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世界的ファッションデザイナーの内面とキャリアに肉薄「ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇」監督インタビュー

2023年9月30日 11:00

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ヤン・レノレ監督(右)とゴルチエ
ヤン・レノレ監督(右)とゴルチエ
(C)CANAL+ / CAPA 2018

世界的ファッションデザイナー、ジャンポール・ゴルチエを追ったドキュメンタリー作品「ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇」が劇場公開された。ゴルチエが、自らの半生をもとに企画・脚本・演出を手掛けた「ファッション・フリーク・ショー」は2018年のパリ公演を皮切りに、全世界で35万人を動員した。その熱狂のステージの裏側を2年間に渡って密着し、本作の監督を務めたヤン・レノレのインタビューが公開された。

画像2(C)CANAL+ / CAPA 2018

これまで柔道家のテディ・リネールやフランスのエマニュエル・マクロン大統領などのドキュメンタリーを撮ってきたフランス出身のレノレ監督。「ファッション・フリーク・ショー」の舞台裏を映画にするというアイデアと、ゴルチエとの出会いについてこう振り返る。

「ゴルチエは、私の前作であるマクロン大統領のドキュメンタリーを見て、私に会いたいと言ってくれたのです。会って話をするうちに『ショーを作りたい、そしてショーの裏側を映したドキュメンタリーを作りたい』という考えに至ったようでした。なので実のところ、舞台裏を映画にするというアイデアは、ゴルチエから提案されたものなんです」「ゴルチエは舞台の上で人生を語り、その舞台裏を撮りたいと考えていました。ですが私は、ドキュメンタリー作家としてひとりの人間の“人生”を撮りたいと考えていました。ですから本作は、私とゴルチエのアイデアを合体させて制作することにしました」

監督とゴルチエとの関係は「もちろん有名なデザイナーだとは知っていましたが、親しい間柄ではありませんでした」といい、「ドキュメンタリーを撮る上で、ポートレートを撮る対象のことはニュートラルに見つめるべきだと考えています。そのためにも友人ではないということは私にとって重要でした」とドキュメンタリー作品に対する思いを述べる。

画像3(C)CANAL+ / CAPA 2018

そして、撮影中の苦労について「ゴルチエは一見、華やかに見えますが、実はかなりシャイでカメラを怖がるような人物です。カメラを前にするとみんなが思う〈ゴルチエ像〉を演じ始めてしまうのです。そのため、カメラの前でゴルチエ自身の口から彼の人生を語らせるということが撮影の課題でした」と明かす。そうした課題をどのように打破したかとの問いに「20~30分程度、マイクのみを付けて私とゴルチエふたりだけで会話をする機会を何度か設けたんです。ゴルチエから内面を引き出すためには、私自身も私生活を明かし、内面をシェアする必要がありました。そうやって話しているうちに最後には彼の内側に近づくことができ、お互いに泣いてしまう場面もあったほどです。このような経験は私にとっても初めてでした。そうして信頼関係が出来上がっていったと感じます。またその時に録音した声は映画でも語りとして使用しています」と貴重なエピソードを語ってくれた。

ドキュメンタリー映画「ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇」はヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋、新宿シネマカリテほか全国で公開中。

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