「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」は、シリーズ歴代ランキング1位になれるか!? またシリーズ初の「年間興行収入ランキング1位」は?【コラム/細野真宏の試写室日記】
2024年4月18日 06:00

®映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)
2024年4月12日(金)から公開となった劇場版「名探偵コナン」シリーズの27作目「名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」。
この作品では、シリーズ上の大きなネタバレが含まれているため、一般試写だけでなく、マスコミ試写もありませんでした。
通常のマスコミ試写では、事前にネタバレ防止したいものについては、その趣旨が書かれたリリースを受け取り問題を防いでいます。
ただ、今回のネタバレについては、サブタイトルで「ついに明かされる、“キッドの真実”──」というようになっています。
ある意味で単純なものなので、漏れやすい面があるのも事実なのかもしれません。
このネタバレについてですが、私は映画しか見ていないため「そういう設定なんだろうな」と思っていましたが、これを公式的に描くことが重要で、ファンにとっては大きな意味を持つ要素になっています。


さて、劇場版「名探偵コナン」シリーズですが、ここに来て経済的に興味深い状況が生まれているように感じます。
正直なところ劇場版「名探偵コナン」シリーズの試写は、「とりあえず」くらいの位置付けで見ていましたが、興味が一気に出てきたのは2018年になってからでした。

劇場版「名探偵コナン」シリーズの22作目「名探偵コナン ゼロの執行人」に関しては、大人の鑑賞に十分に耐えられ、純粋に「面白い」と感じました。
この試みで劇場版「名探偵コナン」シリーズのファン層は一気に増えるだろうと本コラムで取り上げました。
2018年4月13日(金)から公開され、それまでは最高でも興行収入60億円台でしたが、「ゼロの執行人」の興行収入は91.8億円と一気に「興行収入100億円」という大台が射程圏内に入ったのです。
ただ、ここからしばらく「安定期」に入ります。
これには、「脚本家」と「新型コロナウイルス」と「内容」という3つのパラメーターが大きく関係していると考えています。
劇場版「名探偵コナン」シリーズは、基本的に毎年作り続ける必要があるので、22作目以降で見ると、櫻井武晴と大倉崇裕の2人が交互に脚本を担当しています。
櫻井武晴が脚本を担当した作品は、シリーズ22作目「名探偵コナン ゼロの執行人」、シリーズ24作目「名探偵コナン 緋色の弾丸」、シリーズ26作目「名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)」。
大倉崇裕が脚本を担当した作品は、シリーズ23作目「名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)」、シリーズ25作目「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」、シリーズ27作目「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」。
大きな特徴としては、22作目「名探偵コナン ゼロの執行人」以降の櫻井武晴が脚本を担当した作品は、「大人向けコナン」というイメージで、論理がしっかりしている面があります。
この「大人向けコナン」という軸は、まだまだ新規のファンを開拓できるポテンシャルを感じます。
一方の、本作も含めた大倉崇裕が脚本を担当した作品は、論理を飛び越えたシーンも見られ、まだ粗削りなイメージです。
この図式で考えると、やはり初速(公開3日間の興行収入)でキレイに期待値が表れています。

唯一の心残りは、シリーズの24作目「名探偵コナン 緋色の弾丸」で、この作品は新型コロナウイルスの影響が直撃しなければ、初速的にも興行収入100億円が達成できていたかもしれない点です。

そして、「大人向けコナン」の回で、内容も本題と言える「黒の組織」であるシリーズ26作目「名探偵コナン 黒鉄の魚影」を試写で見た際には、それまで悲願だった興行収入100億円は「余裕で突破する」と想定できました。
では、本作の興行収入はどうなるのでしょうか?
通常では、作品の出来に興行収入は左右される面があります。
前作の「名探偵コナン 黒鉄の魚影」は、非常にクオリティーが高かったのですが、本作では、脚本の完成度にはやや課題を感じます。そのため、通常の作品の場合は、前作を下回るでしょう。ところが、本作は「増大中のコナン」なので、前作を超えてシリーズNo.1になる可能性があるのです。


まず本作は、強引でも力業で内容を入れ込むことはできているので、細かく考えなければ満足できるのかもしれません。
加えて、本作では、「笑い」に舵を切っていて、「あ、ここは笑えるシーンか」というような演出が多めになされているので、ライトな鑑賞者も引き留めることは可能になっているのかもしれません。
また、劇場版「名探偵コナン」の大きな吸引力になっているのは「推理映画」だけでなく、「ラブコメ映画」の面も忘れてはいけなく、後者に力を入れているため多くの女性ファンの満足度も上げられそうです。
このように考えると、前作の異次元的な興行収入138.80億円の微増というように、一度増えた鑑賞者は減らない可能性が低くないのです。
以上のように、毎年公開の作品であっても、コアな映画ファンも含めて楽しめる回も登場することで、劇場版「名探偵コナン」シリーズのファン層が着実に拡大している点は大いに注目すべきでしょう。


そして、前作では「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」(興行収入140.2億円)に僅差で敗れましたが、ベースが異次元的な140億円クラスまできています。
つまり、これからは劇場版「名探偵コナン」シリーズが何年にもわたって「年間興行収入ランキング1位」を獲得するような状況も起こり得ます。
まさに「日本映画の指標」として注目すべき状況にまで成長しつつあるのです!
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