“団地と移民“テーマの「少年・イン・ザ・フッド」SITEによる、「バティモン5」応援イラスト披露 「レ・ミゼラブル」再上映も決定
2024年5月10日 17:00
フランスの気鋭監督ラジ・リが、“排除”と“怒り”の衝突を描いた「バティモン5 望まれざる者」に寄せ、人気漫画「少年・イン・ザ・フッド」(「週刊SPA!」で連載中)を手がけ、“ヒップホップ何でも屋”として知られるSITE氏の応援イラストとコメントがお披露目された。あわせて、第72回カンヌ国際映画祭の審査員賞を受賞したラジ・リ監督の前作「レ・ミゼラブル」が、5月17日から東京・新宿武蔵野館で、1週間限定で再上映されることも決定した。
舞台は、パリ郊外(=バンリュー)に存在する、都市再開発を目前に控えた居住棟エリアの一画、通称「バティモン5」。そこでは、再開発のために、老朽化が進んだ団地の取り壊し計画が進行している。前任者の急逝で臨時市長となったピエール(アレクシス・マネンティ)は、自身の信念の下、バティモン5の復興と治安改善のための政策の強行を決意する。しかし、その横暴なやり方に住民たちは猛反発。やがて、移民たちに寄り添い、ケアスタッフとして長年働いていたアビー(アンタ・ディアウ)たちを中心とした住民側と、市長を中心とした行政側が、ある事件をきっかけについに衝突し、激しい抗争へと発展していく。
応援イラストを描いたSITE氏は、1990年代と現在、ふたつの時代を行き交うストーリーとカルチャーをベースに、本作同様、“団地と移民“という社会問題を重要なテーマとして掲げる「少年・イン・ザ・フッド」を連載中。イラストには、強引な手段で、バティモン5エリアの一掃を推し進めようとする市長ピエール、政府権力の暴走に対する住民たちの“怒り”の先頭に立つことを決心したアビー、移民と政府の間を狡猾に立ち回る副市長ロジェ(スティーブ・ティアンチュー)の姿が、バティモン5の外観とともに描かれている。ストリートアートの象徴であるグラフィティ風ロゴが中央に配置され、主権を取り戻そうとするアビーたちの心とカルチャーを感じさせるデザインだ。
SITE氏は、「厳しい生活の中で目をそらしたくてもあらゆる政治的なイシューから逃れられない移民の主人公たちと、その生活を無慈悲に踏みつける行政と愚かな権力者。日本でも良く見る排除と断絶の悪循環の中で、自らがバンリュー出身の移民二世で当事者であるラジ・リ監督が主人公の目に希望の炎を灯した意味を考えてる」と、コメントを寄せている。
そして、期間限定再上映が決定した「レ・ミゼラブル」(特別料金1600円)は、ラジ・リ監督が生まれ育ったパリ郊外の犯罪多発地区モンフェルメイユを舞台に、そのエリアを取り締まる犯罪防止班(BAC)と少年たちの対立を描いた物語。なお、本上映では、5月24日から公開される「バティモン5 望まれざるもの」の全国共通特別鑑賞券を劇場窓口で提示すると、鑑賞料金が200円引きになる。花の都パリが抱え続ける社会問題を描いた2作品を、あわせて体感できる貴重な機会となりそうだ。
なお、本上映に際し、ラジ・リ監督からの喜びのコメント動画がお披露目。あわせて公開された本編映像では、市長ピエールと副市長ロジェの会話が切り取られている。ある事件をきっかけに、バティモン5の住民を強制的に退去させようとするピエールと、自身の微妙な立場を踏まえ、「俺は住人たちと親しい。追い出せば恨まれる」と反対するロジェ。「これは千載一遇のチャンスです。やっと退去させられる」と、何が何でも進めようとするピエールの狡猾な姿が確認できる。
「バティモン5 望まれざる者」は、5月24日に東京の新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開。「レ・ミゼラブル」は、5月17日~23日に新宿武蔵野館にて、期間限定で上映される。
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