「マッドマックス フュリオサ」にカンヌが熱狂! ジョージ・ミラー監督はシリーズ続行に意欲
2024年5月17日 12:30
![レッドカーペットに豪華キャスト&監督が集結!](https://eiga.k-img.com/images/buzz/110185/babefe5335916b33/640.jpg?1715912678)
(c)Kazuko Wakayama
カンヌ国際映画祭の開催2日目、今回の目玉作品のひとつである「マッドマックス フュリオサ」がアウト・オブ・コンペティションで披露され、約7分に及ぶ熱狂的なスタンディング・オベーションで幕を閉じた。フュリオサ役のアニャ・テイラー=ジョイ、今回の悪役であるディメンタス役のクリス・ヘムズワース、フュリオサと想いを交わし合う警護隊長ジャック役のトム・バークらはそれぞれ感無量の様子で、ジョージ・ミラー監督と熱い抱擁を交わした。さらにオーストラリアの同胞、バズ・ラーマン監督もかけつけ、ミラー監督を讃える姿も見られた。
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本作同様カンヌで披露された前作、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(2015)から9年を経た新作は、時間的に前作の前に位置する作品であり、フュリオサ(前作ではシャーリーズ・セロン)がどこから来たのか、彼女を彼女たらしめたものは何かを描いている。
逃亡がメインのアクション・ロードムービーであった前作に比べ今回は、破壊的なバイオレンスはそのままながら、故郷を思うフュリオサのノスタルジー、絶望、怒り、儚い希望が描かれ、感情面で一層エモーショナルなものに仕上がっている。
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プレミア上映の翌日に行われた記者会見も満員御礼となり、前日の興奮を引きずるような熱い雰囲気に満ちた。ミラー監督はこのたぐいまれなサーガの歴史を振り返り、「長年人気を保てた理由は、自分ではわからない。寓話的な要素が受けたのかもしれない。一作目はフランスでは車輪のついた西部劇と言われ、日本ではマッドマックスが侍に見立てられた。映画はつねに時代とともに変化するものだ。一作目は伝統的なフィルムの時代で、その後デジタルの時代となり、とくに技術面で進歩した。このシリーズも、たとえば前作から9年経ったいまでは、さらにカメラや技術が進歩し、フュリオサの道具も洗練されたものになっている。作っていて興奮しっぱなしだったよ」と振り返った。
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俳優陣は、カンヌ・プレミアの経験について、「観客と一緒に観るのは本当に素晴らしい体験だった。わたしたちはカメラの後ろのトリックを知りすぎているけれど、映画のペースや、サウンドデザインや、すべての要素が素晴らしいと思えた。誇りに思えた」(テイラー=ジョイ)、「自分にとっては初めてのカンヌ体験。オーストラリア人としてマッドマックス・シリーズは特別な思いがあり、ここに連れてきてくれてありがとうとジョージに言いたい」(クリス・ヘムズワース)、「昨夜の上映は本当に素晴らしかった。映画を観ていて震えた。電気がびりびり走ったよ」(トム・バーク)と口々に感想を語った。
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本作でパワフルなアクションもこなしたテイラー=ジョイは、「アクション・シーンもすべてキャラクターの延長にある。彼らが何を望んでいるのか、何によって動かされるのか。そういう面がストーリ―に深みを与えると思う。でも現場では、決してこのアクションを自分で演じなければいけないといったプレッシャーはなかった。スタント・チームが本当に素晴らしい仕事をしてくれたから。本作は知的で哲学的なロックンロール・オペラよ」と表現。またジャックとの関係について、「ジョージと話し合ったのは、この世界には多くの異なる愛し方があるということ。もちろんロマンティックな瞬間もある。ふたりは言葉ではないコミュニケーションを取り合い、フィジカルではなく、心で通じ合うものがある」と解説した。
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一方、ヘムズワースは「ダースベイダーのような悪役」の役作りについて尋ねられ、「いい表現だね(笑)。このキャラクターの興味深い点は複雑さがあること。ジョージとも話をして、雄々しい一方で、その人間性や脆い面も表現するようにした。彼は過去にとても辛い経験をして、生き残るためにこのような人間になった。その暴力性を弁護はできないけれど、内面を理解するのは大事だった」と明かした。
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最後にミラー監督は本シリーズについて、「自分にとって大事なことは2つあり、1つは決して同じことを繰り返さないこと、2つ目はつねに好奇心を持ってストーリーを語る最良の方法を見つけること。それが原動力だ。こんなに長くシリーズが続くなんて思ってもいなかったけれど、毎回異なる趣向でこのサーガを特別なものにしたいと思っている。まだ語りたいことはあるよ」と、シリーズを続ける意向であることを明らかにした。
本作は日本で5月31日に公開を迎える。(佐藤久理子)