台湾発の心温まる理髪店の物語「本日公休」9月20日公開 山田洋次監督「日本で、どうしてこんな映画が作れないのだろう」
2024年9月13日 20:00
第18回大阪アジアン映画祭で観客賞と薬師真珠賞(俳優賞)を受賞した台湾映画「本日公休」が、9月20日から新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国で順次公開されることが決定した。主演のルー・シャオフェンから日本の観客へ向けたメッセージ動画と著名人のコメントが公開された。
本作は、作家やMV監督としても活躍するフー・ティエンユー監督の劇場長編3作目。台中にある昔ながらの理髪店を営むアールイと常連客、3人の子どもたちとの心温まる物語を紡ぐ。フー監督が理髪師の母親をモデルに脚本を執筆。台中の実家で実際に営んでいる理髪店で撮影を敢行し、3年の月日をかけて完成させた。台湾の名優ルー・シャオフェンが主人公を演じ、フー・モンボー、ファン・ジーヨウ、リン・ボーホンらが共演。チェン・ボーリンも特別出演している。
台中にある昔ながらの理髪店の店主・アールイは、今日も一人店に立ち、常連客を相手にハサミの音を響かせる。息子の卒業式に出席するため整髪に来た紳士、親に内緒で流行りのヘアスタイルにして欲しいと懇願する中学生。娘や息子に「こんな理髪店は時代遅れ」と言われても、40年続けた店と常連客を大切に想い、アールイは、せわしくも充実した日々を送っている。そんなある日、離れた町から通ってくれていた常連客の“先生”が病の床に伏したことを知ったアールイは、店に「本日公休」の札を掲げ、古びた愛車でその町へ向かう。
主人公アールイを演じたルー・シャオフェンは、ワン・トン監督の「海を見つめる日」(83)で金馬奨最優秀主演女優賞を受賞し、アン・ホイ監督の「客途秋恨」(90)では故郷への想いを抱く日本人女性を演じ切った。24年ぶりに銀幕に主演復帰した本作では、本物の理髪師さながらのハサミ捌きと、ブランクを感じさせない演技で、台北電影奨の最優秀主演女優賞、大阪アジアン映画祭 薬師真珠賞(俳優賞)を受賞した。
著名人からは、「日本で、どうしてこんな映画が作れないのだろう。」(映画監督 山田洋次氏)、「痛快を通り越して美しくさえある。愚痴の多い高齢者は必見。」(脚本家 内館牧子氏)、「今こそ、こういう感性、作品が必要な時代なのではないでしょうか。」(マンガ家・音楽家 久住昌之氏)など絶賛のコメントが寄せられている。
「本日公休」は、9月20日から新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開。台湾版ビジュアルのポストカード2枚セット付き前売券(1500円/税込)が新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座で発売中。
著名人のコメントは以下の通り。
昔ながらの床屋さんの世界を描き切った。
日本で、どうしてこんな映画が作れないのだろう。
実はそんなできごとは何ひとつ起こらないし、静謐な一編である。
快哉を叫びたくなるのは、高齢な主人公が徹底して自分の思いのままに生きる姿だ。
若者に取り入ろうとも思わず、何を言われようが思ったように生きる。
痛快を通り越して美しくさえある。愚痴の多い高齢者は必見。
監督の淡々とした静かな視線が素晴らしい。
ボクが原作をした漫画「孤独のグルメ」の作画を担当した谷口ジローさんの表現にも通じています。
ルー・シャオフェンさんをはじめ、役者陣の押さえた演技も、心に染み入りました。
今こそ、こういう感性、作品が必要な時代なのではないでしょうか。
このすべてがこの映画には詰まっている。
こうやって生きればいいと教えてくれている。
積み重なり人生に暖かさを添えていく。
日々に心配や不安はなくならない、
それでもこのまま思う通りに
まっすぐ行けばいいと教えてくれた気がした。
それは…さっぱりするから!
何故か懐かしい床屋さんを覗き込めば?
無意識のうちに私は誰かに連れられアールイさんの世界にいる。
アールイの後を浮遊する経験すれば…
あなたもしっくり?いやさっぱりすると思う………。