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【「パスト ライブス 再会」評論】縁が織りなす24年間を描いて、さりげなく、優しく、人生を肯定してくれる映画

2024年4月7日 06:00

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「パスト ライブス 再会」
「パスト ライブス 再会」
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ニューヨーク、グリニッジヴィレッジにあるレストランのバーカウンターで語り合う、アジア系の男女とアメリカ人男性を加えた3人が、そこに至る時間をどう過ごしてきたか。時間を24年前、さらに12年前、そして現在へと動かしながら描くのは、人と人とを結びつける縁(韓国語ではイニョンという)についての考察だ。

24年前、ナヨンは幼馴染みのヘソンをソウルに残して、両親と共にカナダに移住する。12年後、名前をノラに変えたナヨンはヘソンが自分を探していることをSNSで知り、そこから2人のオンラインでのやり取りが始まる。懐かしい、だけでは済まされない、互いの心に恋する気持ちを確認しつつ。だからと言って、2人を隔てる距離は容易に埋められない。ナヨンは今、ニューヨークに移り住んで劇作家になる夢を捨ててないし、ヘソンは兵役を終えて大学に進学し、交換留学生として上海に行く予定なのだ。「ソウルに帰りたい。でも帰れない」と呟くナヨンを受け止める勇気がヘソンにはない。でも、2人はかすかに感じ始めている。イニョンで結ばれた者同士の強くて、切ない運命を。そして、前世からの繋がりを。

それが決定的になるのは、今はアメリカ人の作家、アーサーと結婚し、幸せに暮らしているナヨンのもとに、まだ独身でいるヘソンがはるばるソウルから会いにきた時だ。冒頭のバーカウンターでの3ショットは、それまで以上に縁を感じ合っているナヨンとヘソン、そして、まるで爪弾きにされたようなアーサーの間に流れる気まずい空気を映し取ったものだ。でも、12年前にとあるワークショップで出会い、成り行きでセックスをして、そのまま同棲し、グリーンカード取得目的で結婚したナヨンとアーサーも、同じくイニョンで結ばれた仲とも言える。人生に於いてはロマンチックより成り行きが幸せに結びつくこともある。結ばれないこと、それもまた運命なのだ。

自らの体験を脚本に活かしたという監督のセリーヌ・ソンは、韓国人の移民事情や異性観も描きながら、最後の最後まで、極力エモーションに傾くことを避けている。そして、とても丁寧に人物の心の動きを掬い取っていく。3人を演じる俳優が全員魅力的で(特にヘソン役のユ・テオ)、観客は特定の誰かに思い入れることはない。出会いや恋や結婚にまつわる運命的な物語は掃いて捨てるほどあるけれど、「パスト ライブス 再会」ほど、結果がどうであれ、さりげなく、優しく、僕たちの人生を肯定してくれる映画は少ないと思う。

(清藤秀人)

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