アニヤ・テイラー=ジョイ×クリス・ヘムズワース「マッドマックス フュリオサ」“マッド”な撮影現場の舞台裏とは?

2024年5月25日 12:00


取材に応じたアニヤ・テイラー=ジョイとクリス・ヘムズワース
取材に応じたアニヤ・テイラー=ジョイとクリス・ヘムズワース

第88回アカデミー賞で最多6部門に輝いた「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(2015)に登場した女戦士フュリオサが、若き日に歩んだ“修羅の道”を描いたシリーズ最新作「マッドマックス フュリオサ」。主演を務めるアニヤ・テイラー=ジョイ、フュリオサに立ちはだかる暴君ディメンタス将軍役のクリス・ヘムズワースが取材に応じた。(取材・文/内田涼)

舞台は世界の崩壊から45年後。故郷や家族、すべてを奪われたフュリオサは、バイカー軍団を率いるディメンタス将軍と鉄壁の要塞を牛耳るイモータン・ジョーが土地の覇権を争う、狂気に満ちた過酷な世界と対峙することになる――。果たして、出演スターふたりが足を踏み入れた“マッド”な撮影現場の舞台裏とは?

――アニヤさんに質問です。脚本を読んだ段階で「この役を理解できるし、すばらしい経験になる」と確信したそうですね。そう確信できた具体的な理由を教えてください。

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アニヤ・テイラー=ジョイ(以下、アニヤ):フュリオサは、悲劇的な背景をもった少女ですが、彼女自身が悲劇的な存在ではない。その点に、私は共感しました。何が何でも、一縷の希望にしがみつくという彼女の力強さ、そして、正しいことを貫くんだという鋼鉄の意志に激しく心を揺さぶられたんです。女性であれば、誰しもが共感できる部分だと思いますが、こういう生き方をしたいと思っても、世の中を牛耳る男たちに邪魔されることは多々あるもの。それでも、自分の可能性を信じて、自分でも予見できない未来を切り開く姿に強く惹かれました。

――そんな若きフュリオサを何度も窮地に追い込むのが、ディメンタス将軍です。

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クリス・ヘムズワース(以下、クリス):アニヤとの共演は、とても印象に残っている。情熱的だし、何よりも、彼女自身がフュリオサというキャラクターを守るんだという姿勢で、役作りに打ち込む姿が感動的だった。自分も見習わなければと思ったよ。

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――監督・脚本を務めるのは、1979年公開の第1作「マッドマックス」から「マッドマックス 怒りのデス・ロード」まで一貫してメガホンをとっているジョージ・ミラー。シリーズの生みの親であるレジェンド監督と仕事をした感想を教えてください。

アニヤ:細部に至るまで、意識が行き届く監督でした。壮大な規模の作品なので、常に3つの撮影ユニットが同時進行する現場だったんですが、例えば、第2ユニットのスタントシーンが、20テイク撮らなければいけない切羽詰まった状況でも、ヘルメットの位置が少しずれていただけで、最初から撮り直す。それくらい、強いこだわりで1つ1つのシーンを作り上げていた。構成力も含めて、改めてすばらしい才能の持ち主だと実感しました。

クリス:ご存知の通り、ジョージ・ミラー監督が生み出す世界は唯一無二。誰もが驚かずにはいられない、エネルギッシュな空間だ。一方、カメラの裏側では、ミラー監督は、とても献身的で心の優しい存在なんだ。ミラー監督だからこそ、暴力に満ちた“マッド”な世界観であっても成立しているし、機能不全で崩壊したりはしない。他の監督だったら、きっとこうはいかないだろう。

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――「マッドマックス」シリーズは、オーストラリアが生んだ神話とも言えますね。オーストラリア出身のクリスさんにとっては、特別な思いがあるのではないでしょうか?

クリス:もしも、若い頃の自分に会えたら「おめでとう、よくやったな!」って言ってあげたいよ。実は、僕の父親は、第1作に登場したオートバイ軍団のスタントマンと知り合いなんだ。だから、自然とノスタルジックな気持ちが湧き上がるし、おっしゃる通り、「マッドマックス」はオーストラリアの映画史においてアイコニックな存在だから、いまこのタイミングで、自分が出演できるなんて、とても興奮しているよ。

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――見どころが満載の本作。特に「撮影に78日間を要した15分のアクション・シークエンス」には圧倒されました! フュリオサの活躍から、目が離せませんでした。

アニヤ:まさに「我がフュリオサの真価が解き放たれる」という象徴的なシーンだと思います。故郷である緑の土地から連れ去られた彼女が、どんなサバイバル能力を身に着け、わずかな資源を最大限に活用しながら、決してミスの許されない環境を生き抜いたのか。その過酷な蓄積が、一気にリリースされるんです。

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――具体的にどんな苦労がありましたか?

アニヤ:あのシーンは、私が現地入りする3週間前から、すでに撮影が始まっていて、現場には約200人のスタントが参加していました。私自身は、車体の裏にへばりついて、その後、ようやく車体の上に乗ってアクションをするといった感じで、時系列に沿って撮影することができたので、その点ではラッキーで演じやすかったです。苦労したのは、車体の裏にへばりつきながら、狭い空間で、重たい頭を何とか上げなければいけないことでしたね。

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――個性豊かなビークルが登場するのも、「マッドマックス」ならではの魅力ですね。

アニヤ:前作にも登場したウォータンクは、シリーズを象徴する乗り物ですし、「これを私が運転するのか」というウキウキ感もありました。逆に、バイクはサスペンションの関係でシートが高くて、足がつかなかったので、大変でした。「ハーレーなら良かったのに」と思いながら乗っていました。

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――ディメンタス将軍が乗るのは、まるで「ベン・ハー」に登場する馬車の馬の部分を、バイクに変えたようなビークルでしたね。

クリス:ディメンタス将軍は、史実に残る偉人たちの武勇伝を参考にしながら、カリスマを演じるために“自己プロデュース”をしているんだと思うんだ。マントを羽織る姿なんて、まさにそうなんじゃないかな。きっと、あのビークルに関しては、ローマ帝国時代の武装にインスパイアされたんだと思う。実用的ではないけれど(笑)、あれがクールだと自負しているんだ。

マッドマックス フュリオサ」は5月31日より全国ロードショー。

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