【ネタバレ解説】「SHOGUN 将軍」真田広之のこだわりに圧倒される10の裏話 なぜ本作が描く日本は“本物”なのか?
2024年4月19日 15:00
現在、ディズニープラスで配信されているハリウッド制作の戦国スペクタクル「SHOGUN 将軍」。映画顔負けのスケール感と映像美、国籍・世代を超えた豪華スター共演、先の読めない陰謀渦巻くスリリングな展開と、見どころ満載のドラマシリーズだが、特に注目を浴びているのが、作中のリアリティ溢れる日本の描写だ。
これまで数々の海外作品で、日本が描かれてきたが、日本人が納得のできる作品は果たしていくつあっただろうか? そのひとつの答えとして、日本の心、美、歴史の奥深さを描いた「SHOGUN 将軍」誕生の裏に隠された10のエピソードを通して、なぜ本作が描く日本は“本物”なのか解説する。
1980年にアメリカで実写ドラマ化され、驚異的な視聴率を記録したジェイムズ・クラベルのベストセラー小説「SHOGUN」を、新たに映像化。関ケ原の戦い前夜の日本を舞台に、徳川家康や石田三成ら歴史上の人物にインスパイアされた、天下獲りに向けた陰謀と策略の“謀り事”を壮大なスケールで紡ぎ出す。
米映画批評サイト「Rotten Tomatoes」のレビュー評価で、配信開始直後までは批評家スコア100%を記録し、その後も高い水準をキープした。初回2話が、ディズニープラス(北米ではHulu)で配信されると、全世界で900万回再生を記録。初回の再生回数としては、ディズニー・ゼネラル・エンタテインメントの脚本シリーズのなかで、歴代No.1となるなど、国内外で旋風を巻き起こしている。
「SHOGUN 将軍」の立役者といえば、主人公である戦国最強の武将・吉井虎永を演じ、プロデューサーを兼任する真田広之にほかならない。「ラスト サムライ」(2003)で、世界に真のサムライ像を見せ、数々のハリウッド超大作の主要キャストを務めてきた真田が本作では、日本の美、文化、映画づくりの精神をハリウッドのプロジェクトに注入した。
そんな真田の思いに共鳴したのは、長年にわたって日本映画界を支え続けてきた職人たち。各所から時代劇経験豊富なスタッフが集結した。脚本の執筆、衣裳デザイン、美術の構想の段階から徹底した時代考証が行われ、実際の撮影でも動きのひとつひとつ、セリフの一言一句まで妥協を許さないこだわりが貫かれた。
本作の配信を前に、映画.comの取材に応じた真田は、ハリウッド作品における日本描写の違和感について、「悔しさ、それにもどかしさも感じていました」と明かし、「そんな経験がバネになって、『間違いを払拭したい』『いずれは正したい』という思いが、今回は自分のエネルギー源となり、全てを注ぎ込むことができたと自負しています」と強い自信を示す。常に未来を、映画界の“あるべき姿”を見据えて行動するその姿は、劇中の虎永と重なるものがある。
撮影が行われたのは、カナダ・バンクーバー。いまも豊かな自然をたたえるこの地こそが、戦国時代の日本の原風景をとらえるのに最適な場所だった。セットは2カ所の広大な屋外バックロット(オープンセット)、山間部の遠隔地(オープンセット)、ふたつの巨大なスタジオ施設に分散された。スタジオ内に建設されたのは、大阪城の内部、庭園、カトリック宣教師の拠点、エラスムス号の一部など。ブルーバックを背景にCGを活用する撮影も多く行われた。「結局、最初の2エピソードのために、撮影日数が80~100日くらいの大規模な長編映画に匹敵する分量のセットを建設した」と、プロダクションデザイナーのヘレン・ジャービスは振り返る。
また当時は、部屋のなかの照明は最小限だった。撮影する側としては、照明を足したいところだが、ジャービスは時代に忠実であることにこだわった。障子を開け、外から自然光を入れ、必要な明るさに調整した。部屋のなかから見える庭園や景観は、本作の重要な特徴のひとつとして、美術デザインの多くに織り込まれている。
舞台となる戦国時代は、まだ写真が存在しておらず、絵画、美術品、骨董品などを頼りに、城、部屋、村、庭園などのデザインに関して、研究を重ねる必要があった。ありふれた要素でさえ、忠実性のために特別な仕様が求められた。
例えば、屋根瓦に関しては、特徴のある側面や、当時使われていたと思われる粘土の色合いを再現するためには、「真空成形や型は使えない」と、デザインチームは判断。3カ月かけて制作した屋根瓦を別のチームが、5種類の塗料に浸す作業を繰り返し、リアルな色合いに近づけた。複製された瓦の枚数は、1万枚を超えた。
