監督・加藤紗希×脚本・豊島晴香「距ててて」、5月14日からポレポレ東中野で公開決定
2022年3月15日 20:00
「第43回ぴあフィルムフェスティバル」のPFFアワード2021で観客賞を受賞しほか、「第22回TAMA NEW WAVE」や「第15回田辺・弁慶映画祭」のコンペティション部門に入選するなど、自主映画や若手映像作家の登竜門とされる国内の主要映画祭で高い評価を得た加藤紗希監督「距ててて」が、5月14日よりポレポレ東中野で公開されることが決定。予告編(https://www.youtube.com/watch?v=jzPJPYznOHg)がYouTubeで公開された。
「距ててて」は、映画美学校アクターズコースで出会った加藤紗希と豊島晴香による創作ユニット「点と」が製作した初の長編映画。「第41回ぴあフィルムフェスティバル」に入選した短編映画「泥濘む」(2018)に続き、監督・加藤と脚本・豊島のタッグによる作品で、ふたりは本作の主演も務めている。噛み合わないふたりと、ふたりを取り巻くちょっと変わった人々との日々を描いた4章構成のオムニバスで、同ユニット初の劇場公開作品となる。
加藤と豊島は、コロナ禍で実現可能な少人数での製作・撮影方法を模索。各話、数人の俳優が出演する、1章「ホーム」、2章「かわいい人」、3章「湯気」、4章「誤算か憧れ」のオムニバスの形をとった。俳優ならではの視点から行ったキャスティング、それをもとに当て書きをした豊島の脚本、加藤の俳優に寄り添った演出と、現場で作り上げた時間を活かす編集などが特徴となっている。ユーモア、他人との距離感、時空間の交差といった要素がちりばめられた独特の作品世界は、映画祭で鑑賞した観客や審査員の間に多様な解釈を生んでいる。共演は釜口恵太、神田朱未、高羽快、本荘澪、湯川紋子が出演。
劇場公開の決定に際して、五十嵐耕平(映画監督)、いとうせいこう(作家/クリエイター)、ウスバアミ(TAMA映画フォーラム実行委員)、酒井善三(自主映画監督)、高橋洋(映画監督/脚本家)、前田弘二(映画監督)、松林うらら(女優/プロデューサー)がコメントを寄せている。いとうは「それぞれが不思議な話なのに、底流には人間の確かな生活感がある。映像作品が忘れがちな本当の、当たり前の、汗ばんだ時間が」と評す。
高橋は「家が一つの小宇宙のように感じられ、そこでは事物や訪れる人との不思議な妖怪めいた交感が起きている。実は誰もがよく知っていながら、キャメラが向けられて来なかった感覚の領域に映画は踏み込もうとしているのか。それはあの懐かしく哀切な『第七官界彷徨』の世界に近いとも言える」と述べる。
前田監督は「加藤さん、豊島さんの、なんとも言えない二人の距離感が可笑しくて何度も笑いました。目の前でとんでもない事が起きても、ま、いっか!って思わせる、無敵な力が漂ってて爽快です。どこへ向かうか分からない二人のロードムービーを、このままずっと観ていたい」と称賛。
そして、松林は「伸びやかなシスターフッド映画だった。誰からも惑わされていなかった。彼女たちは、お互いの余白に寄り添おうとしなくても、目には見えない何かで繋がっている。お互いのズレを楽しみ、等身大の関係性を保っている。生き生きとした豊かな時間だった。2人の空間をずっと眺めていたかった」と感想を寄せている。