郎、坂東は和人に反発心を抱くアイヌの青年・シカヌサシを演じており、劇中では対立するシーンがある2人。インタビューでは互いの発言に笑い合い、信頼できる役者仲間でありながら、気心の知れた友でもある関係性が伝わってきた。

画像3
――本作に惹かれた一番の理由を教えてください。
寛一郎:小学生のときに、アートなどいろいろ学べる学習塾みたいなところに通っていたのですが、そこの行事の一つとしてアイヌの集落に2週間ほど滞在しました。そこから20年くらい経ってこういう作品のオファーをいただいたことは縁だなと思いましたし、アイヌの文化についてもっと知りたかったという思いもありました。
坂東:僕はもともと北海道に15年くらい住んでいて、家族で自給自足のような生活を送っていました。自分たちで肥料から作って野菜を育てたり、そういうサイクルのなかで生きてきたので、アイヌとも小さい頃からつながりがありました。ポロトコタン(編集部注 アイヌ民族の文化を紹介する施設)に家族で行ったり、父親がチセ(アイヌの伝統的な住居建築)を作るのが好きで実際に建てたりもしていました。あと、一番の出演の決め手は主演が寛一郎だったからです! 出ないっていう選択肢はなかったですね。
画像4(C)映画「シサム」製作委員会
――今回が初共演ですが、以前からお知り合いだったんですね。
寛一郎:もともとは共通の知り合いが多かったんです。
坂東:かれこれ5年くらいの仲ですね。オーディションでかぶったりもして。
寛一郎:彼の魅力はもとから知っていたので、今回共演できて嬉しかったです。
坂東:まさかのアイヌ語と日本語でのやり取りだったね。「やった、ついに寛一郎と共演できる!」と思って喜んだのもつかの間。いただいた台本を開いたら、僕のセリフは全編アイヌ語だったのでぞっとしました(笑)。最初、台本には日本語でセリフが書いてあって、後にアイヌ語になりますって書かれていました。そんなに多くはなかったので、いけるかもしれないと思ったのですが、アイヌ語に直訳するとものすごい量になって。2行のセリフが5行くらいに増えました。
寛一郎:日本語では一言でも、アイヌ語に訳すと3倍くらいになるんです。
ヘアメイク:KENSHIN スタイリスト:坂上真一(白山事務所)
ヘアメイク:KENSHIN スタイリスト:坂上真一(白山事務所)
――お2人がそんなに仲良しだったとは知りませんでした。
坂東:周りの人から聞いた印象だと、寛一郎とは仲良くなれないだろうなって思っていました。でも、意外と仲良くなれました。
寛一郎:僕も周りの人から「坂東のこと苦手だと思う」って言われていました(笑)。でも、会ってみたら全然そんなことなかったです。
坂東:会う前の寛一郎は、人を見抜く力があって、一定の距離がちゃんとある人っていうイメージでした。本当に仲いい人とはすごく仲いいけれど、そうじゃない人には興味がなくて、寛一郎にとっての興味がある人になれる人はあんまりいないんだろうなぁって。
寛一郎:そのイメージは当たっていると思います。彼(坂東)とは近しいところもありますが、外から見た印象は真逆に見られることが多いです。そういった意味では、彼の人の懐にすぐ入れるところは僕にはない才能なので、魅力的だなと思います。知り合う前からみんなが彼のことを知っている状態だったので、当時は「坂東って一体何者なんだ」って思っていました(笑)。
坂東:そうだよね(笑)。当時僕は芸能界に入りたてで、活動を始めるのが遅かったこともあって、いろんな人とつながることに必死だったんだと思います。まだ“自分”というものができていなくて、いろんな人に興味がありました。役者って何?っていうのを人から摂取したかったんだと思います。
ヘアメイク:ゴトウ ヤスシ スタイリスト:OLTA 後藤泰
ヘアメイク:ゴトウ ヤスシ スタイリスト:OLTA 後藤泰
――お互いに気心知れた相手が現場にいて、嬉しかったのでは?
寛一郎:嬉しかったですね。
坂東:でも、寛一郎は3日くらいで僕に胃もたれしていました。撮影後に毎日、寛一郎の部屋に行って、何もしないのにだらだらいて。そしたら、やめてほしいって言われました。「もういい」って(笑)。
寛一郎:僕は極端にあんまり人と会わなくてもいいタイプなのですが、彼はありがたいことにずっと一緒にいてくれるんです(笑)。だから、「一回休憩しよう」って言って。
坂東:そこからちゃんと自分の部屋にこもるようになりました。