瓦の素材となった発泡体は環境に配慮した素材から作られ、鳥が好きなコーンスターチを含んでいた。美術スタッフは、丹念なディテールを鳥につつかれてしまうたびに、修理しなければならなかった。
戦国時代は変革期にあり、比較的自由な表現が許された時期。コスチュームデザイナーのカルロス・ロザリオにとって、それは前後の時代では不可能だったかもしれない、よりクリエイティブな要素をデザインに取り込むチャンスとなった。「作品のなかの全ての衣装は手作りだ。最初から、全てを自分たちの手で作ることにこだわった」と、ロザリオは振り返る。
もちろん、和服の構造を正しく理解し、日本から多くの衣装を借りて研究を重ねたのは言うまでもない。また、日本の衣装チームがロザリオに、貴重な生地をたくさん送り届けてくれたという。「真田広之さんと初めて会った時に、『カルロス、正しい生地を使ってくれ。日本の生地でなければならない』と言われた」(ロザリオ)。
また、真田演じる虎永の鎧は、史実に忠実であると同時に、快適であるように工夫され、映画でよく見られる全金属ではなく、革を基本ベースにデザインされた。ロザリオは「ヒロ(真田)がいままで纏った鎧のなかで、最も軽い鎧だったと言ってくれた。そのおかげでアクションシーンも思う存分実現できたようで、すばらしい賛辞だと思った」と、誇らしげだ。また、虎永のために陣羽織数枚を制作。最も手の込んだ陣羽織は、100枚以上の孔雀の羽根を、手作業で1枚ずつ生地に貼り付けて制作されたという。
1600年代の日本社会において、髪型は地位や階層を示す重要な役割を果たした。登場人物のヘアスタイルを決めるために、ヘアデザイナーのサナ・セッパネンは歴史的絵画を研究し、歴史の専門家と相談しながら、日本の時代劇や和鬘(かつら)のプロフェッショナルたちと密接に協力した。
和鬘は、俳優の頭の形に合わせた金属製の型に、手で髪を結びつけて制作される。伝統的な技法によるすばらしい芸術作品だが、1度スタイルを決めると変更が難しい。本作の登場人物たちは、アクションシーンをこなし、悪天候や水難に遭遇することもあり、場面によっては適度に髪が乱れて見えなければならなかった。
そこでセッパネンは、著名なハリウッドとブロードウェイの鬘アーティストであるロバート・ピケンスの協力を得て、軽量プラスティックを使った新しい鬘をデザイン。基盤となるレースに髪が手で結びつけられ、 プラスチックの型に巻かれた。これにより、男性の髷を解いたり、女性の髪型や髪飾りを自由に変えたりできるようになった。伝統的な技法を尊重しながらも、より快適な着用を実現した経緯は、本作にふさわしいエピソードだと言える。
また日本から、高崎光代をはじめとする時代劇のベテラン勢が撮影に参加。カナダのヘアアーティストたちに、日本の伝統的スタイリング技術や、日本から持ち込まれた700個もの鬘の管理方法を指導した。
本作に登場する数百人の村人、侍、大名、武家の女性、小姓、子どもたちがメイクアップチームの手にかかり、それぞれの役の社会的地位に基づいた外見(ルック)を施され、再現された。当時の日本では、外見で人物の階級を見分けることができたのだ。
太陽など自然要素にさらされた村人や農民には、日焼けや風化した肌色のメイクが施された。一方、城内で暮らす上流階級の人物には、白い肌色、軽いメイクアップ、そして洗練され手入れの行き届いた印象を与えるメイクが施されている。メイクアップデザイナーのレベッカ・リーは、時代に忠実なメイクアップパレットにこだわり、上流階級の登場人物には白、黒、赤の3つの主要な色のみを使用した。白は肌の繊細な磁器のような色合い、黒は目、そして赤は唇に使われた。
この時代に使用された化粧品の原料のほとんどは植物由来であり、赤はベニバナの花弁の抽出物が使われたと推測される。リーは、ベニバナの花弁から実際に得られる特定の色に、完全にマッチするものを見つけることができなかった。そこで、作品にふさわしい独自の赤色を開発し、城内の女性のメイクに使用している。
スタントコーディネーターを務めたのは、真田が出演した「ラスト サムライ」にも携わったラウロ・チャートランド。「真田さんは、アクションシーンの撮影においても、不可欠な存在だった。オフの日もリハーサルに出席し、撮影を終えた後もセットに残り、小さい動きの微調整まで丁寧にアドバイスをしてくれた。彼は威圧的ではなく、押しつけることもなく、ただ非常に知識が豊富だ」と振り返る。
そんなチャートランドにとって、スタントと振り付けの最も重要なルールは、「アクションが単なるアクションであってはならず、物語に適合しなければならない」ということ。殺陣はもちろん、燃える弓矢、大規模な合戦、荒れ狂う海の嵐や自然災害に至るまで、本作におけるアクションは多岐に渡る。
