「ジョジョ」ファイルーズあいが語る、小野大輔との“親子関係” 無言の頷きに「勇気をもらった」【2022秋アニメインタビュー】
2022年11月12日 09:00
「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」の第13~24話の放送が、10月からスタートしている。2021年4月のアニメ化発表から1年半が経った現在も、主人公・空条徐倫(くうじょう・じょりーん)を演じるファイルーズあいの“ジョジョ愛”は高まるばかりだ。
「ジョジョ」との出合いをきっかけに声優を志したというファイルーズ。“ジョジョ声優”となった時から、彼女のなかの「最高の徐倫を演じなければという強い闘志」は燃え続けている――。第1~12話の思い出、第13~24話序盤の印象深いシーン、そして、徐倫の父・空条承太郎を演じている小野大輔とのエピソードを熱く語ってくれた。(取材・文/編集部)
いちファンだった頃は、漫画を読むのが楽しい、展示会に足を運ぶのが楽しいとか、とにかく楽しい気持ちでいっぱいでした。声優として関わらせていただくようになってからは、楽しい気持ちはさらに増していますが、同時にプレッシャーや責任感も増しています。
「ジョジョ」という作品を、アニメなどさまざまなメディアに展開させていくために、たくさんの人が関わって、尽力してくださっていることを現場で感じています。そういった方々が私を信じて、徐倫役に決めてくださったので「絶対に後悔させないように、最高の徐倫を演じなければ」という強い闘志が芽生えました。
そうですね。いろんな人と話して、人間関係の幅が広がるにつれて、「ジョジョ」に対して「こういう思いの人がいる」「こういう思いの人もいる」と知ることができたので、私のなかの闘志はどんどん膨らんでいます。
やっぱり、親父(承太郎)の「お前のことは……いつだって大切に思っていた」のセリフは泣きましたね。そのセリフを聞いた時にうっすら涙が浮かんできちゃって。漫画で読んでいる時から、鳥肌の立つシーンでした。普段、感情を表に出さない承太郎の本当の気持ちを知った時の、徐倫の気持ちも伝わってきました。お父さんに愛されていないと思っていた自分が、本当はものすごく愛されていたんだと知った時の複雑な気持ち。でも、そこからすぐに気持ちを切り替えて、ジョンガリ・Aの攻撃と追跡をかわし、お父さんを外に連れ出そうとする判断力の速さはすごかった。ああいうところも含めて、徐倫の全部が好きです。
あのシーンはとにかくセリフが長かったです。徐倫の独白のようで、ひとりのセリフがすごく長いうえに、息芝居もあって。力を入れながら演じるセリフでもあるので、間違えてしまったら途中からやり直すのが難しい、リテイクが難しいシーンだったんですね。だから「なんとか噛まないようにしなければ」と、集中力を研ぎ澄ませて挑みました。
私がマイク前に立っている時、ななめ後ろに(承太郎役の)小野大輔さんが立っていました。声は出さず、でも「(セリフを)言えてるよ」みたいな感じで頷いてくれているのが視界の端に見えたので、その姿に勇気をもらってやりきることができました。小野さんは優しくて、本当にお父さんみたいに支えてくださって、先輩としてもお父さんとしても尊敬しています。
そうですね。「ジョジョ」が大好きという大きな共通点もあるので、とても信頼していて、尊敬している先輩です。
小野さんに会うと、ずっと2人で「ジョジョ」オタクの会話ばかりしているので(笑)、実は演技の話はあまりしていません。でも「これがファイちゃんの徐倫なんだね」という風に、私の徐倫を受け入れて、認めて、背中を押してくれます。
やっぱり「やれやれだわ」ですね。もともと個人的に「ジョジョ」の朗読をしていて、そこからお芝居の楽しさに目覚めたのですが、徐倫のセリフは読んでいなかったんです。好きすぎて徐倫はできなくて、徐倫の周りのキャラクターばかり声に出して読んでいました。徐倫役として「やれやれだわ」と言ったのは、オーディションの時がほぼ初めてだったので、「こんな感覚なんだ」とすごく感動しました。
オーディションの時は、台本をものすごく練習しました。徐倫役に選んでいただき、実際に第2話で「やれやれだわ」が言えた時は、やっぱり“スカッとサワヤカ”でした。ちなみに今のはヌケサク(「スターダストクルセイダース」)のセリフです(笑)。本当は「腹の底から『ザマミロ&スカッとサワヤカ』の笑いが出てしょうがねーぜッ!」ですが、私は「ザマミロ」とは思っていないので、「スカッとサワヤカな笑い」だけでお願いします(笑)
実際はオラオラするのに必死で、それどころじゃなかったです。うれしいよりも、「なんとかやらなきゃ」というプレッシャーにどんどん変わっていきました。
アナスイとの掛け合いのシーンは原作でもお気に入りなので、すごく楽しかったです。今後のエピソードのなかだと、ある事情で徐倫が声を出せなくなってしまう。自分の意思をきちんと伝えられなくなってしまうのですが、その状態の徐倫と話している時の、アナスイのトンチンカンなセリフがすごく好きです。
そもそもオーディションでご挨拶に行った時、ブースを開けた瞬間、監督、音響監督、スタッフの皆さん、集英社の方など、「ストーンオーシャン」に携わる方々を前にして鳥肌が立ってしまいました。「この方たちが頑張ってくださるおかげで、『ストーンオーシャン』がアニメになる、徐倫が動くんだ」と思ったら感情があふれ出てしまって。涙をこらえながらご挨拶をして……オーディションの時点から感動で胸がいっぱいでした。
実際にアフレコ始まってからは、細かなディテールへのこだわりがすごかったです。名前のない「女囚A」みたいなキャラクターまで演出にこだわって、ジョジョの世界をとことん突き詰めて、「ジョジョ」という確立されたブランドを守ろうとしていることが伝わってきました。
これは私に対するディレクションではなかったのですが、音響監督の岩浪(美和)さんが、女囚役の方にディレクションしている時、印象に残ったことがありました。その女囚は猫を被っている役なので、かわいらしく、猫なで声でしゃべっていたら「かわいくしてほしいけれど、萌え声にはしてほしくない。『ジョジョ』に萌えはいらない」とおっしゃって。「ジョジョに萌えはいらない、すごい名言だ!」と思いました。
ですよね(笑)。だからこそ私も、かわいい部分を捨てて「喉が焼けても構わない」というぐらい叫びまくりました。
第1話~第12話は徐倫にフォーカスしたお話が多かったですが、第13話~第24話では、他のキャラクターの「なぜこの刑務所に居るのか」「何を考えて行動しているのか」などバックボーンがわかるエピソードがたくさんあります。第13~24話を通して、より一層、キャラクターたちのことを好きになる、理解できるようになると思います。
個人的に好きなのは、徐倫が厳正懲罰隔離房に送り込まれて、そこから自分を奮い立たせて戦うシーン。PVにも収録されている「あたしは星を見るわ」といういうセリフは、自分がネガティブになった時にいつも勇気をくれるセリフなので、苦境に立たされて悩んでいる子は見てほしい。徐倫から勇気をもらってほしいなと思います。
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