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遺書を投函する少女と自傷行為を繰り返す少女のロードムービー PFFアワード受賞作「頭痛が痛い」特報&場面写真

2022年3月27日 08:00

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「頭痛が痛い」場面写真
「頭痛が痛い」場面写真
(c)KAMO FILMS

2018年の東京を舞台に、それぞれ生きづらさを抱える2人の少女の交流を描き、ぴあフィルムフェスティバルのPFFアワード2020で審査員特別賞を受賞したロードムービー「頭痛が痛い」の公開が6月3日に決定、特報と場面写真、ダブル主演のふたりからのコメントが披露された。

第28回新人シナリオコンクールに入選した守田悠人の初監督作。阿部百衣子がいく、モデル・俳優のせとらえとが鳴海を演じる。東京オリンピックに向けて新国立競技場の建設が進む2018年の東京。家庭に不和を抱え、自傷行為や恋愛感情のないセックスを繰り返す高校生・鳴海は、ライブ配信を行うことで自らの心の隙間を埋めようとしていた。一方、鳴海の同級生・いくは、いつも人のことを考え明るく振る舞いながらも憂鬱な気持ちを抱えていた。ある日、鳴海はいくが梶井基次郎の小説「檸檬」のように、自分の遺書を他人の家に投函するところを目撃する。

特報では「死にたさ」を抱えた二人の日常を映すとともに、いくが鳴海のライブ配信を見るという一方通行の関係だったが、その後、互いの心と傷の手当てをし、支え合う関係に発展していくさまを切り取っている。6月3日からアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。

▼コメント全文
■いく役:阿部百衣子
演じたいくは、一言で言うと、過去の自分にものすごく近い子だな、と思いました。
自分はそんなことしたいと思っていないのに、分かりやすく誰かに優しくしたり、人に感謝をされることをする。それがいくにとっての自傷行為で、それを発散するための方法が遺書を投函すること。誰の記憶にも残らずすっと水蒸気みたいにいなくなりたいのに、むざむざと爪痕を残そうとしてしまう、本人も気づいていない「矛盾と葛藤」みたいなものを表現できれば、と思いながら演じていました。
完成した映画を見た時は、不思議な感覚でした。島内いくという架空の人物でもあり、過去の自分を見ているようでした。最後にはどこかで救われていて欲しい、と願いながら見ました。
PFFでこの映画が評価を受けられたということは、まだ世界に救いが残っているということだと思います。「死にたい」はタブーな感情で、表に出すことはなかなかできないかもしれないけれど、決して悪いことではない。誰だって抱いていい感情で、その感情を抱きながらも生きている人がいる。世の中は断絶をし続けているし、人と人は簡単には思いを共有できません。それでも、どこかには「生きていて欲しい」と願う人がいる。綺麗じゃなくても泥臭くてもいいから生きていていい。
人と人との溝が深くなってしまった今だからこそ、見て欲しい映画です。
■鳴海役:せとらえと
鳴海は、一見やさぐれているようだけど、不器用で繊細で傷付きやすく、自分自身の中に色々な葛藤を常に抱えている女の子だと思いました。鳴海は昔の自分と被るところもあり、その頃の事を思い出しながら演じた箇所もありました。
あと、あまり感情を表情に出せないぎこちなさみたいなのを意識しました。
完成した映画を見て、その時の心情だったり、見る度に感想や想いが変わる映画だなと思いました。みんな幸せになって欲しいと思いました。
PFFで審査員特別賞を受賞した際は、良い意味で驚きはしなかったと言いますか、自分の中で特別で大切な映画が評価されて嬉しかったです。ただ少しグランプリを獲れなかった悔しさもありました。
「しんどいな」「死にたいな」と思うことに罪悪感を持ってしまったり自分を責めてしまう人って多いと思うんです。この鬱々としたご時世だからこそ、とかは言いたくないけれど。そういう人たちに観て欲しいし、死にたいなんて思ったことない人にも、「こういう人たちもいるんだ」って知って欲しい。あとは自分を大切にして欲しい。とにかく劇場に足を運んでいただきたいです。

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