画像7(C)映画「シサム」製作委員会
――俳優としてはお互いにどんな印象を抱いていますか?
寛一郎:坂東君はふわふわっと見えて、すごく真面目なんです。感覚的なことも鋭いですし、論理的にもできる。一緒にやっていてすごく助かりましたし、バランス感覚が素晴らしいなと思っています。
坂東:(照れ笑いをしてから)僕も寛一郎はバランス感覚がすごいなと思っています。「シサム」でも、それ以外の出演作品を観ても、役に一貫性があってぶれない。今回、寛一郎は主役でしたが、長時間スクリーンに映っていて、ここまで飽きさせない魅力がある人はそんなに多くいないと思うんです。現場でも感じていましたが、映画館で「シサム」を観て、改めて寛一郎の役の組み立て方が勉強になりました。こういう主演が真ん中にいるから、周りの人が生き生き演技できるんだなと思います。
画像8
――坂東さんのセリフは全編アイヌ語でした。かなり練習されたと思いますが、覚えるまでの苦労や、発音の難しさはありましたか?
坂東:撮影の2週間前くらいからアイヌ語に取り組み始めました。最初は音源だけを聞いて覚えて、現場に行ってからはアイヌ語をずっと研究されている藤村(久和)さんという方に教えてもらえました。
アイヌ語は文法の情報が少なく、セリフを覚えるときには、日本語とアイヌ語を見比べていって、現代語として理解できるブロックと、音と響きでなんとなく意味を理解できるブロックに分けて、気持ちを込められるよう準備しました。それ以外は歌を歌っているような感覚に近かったかもしれないです。孝二郎とぶつかる役だったので、ちゃんと自分の気持ちをのせられないと困るなと思っていました。
画像9
――撮影は1カ月半ほど白糠町で行われたそうですね。
坂東:普通の撮影とは全く違うので、印象的なことだらけでした。アイヌの衣装も当時に近いものでしたし、近くで熊が出るかもしれないとも言われていました。
寛一郎:定期的に爆竹を鳴らしたり、撮影所にご飯は持っていかないよう対策をしたり。
坂東:虫もすごくて、いろんなものと戦っていました。でも、とにかく料理が美味しくて。
寛一郎:毎日みんなでご飯を食べて、地元の皆さんと交流していました。7月に撮影していたのですが、気候も素晴らしかったです。白糠の宿には冷房がないくらい涼しかったので、ロケがしやすい環境でした。
坂東:あとは、寛一郎が筋トレ器具をたくさん買って、部屋がジムみたいになっていました。
寛一郎:武士の役なので、体を鍛えないとなと。
坂東:寛‘sブートキャンプみたいになって、男4人くらいで部屋に集まって筋トレをして。みんなすごく仲良しでしたね。
画像10
――お2人とも映画、テレビと広く活動されています。忙しい毎日を過ごしていると思いますが、役者を続けていくうえでどんなことがモチベーションになっていますか?
寛一郎:いい作品と良い人に出会うことはモチベーションの一つになっています。そもそも、自分が観たいと思う映画がそんなに多くはないので、そういった作品を観るために自分が作る。あとは、「シサム」のような作品を通して、歴史や文化を知ることも好きです。
坂東:どんな役をやっても、常に満足することがまだないです。やってもやっても、どこか埋まらない感じに突き動かされるのかなと思います。きっと、何歳になってもそれを埋められるよう頑張り続けるのが役者なのかなとも思います。僕はすごく飽き性なんですが、まず7年もこの仕事を続けられると思っていなかったです。続けられたのは、寛一郎みたいに、芝居という共通言語があって、同じ方向を向いてくれる役者仲間がいてくれたからかもしれないです。そういう人たちから「残念だな」って思われるような芝居をしたくないっていう思いも強いです。指摘してくれる人はどんどんいなくなっていきますし、そういう人たちにがっかりされたくないからもっと頑張れるんだと思います。
画像11
――貴重なお話をありがとうございました。最後に、お2人が何度も繰り返し観るくらい好きな映画、ずっと心に残っている映画を教えてください。
坂東:最近何回も観ているのは「レインマン」です。ここ半年で5、6回は観ました。緻密に作られているなって思うので、一か所観ていいなって思ったら、もう一回観直しています。すごいって思うシーンが毎秒あって勉強になります。
寛一郎:定期的に観たくなるのは、「L.A.コンフィデンシャル」です。役者もすごくて、ケビン・スペイシーが輝いていて、画もかっこいいので好きです。

