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ある嘱託殺人未遂事件をモチーフに、死にたい男の彷徨の旅を描く 「TOCKA」2月18日公開

2022年10月20日 08:00

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北海道が舞台の骨太な人間ドラマ
北海道が舞台の骨太な人間ドラマ
(C)2022 KAMADA FILM

実際に起きたある嘱託殺人未遂事件をモチーフに企画制作された「TOCKA タスカー」が、11月18日より札幌市内のサツゲキで先行公開、2023年2月18日よりユーロスペースほかで全国順次公開される。ポスタービジュアルと場面写真が披露された。

本作は、死を決意した男が、自分を殺してくれる人を探す彷徨の旅を追った人間ドラマ。日常と非日常の間で翻弄される人間の運命の残酷さ、滑稽さ、切なさ、そして生のためのささやかな希望を描く。タイトルに使われた「TOCKA(タスカー)」 は、ロシア語で憂鬱、郷愁、憂愁、絶望を意味するほか、憧れや未だ見ぬものへの魂の探求などの解釈もある。

画像2(C)2022 KAMADA FILM
画像3(C)2022 KAMADA FILM

北海道オホーツク海沿岸の国境の町・根室でロシア人相手の中古電器店を営む章二には、「死にたい」理由があった。自死ではなく「殺されたい」と願う章二は、シンガーの夢を諦め、生きる意味を失った早紀と、先の見えない生活に疲れていた廃品回収業の青年・幸人と出会う。章二の事情を知った2人は、希望を叶えようとある計画を立てる。

鎌田義孝監督
鎌田義孝監督
(C)2022 KAMADA FILM

メガホンをとったのは、北海道名寄市出身で、「YUMENO ユメノ」以来17年ぶりに長編映画に挑んだ鎌田義孝監督。撮影監督は西村博光が務めた。21年10月下旬から11月上旬に、根室、釧路、室蘭で16ミリフィルムカメラ(ARRIFLEX SR3)を使って撮影を敢行。音声はあえてモノラルで仕上げた。メインキャストは金子清文菜葉菜佐野弘樹が務め、松浦祐也川瀬陽太足立正生らが共演。音楽はバイオリニストの斎藤ネコが担当した。

鎌田監督は、2つの事件をきっかけに企画を考え始めたと明かす。1つは、東京都中央区の中古電気販売の社長が、ネットで出会った少年に自らの殺害を託すが未遂に終わった嘱託殺人事件。もう一つは、同時期に韓国で起きた同様の事件で、依頼したサラリーマンは青年に殺害された。

鎌田監督は、「この紙一重の差は何なのか? “本人の意志を受けて、他者がその人を殺すこと”=“人間の命を最後に自由にすること”。その是非に自分は答えを出せなかった。だから撮りたかった」と話す。そして「今、世界が長寿社会へ進む中、血縁の無い者同志が、命の終わり方を考えることは非常に重要なことだと思う」とコメントを寄せた。鎌田監督のコメント全文は以下の通り。


鎌田義孝監督】

企画を考え始めたのは2006年頃。きっかけは二つの事件でした。

一つは東京都中央区の中古電気販売の社長が、ネットで出会った少年に自らの殺害を託すが、未遂に終わった嘱託殺人事件。

もう一つ、同じ頃、韓国で起きた同様の事件。依頼したサラリーマンは、青年に殺害され目的を果たした―。

この紙一重の差は何なのか? “本人の意志を受けて、他者がその人を殺すこと”=“人間の命を最後に自由にすること”。その是非に自分は答えを出せなかった。だから撮りたかった。

今、世界が長寿社会へ進む中、血縁の無い者同志が、命の終わり方を考えることは非常に重要なことだと思う。

俺もおっさんだ。友も親父も死んだ。そして2022年、ゴダールが“自殺幇助で死んだ”という事実が、突き刺さる。

私が生まれ育った北海道はアジアの辺境地。ロシア、中国、アメリカ、日本に翻弄され続けている特殊なエリアだ。ここから世界に発信したい。

映画「TOCKA(タスカー)」が、一人でも多くの人の心に届きますよう願っています。

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