「8人の女たち」から21年ぶりタッグ! イザベル・ユペールが語るフランソワ・オゾン新作「私がやりました」
2023年11月8日 09:00
![落ちぶれた大女優役を演じたユペール](https://eiga.k-img.com/images/buzz/106596/eb40fbb67791714e/640.jpg)
フランスの名匠フランソワ・オゾンの最新作「私がやりました」(公開中)。本国フランスでは過去にオゾンが手掛けた映画「8人の女たち」(02)、「しあわせの雨傘」(10)に次ぐ、動員100万人超えの大ヒットを記録した。本作は、3人の女たちが繰り広げる物語で、「8人の女たち」以来21年ぶりにオゾン監督作品に出演した大女優イザベル・ユペールのインタビューを映画.comが入手した。
ある事件の“犯人の座”を巡って、年齢も性格も異なる女性3人が駆け引きを繰り広げる、ユーモアとブラックジョークに溢れたクライムミステリー。主人公のマドレーヌとポーリーヌ役には、ピュアな魅力が眩しいナディア・テレスキウィッツとレベッカ・マルデール。そして、2人の前に立ちはだかるヴィランのオデットを演じるのがユペールだ。
オデットは、売れなくなったかつての大女優役。裁判で感動的な弁論を披露し一躍スターとなった主人公の若手女優マドレーヌと親友で弁護士のポーリーヌの前に突如現れ、「あの犯罪は私のもの」とマドレーヌたちが手にした名誉を奪おうとする。
フランスでも大ヒットを果たした本作の魅力について「1930年代のパリにタイムスリップしたような気分になれる娯楽性がたっぷり含まれた作品です。衣装も美しいし、美術も凝っている。それに加えてこの映画を見て映画館を出る頃には少し賢くなっている。現代にもマッチする問題を描いていて、それもユーモアを交えて描いているから楽しみながら学べるし、そんなところにオゾンの聡明さが現れている作品」と自信たっぷりに語る。
21年ぶり2度目のタッグとなったオゾン監督とは、前作で一緒に仕事をしたときからその信頼は変わらなかったようで、「今回も魅力的な役をもらえて光栄。『8人の女たち』では堅物の独身中年女性オーギュスティーヌ、『私がやりました』では落ちぶれた元大女優のオデットを演じたけれど、共通するのは意地悪な役だってこと。どちらも自分の感情を誇張して主張するタイプ。コメディの場合、攻撃性のあるキャラクターは面白味があって物語を味わい深くする役割を持っているから、そんな役を与えてもらえてとても嬉しかった」と振り返る。
今回初共演となった若手の2人の女優については、「撮影現場で、いつも彼女たちは2人で一緒にいて本当に仲が良くて可愛かったのよ。それぞれの印象を教えてくれと言われても、いつもくっついて2人セットだったから難しいけれど(笑)、ナディアもレベッカも才能豊かな役者だと思う。彼女たちに混ざって3人でにぎやかに演技するのはとても楽しかった。コメディ作品である本作では演技にリズムが必要で、感情もすごく誇張しないといけないし、繊細に心理的なドラマを表現するというより、音楽を奏でるようにリズムに乗せなければいけない。かなりテクニックのいる演技が求められる作品だったけれど、彼女たちはそれに見事に応えていた」とこれからのフランス映画界を担う女優達の実力を絶賛する。
![画像3](https://eiga.k-img.com/images/buzz/106596/92fbc9bbdc1bc093/640.jpg?1699261449)
シリアスな演技から観客を笑わせるユーモア溢れる役まで難なくこなすユペールにとっても一番集中して取り組まなくてはいけないジャンルはコメディだという。「きっと観客の多くはコメディ映画の撮影現場はみんなで和気あいあいと気楽にやっていると考えていると思うけど、実はコメディって一番集中力が必要なの。技術的な面でいえばドラマ作品を演じるほうがずっと楽だったりする。でも私は演技で難しいと感じたことは無いから、今回も大変なシーンなんてなかったわ!(笑)」と軽快に笑い飛ばしている。
現在公開中の「私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?」では骨太の社会派ドラマに挑んだユペールが、本作ではコメディエンヌとしての才能を余すことなく発揮。「私がやりました」は、ユペールの演技の幅の広さが堪能できる1作だ。
(C)2023 MANDARIN & COMPAGNIE - FOZ - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA - SCOPE PICTURES - PLAYTIME PRODUCTION
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