フォトギャラリー

寛一郎 の関連作を観る


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

シネマ映画.comで今すぐ見る

愛のぬくもり

愛のぬくもり NEW

「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。

卍 リバース

卍 リバース NEW

文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。

痴人の愛 リバース

痴人の愛 リバース NEW

奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。

止められるか、俺たちを

止められるか、俺たちを NEW

2012年に逝去した若松孝二監督が代表を務めていた若松プロダクションが、若松監督の死から6年ぶりに再始動して製作した一作。1969年を時代背景に、何者かになることを夢みて若松プロダクションの門を叩いた少女・吉積めぐみの目を通し、若松孝二ら映画人たちが駆け抜けた時代や彼らの生き様を描いた。門脇むぎが主人公となる助監督の吉積めぐみを演じ、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」など若松監督作に出演してきた井浦新が、若き日の若松孝二役を務めた。そのほか、山本浩司が演じる足立正生、岡部尚が演じる沖島勲など、若松プロのメンバーである実在の映画人たちが多数登場する。監督は若松プロ出身で、「孤狼の血」「サニー 32」など話題作を送り出している白石和彌。

青春ジャック 止められるか、俺たちを2

青春ジャック 止められるか、俺たちを2 NEW

若松孝二監督が代表を務めた若松プロダクションの黎明期を描いた映画「止められるか、俺たちを」の続編で、若松監督が名古屋に作ったミニシアター「シネマスコーレ」を舞台に描いた青春群像劇。 熱くなることがカッコ悪いと思われるようになった1980年代。ビデオの普及によって人々の映画館離れが進む中、若松孝二はそんな時代に逆行するように名古屋にミニシアター「シネマスコーレ」を立ち上げる。支配人に抜てきされたのは、結婚を機に東京の文芸坐を辞めて地元名古屋でビデオカメラのセールスマンをしていた木全純治で、木全は若松に振り回されながらも持ち前の明るさで経済的危機を乗り越えていく。そんなシネマスコーレには、金本法子、井上淳一ら映画に人生をジャックされた若者たちが吸い寄せられてくる。 前作に続いて井浦新が若松孝二を演じ、木全役を東出昌大、金本役を芋生悠、井上役を杉田雷麟が務める。前作で脚本を担当した井上淳一が監督・脚本を手がけ、自身の経験をもとに撮りあげた。

スペース・シャーク

スペース・シャーク NEW

惑星クリプトXの研究施設では、宇宙ザメと宇宙植物が秘密裏に育てられていた。しかし宇宙船が隕石にぶつかり地球に落下。その際にサメ型クリーチャーも地球へと送り込まれてしまう。宇宙船が落下した荒野では、麻薬中毒のセラピーを受けていた若者たちが、地球の環境に適応し狂暴になったサメ人間 <シャークベイダー>に次々と襲撃され殺されていく!残った彼らは、宇宙船唯一の生き残り・ノーラと合流し、荒野からの脱出を試みるが…果たして、宇宙ザメと宇宙植物の恐怖から逃げ延びることはできるのか!

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る

シネマ映画.comで今すぐ見る

他配信中作品を見る