溝口健二、折り鶴、ポケモン、そしてパンティフェチまで… 日本文化を取り入れたフランスのストップモーションアニメ監督が来日
2022年12月3日 18:30

今年30回目を迎える「フランス映画祭2022 横浜」で12月3日、「フランスのストップモーション・アニメーションの世界」と題した短編アニメーション6作品が上映された。
アルツハイマー病を患う画家を描き、第92回アカデミー賞短編アニメ賞にノミネートされたブリュノ・コレ監督「記憶」をはじめ、様々な映画祭で高く評価されたフランスのストップモーションアニメーション監督7人が来日。それぞれが日本滞在の感想や自作について語り、日本的な要素を取り入れたいくつかの作品についても説明した。

「くすんだ海」のエロイーズ・フェルレ監督は、母親がドラッグ中毒だったという友人の幼少期のエピソードを基に、幼い兄弟とシングルマザーの事故を、布や毛糸などを用い、シビアなテーマとは相反するような温かな質感で表現した。親子の乗る車内に折り鶴を飾った理由を、「この母を悪いと言いたくなかったのです。折り紙は軽いものなので、事故で潰れたり、壊れることはありません。私自身、ヒッチハイクでギリシャまで行ったとき、お礼に折り鶴を渡したことがあり喜んでもらえました。そういう良い思い出と、事故があったからこそ、母が幸せな家族を作る意識を取り戻すというポジティブなイメージで用いました」と説明した。
天災に直面する3人姉妹を描いた「姉妹」のルイーズ・メルカディエ監督は、「作品の人形はフランス中世の彫刻家からインスピレーションを受けました。彼はアジアを旅行していて、大きな影響を受けたということを知りました。ですから、この作品にもアジアの影響が出ていると思います」と紹介し、共同監督のフレデリック・エバンは、小津安二郎監督の作品や撮影方法から学び、今作は溝口健二監督からも影響を受けていると明かした。

サラ・バン=デン=ブーム監督の「レイモンド、もしくは縦への逃避」は、他者との性愛関係を切望しながらも、キリスト教の教えから純潔を守ってきた高齢女性レイモンドが主人公。偽の使用済みパンティを作成し日本向けにネット販売して生計を立てているという設定だ。登場キャラクターは動物を擬人化し、女優のヨランド・モローがレイモンドの声を担当した。
バン=デン=ブーム監督は「この作品は私の4作目です。最初の3回で日本に呼ばれなかったので、そろそろ日本に行きたくて(笑)」と日本に関するエピソードを取り入れたことを明かす。「これが本当の話かはわからないのですが……フランスでは日本にパンティフェチがいると伝わっています。フランスから可愛いカード付きのパンティをフクロウのおばあさんが送っていたら面白いと思ったのです」と独創的なアイディアについて語った。

クロエ・アリエズ監督、ビオレット・デルボワ監督による「崩れる関係」では、ピカチュウと呼ばれる人物が登場する。二人の作品は過去にも日本で上映されており、電気スイッチ擬人化したキャラクターが特徴だ。「自分の周りにあるものに、違う人生を与えたら面白いと思ったのです。次回は日本のコンセントを使いたいと思います」と、制作過程を振り返った。
「フランス映画祭2022 横浜」は12月4日まで、横浜みなとみらい21地区を中心に開催。ゲストによる上映後のQ&Aや、マスタークラスなどのイベントが行われる。詳細は公式HP(www.unifrance.jp/festival/2022)で告知する。
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