「TANG タング」原作者、二宮和也を絶賛「まさに想像通り」 三木孝浩監督との特別インタビュー

2022年8月16日 10:00


(左から)三木孝浩監督、タング、デボラ・インストール氏
(左から)三木孝浩監督、タング、デボラ・インストール氏

二宮和也が主演を務める「TANG タング」(公開中)の原作者であるイギリスの作家デボラ・インストール氏がこのほど来日し、メガホンをとった三木孝浩監督との特別対談インタビューが行われた。

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ゲーム三昧で妻に捨てられたダメ男・健(二宮)と記憶をなくしたロボット・タングの冒険を描く。インストール氏は原作小説「ロボット・イン・ザ・ガーデン」を2015年に発表。ベルリン国際映画祭で「映画化したい一冊」に選ばれ、日本国内でもシリーズ累計発行部数38万部を超え、根強い人気を誇っている。

――作品をご覧になった感想はいかがですか。

インストール氏:マスクを交換するほど号泣してしまいました。予告映像は見ていましたが、そこからあまり自分の想像や期待を勝手に膨らませないようにしていました。今日映画を観て、私の想像していたものよりもとても良かったです。本当に圧倒されました。

――一番感動したシーンはどこでしたか?

インストール氏:たくさんありました(笑)。最初はコーヒーのシーンですね。事前に台本を読んだ時にそのシーンを覚えていたので、観たらきっと泣くだろうなと思っていましたが、やっぱり泣いてしまいました。映画の中で健が成長していく姿を見て、原作者としても嬉しかったです。

――原作者のデボラさんのこの言葉を聞いて、三木監督はいかがですか?

三木監督:本当に嬉しいですね。海外の小説を日本で映画化して、原作者の方に楽しんで貰えるのか?といういつもとは違う緊張感がありました。

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――今回は日本で映画化ということで主人公・健を演じた二宮和也さんをはじめ、皆さんの演技はいかがでしたか?

インストール氏:二宮さんと満島(ひかり)さんの2人の演技はパーフェクトで本当に素晴らしかったです。二宮さんと満島さんの映画を事前に見せて頂いていて、このお2人だったら絶対にいいものになると思っていました。二宮さんの演じる健は、想像していた通りでした。最初はそのポンコツっぷりに本当にもうっ!しっかりしてよ!とイラっとするんですが、徐々に映画が進んでいく中で健がタングの事を大好きになっていくように、私たち観客も健というキャラクターを好きになっていくんです。健とタングと観客の心の動きが重なっていくのを実感しました。

――満島ひかりさん演じる健の妻・絵美はいかがでしたか?

インストール氏:満島さんが出演されていた「デスノート」を見させていただいた際に、絶対彼女が良いだろうと自信を深める事が出来ました。実際に映画を拝見して私が想像した以上に満島さんは良かったです。満島さんが健というキャラクターに対して抱いているイライラの表現は特に素晴らしかったです。

――お2人以外で特に気に入ったキャラクターや、印象に残ったシーンはありましたか?

インストール氏:ロボット歴史学者の大槻凛(奈緒)は素晴らしかったと思います。私の小説の中ではリジーだと思うんですが、今日彼女を見て、「そう!私が書きたかった人はこういう人なのよ!」と思ったほど、ぴったりで理想的でした。

三木監督:本当は小説版だとちょっとロマンスがあるのを、映画にする時に泣く泣く切ったんですよね…(笑)。

インストール氏:そうするともっと長くなっちゃいますもんね(笑)。

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――三木監督が今回映画化をする際、一番気を付けたことや意識したことはどの部分ですか?

三木監督:タングがかわいくないと絶対ダメだよな、と思いましたね。デボラさんの小説を読んだファンの皆さんには、それぞれにかわいい想像上のタングがいる訳じゃないですか。それと全然違うと言われたら嫌だなと思っていました。このタングもかわいいって思って貰えるように、デザインとか声とかキャラクターを作るのが一番大変でした。

インストール氏:そういった意味では小説の方が楽かなって思います。そこの部分は読者にお任せ出来るので、私も小説の中で色んなキャラクターを描く時はあんまり描き込み過ぎないようにしているんです。どちらかというと人を細かく描くというよりかは、人と人との関係性とか心の動き、やり取りを描くようにして、後は読者にお任せという感じにしています。

――とは言っても、書いている時はデボラさんの頭の中にもタングのイメージがあったかと思いますが、日本のタングはいかがでしたか?

インストール氏:日本で描かれているタングが一番イメージに近いと思います。まずは本の表紙なんですけれども、日本で描かれたタングは私のイメージしたものに最も近いと言っていいと思います。それから今目の前に撮影で使われたタングがいますが、自分の頭の中で思い描いていたものが実体として目の前にいることが、本当に不思議な気持ちです。溶接を急いでやったのかなと思うようなデザインや、ボディの中の精密さに感動しました。

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――映画のファンや、これから見るのを楽しみにしている人に向けて、一言お願いします。

三木監督:日本で作られた作品ですが、世界中にデボラさんの原作のファンがいらっしゃると思うので、世界中のファンの方々にもぜひ見て頂ければなと思います。

インストール氏:私も世界中のファンに観てもらえたらいいなと思っています。この映画は日本で作られた映画ではありますが、日本を超えてどこの国でも恐らく理解され、好まれるのではないかと思います。映画のスタイルもそうですし、映画の中でのテーマの扱い方もそうです。このテーマは普遍的なものですし、世界中でファンの方が喜んでくださると思いますし、まだファンじゃない方々にも喜んで観ていただけるんじゃないかなと思っっています。

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