「私は空手、武術、剣術をはじめ、日本武道に25年間の経験があるが、先生にはまだまだ追いつけていない」とチャートランド。その“先生”とは、世界的に有名な日本の武道家・出村文男氏だ。「先生に、本作の撮影開始前に、ロサンゼルスからバンクーバーに来てもらって、俳優とエキストラのために開催したトレーニングを監修してもらった」という。残念ながら、出村氏は23年4月、84歳でこの世を去った。
登場人物の所作もまた、“本物”にこだわる上では避けては通れない重要な要素だ。撮影現場では、日本の専門家が、主要キャストはもちろん、村人、侍、侍女、遊女、小姓などを演じる数百人のエキストラに、1600年の日本にふさわしい歩き方、座り方、立ち方、周りの人間との接し方などの所作指導を行なった。単純な動作でさえも、身分によって異なる意味を持つからだ。
「ちょっとした綻びから、登場人物なり、時代設定なりが嘘に見えてしまう。だからできるだけ、ディテールにこだわって作らないと、視聴者はその世界にタイムトラベルできない」と語るのは、テクニカルスーパーバイザーの原田徹だ。
侍の所作には、刀の抜き方、持ち方、構え方なども含まれる。小姓や侍女には、襖の開閉や給仕や適切なお辞儀。上流階級の女性には、打掛の捌き方や滑るような歩き方、角の曲がり方。村人には、時代に適した道具の使い方、魚網の結び方、大名や領主が側にいる時の反応、立ち位置の取り方などが、細かく指導された。
全10話で構成された本作は、クリストファー・ロス、サム・マッカーディ、マーク・ラリベルテ、アリル・レットブラッドの4人によって撮影された。
第1話・第2話の撮影監督を務めたロスは、イギリス人航海士のジョン・ブラックソーン(後の按針/コズモ・ジャービス)が乗り込んでいた南蛮船・エラスムス号が、虎永の領地である網代の漁村に漂着するシーンをこう振り返る。
「セットは船の一部を約20度傾けることができる、ギンバルという装置の上に建設されていた。船は左右に激しく揺れ、俳優たちは2ページにわたる長いシーンを演じ、スタントチームはワイヤーを使ってスタントパフォーマーを甲板上で引っ張り、特殊効果チームはチップタンクから我々に向かって何百ガロンもの水を注ぎ、特機チームは太陽を遮る巨大な装置を動かし、ジョナサン・バン・タレケン監督と私は一連の長回しカットをデザインして撮った。大変だったが、間違いなくシネマティックだった」
なぜ「SHOGUN 将軍」が描く日本は“本物”なのか? その舞台裏をさまざまな角度から紹介してきたが、最後はやはり、主演・プロデューサーを務めた真田の功績に改めて触れなければいけないだろう。
過去にもハリウッド作品に出演した際には、製作サイドから求められ、日本の描写についてアドバイスを行っていた真田。しかし、「俳優としての限界を常に感じていた」と述懐しており、今回初めてプロデューサーという肩書きを正式に背負ったことで、制約を取っ払い、全シーンを隅々まで監修した。日本と世界から集まった経験豊富なスタッフたち、実力派キャスト陣に直接指示を出し、セリフや所作などの演技指導に加え、小道具、衣装、背景に至るまで、入念なチェックを自ら行った。
その活躍ぶりに、関係者は「カメラの前にいないときはカメラの後ろにいる」「いつ寝ていたのか分からない」と感嘆の声。世界配信を前に日本で開催されたジャパンプレミアでは、虎永の宿敵・石堂和成役を務めた平岳大が「僕に対しての監督からのダメ出しを、真田さんが監督と僕の間を行き来して伝えてくれた」と振り返り、真田がいちスタッフとしても奔走していたと振り返っていた。
また、落葉の方役を務める二階堂ふみは、初のハリウッド作品出演となった「SHOGUN 将軍」の撮影中に、悩んでいた自分に対し、真田がかけた言葉が強く印象に残っていると明かす。「細部までちゃんとこだわって、真田さんが真ん中に立っていらっしゃるから、この作品は成立しているんだなっていうのをすごく感じました」(二階堂)。
真田本人も「この20年間の集大成。自分にとって非常に大きな第一歩ですね」と強い思いを馳せている。本作では、真田がこれまでの経験全てを注ぎ込み綿密に作り上げられた、かつてないほどのスケールで描かれた全く新しい戦国ドラマが堪能できるはずだ。
「SHOGUN 将軍」は、ディズニープラスの「スター」で独占配信中。以降毎週火曜に1話ずつ配信される(最終話は4月23日配信予定)。
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