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言葉にできない感情、空想、溢れる詩情、音との競演 技術と技法の妙が光る 短編コンペ「虚構世界」「光の詩」【ひろしまアニメーションシーズン2024】

2024年8月18日 09:00

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短編コンペティション部門「光の詩」出品作家ら
短編コンペティション部門「光の詩」出品作家ら

広島市で開催中のアニメーション芸術の祭典「ひろしまアニメーションシーズン2024(HAS)」で、短編コンペティション部門「虚構世界」「光の詩」カテゴリが上映された。

手描きのアナログから最先端技術まで、さまざまな技法を巧みに用い、多岐にわたるテーマを表現した実験性と抽象度の高い作品が集まり、アニメーションならではの魅力が発揮された作品群が並んだカテゴリだ。

短編コンペティションは、全世界の作品(30分以内)を対象に、「社会への眼差し」「寓話の現在」「虚構世界」「光の詩」の4つのカテゴリで選出・上映。5名の国際審査員が各カテゴリ賞に加え、全体のグランプリを選出する。グランプリ作品には賞金が贈られるほか、アカデミー賞短編アニメーション部門のノミネート資格が与えられる。

短編コンペティション部門「虚構世界」作家と製作陣
短編コンペティション部門「虚構世界」作家と製作陣

8月16日に上映された「虚構世界」カテゴリは、アニメーションによる独自の世界観を作り上げた作品が選出されている。「できれば食べたい」(ベンス・フラヴェイ)、「熱帯の複眼」(ジャンシュウ・ジャン)、「ニャオ剣」(ジャン・ボー)、母親である女性の心象風景を描く「なんであれ動いているものは、生きている」(ノエミ・マルシリ)、「セイレーンの声」(ジャンルイジ・トッカフォンド)の5作品が上映された。

迷子になる若者の物語「できれば食べたい」ハンガリーのベンス・フラヴェイ監督は、「この作品のテーマは、昔の思い出に対するノスタルジー。自分の子供の頃の思い出など、戻りたいと思っても、もう決して戻れず変化していることを視覚表現とした」と解説。

「虚構世界」カテゴリ出品作「熱帯複眼」
「虚構世界」カテゴリ出品作「熱帯複眼」

台湾の土着文化を伝統的紙漉き技術を用い、昆虫の視点で描いた精巧なストップモーションアニメ「熱帯の複眼」からは、アニメーターが出席し「この作品は異なる文化の共通点を探すことが目的。広島で、様々な背景を持った方々にご覧いただけることを嬉しく思う」とコメントする。

人魚が海、陸でさまざまな体験をする模様を絵画的映像と音楽で表現した「セイレーンの声」はプロデューサーのヴィトリオノ・ローニが来日。「この作品は、分断され、衝突が増えていくこの世界において、美だけがその世界を救う希望」「人魚の声が様々なもの、文化や真実を象徴しており、平和というものは守らなれなければいけない」と作品に込めたテーマを語った。

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擬人化された猫の壮大な戦闘劇を3DCGアニメーションで表現した「ニャオ剣」のジャン・ボー監督は「武術やアクション映画など、私の関心のあるものを詰め込んだ。また、共同制作者であるフランス人アーティストの絵がとても好きで、彼の絵でアニメーションを作りたいと思ったのがこの作品制作のきっかけ。しかしその2Dの絵を3Dにし、さらにアニメーションにするのが大変で、完成に2年かかりました。しかし、クリエイティブなプロセスを楽しみましたし、そのプロセスを通してたくさんの発見があった」と制作過程を振り返った。

「光の詩」カテゴリ出品作「時間の外套」
「光の詩」カテゴリ出品作「時間の外套」

8月17日上映の「光の詩」カテゴリでは、日本でも人気の高いドン・ハーツフェルトの最新作「ME」をはじめ、映像による詩的表現に優れた11作品が紹介され、上映後5作品の作家が登壇し作品を解説した。

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美しいモノクローム映像が印象的な「東方の雨」のミリー・イェンケン監督は「映像制作を目的にしたというよりも、瞑想的なプロセスを得たいと考え、その結果として生まれたもの。どんなものが生まれてくるのかというのも極力コントロールせず、現れるべきものがそのプロセスを通して現れることを大切にした」と説明する。

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「胡蝶の夢」の大井文雄監督は、昭和時代からNHK「みんなのうた」を数多く手がけた大ベテラン。中国の荘子の説話をベースにした本作上映を「虚実の間と、人が死ぬ瞬間に、一瞬過去のことを思い返すこと、懺悔や無常感を表現した。ネット時代にこういう大きなスクリーンで、多くの方に同時に見ていただけ、とても嬉しく思います」と感想を述べた。炎の動きを人間の精神の象徴として水墨画風に表現した「炎」のリュウ・イ監督は、「この作品を見てくださった方の、ご自身の思い、好奇心、感情、 思考に火がつくようなきっかけになったら」と述懐。

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カエル、ヘビ、トカゲなど、爬虫類の動きや鳴き声をリアルな映像とコミカルな物語で表現した「ゲロゲロ・ショー」のスレッシュ・エリヤット監督は、「これまでと違うことにチャレンジした作品。ご覧になったシーンは、インドに来ていただければ自分の目で見ることができます。是非インドに来て見てみてください。ほんとにああいう景色があります」と呼び掛ける。すると、「彼のこと信じちゃダメよ」とプロデューサーが付け加え、会場の笑いを誘った。オプティカル・オーディオのデジタル表現に挑戦した「O/S」のマックス・ハトラー監督も来日した。

「ひろしまアニメーションシーズン2024」は、8月18日まで開催。全プログラム、チケット詳細は公式HP(https://animation.hiroshimafest.org/schedule/)で告知している。1日券は3000円。1回券は1200円。そのほか全プログラム券や、大学生、高・中学生料金あり。

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