山田裕貴、眞栄田郷敦……“当たり役”を生み出した「東京リベンジャーズ」。「血のハロウィン編 運命」興収の行方は?【コラム/細野真宏の試写室日記】
2023年4月21日 14:00
映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)
今週末4月21日(金)から「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命」が公開されます。
そもそも、映画「東京リベンジャーズ」の製作陣は、原作マンガの「東京卍リベンジャーズ」において最も人気の高い「血のハロウィン編」を製作したいという願望があったのです。
ただ、いくら作りたくても、第1弾の映画の成否に命運がかかっていたわけですが、2021年に公開された「東京リベンジャーズ」は見事に大ヒットを果たし、興行収入45億円を記録しました。
これは、2021年公開作品でハリウッド映画も含め、実写映画の動員ランキング年間1位を記録するくらいの、文字通りの大ヒットなのです!
そこで、公開初日の段階で続編の「GOサイン」が出て、「血のハロウィン編」の製作に着手し始めたのですが、このエピソードが想像以上に深く、「とても1本の映画でまとめ切れない」という課題に直面したのです。
そのため、余すところなく「血のハロウィン編」の魅力を伝えるために「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命」と、6月30日公開の「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦」という“前編、後編”の2部作に。
実際に作品を見てみると、前作の「東京リベンジャーズ」は、割と仕組みや人間模様がシンプルで、あの構成で正解だったと思います。
ただ、今回の「血のハロウィン編」については、前作の仕組みや人間模様をさらに突き詰めて、重要なカギを握る「東京卍會」の結成当初にまで物語を掘り下げていきます。
すると、ミステリー要素が多く出てきて、本作は「タイムループ型アクションエンターテインメント作品」という側面に加えて「ミステリー・サスペンス映画」としての深みが増しているのです!
さて、「東京リベンジャーズ」シリーズを語る上で重要なのは、優れた映画においては「当たり役」が生まれ、役者の将来をも変えてしまうという点です。
これは、第1作目の紹介の時に書きましたが、特に山田裕貴と眞栄田郷敦は、非常に存在感を放っていて、これが「当たり役」というのだと実感しました。
実際にこの作品以降、この2人の活躍は目を見張るようになっています。
このように、「東京リベンジャーズ」シリーズは名作と言えますが、これは原作と監督のセンスの良さが大きく関係しているのです。
本シリーズのメガホンをとったのは英勉監督で、自己最高だった「ヒロイン失格」の興行収入24.3億円を大幅に超えています。
個人的には、英勉監督作品は、映画監督デビュー作の「ハンサム★スーツ」(2008年)からずっと注目し続けているのですが、割と作品の完成度がマチマチな印象なのです。
しかも、作品のクオリティーが高くても興行収入が上手く行かないケースも少なくないなど、実力と結果が結びついていない状況でした。
ただ、本作のように、予算がキチンとある本格的な大作映画を見事に成功させたので、このシリーズを機に、これからの英勉監督作品では完成度と興行収入が連動するようになってほしいと思います。
では、本作の興行収入ですが、前作はゼロの状態からキレイに最後までまとまっていたので、満足度は全般的に高かったと思われます。
ただ、本作は、後編の「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦」へと続く“壮大なイントロ的な作品”なのです。そのため1本で満足できた前作よりはハードルが上がってしまうのかもしれません。
とは言え、もはや人気シリーズと言ってもいい状態。それが大きく、前作から下落しても2割程度の少ない下落に収まると想定されます。
そのため、まず本作は興行収入36億円というのが大きな目標となるでしょう。この数字を、後編に向けてどこまで伸ばせるのか大いに注目です!
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