バイオリニスト・廣津留すみれ氏、紛争地で衝撃の体験 映画「クレッシェンド」に「こみ上げるものがあった」
2022年1月21日 21:00

指揮者ダニエル・バレンボイム率いる楽団をモデルに描いた「クレッシェンド 音楽の架け橋」のトークイベントが1月20日、都内で行われ、バイオリニストの廣津留すみれ氏が登壇。本作の舞台であるイスラエルとパレスチナに、ハーバード大学のオーケストラとしてツアーで訪問した経験がある廣津留氏が、音楽家としての視点で本作を語った。
世界的に有名な指揮者のエドゥアルト・スポルクは、紛争中のパレスチナとイスラエルから若者たちを集めてオーケストラを編成し、平和を祈ってコンサートを開くというプロジェクトを引き受ける。オーディションを勝ち抜き、家族の反対や軍の検問を乗り越え、音楽家になるチャンスを掴んだ20余人の若者たち。しかし、戦車やテロの攻撃に晒され憎み合う両陣営は激しくぶつかり合ってしまう。

廣津留氏は、本作の感想について「胸にグッとこみ上げるものがありました。やはり“対話の大切さ”ということが音楽を通して表現されているなと思いました」と話し、続けて海外の学校に通っていた自身の体験を踏まえて「本当にたくさんのバックグラウンドを持った人たちがいる中で、何も話さないと始まらない。対話をすることでお互いのことが分かり合えてくるのです。こんなに知らないことがあったんだということが増えていく、そんな様子が手に取るように伝わってくる映画でした」と述べる。
大学在籍時には「ハーバードラドクリフオーケストラ」のツアーで、本作の舞台であるイスラエルとパレスチナを訪れたことがあるそう。イスラエルでのコンサート後、パレスチナの音楽院へ現地の学生とセッションをするために向かった廣津留氏は、「イスラエルで演奏してきたあなたたちとは、一緒に演奏することができませんとお断りをされてしまいました。計画になかったことで、すごく衝撃的でした」と振り返り、「音楽でその問題を解決できるのではないかと希望を持っていましたが、反対に音楽は共通言語だという考えが覆されてしまった、音楽を持ってしても敵わないことがあるのだと感じました」と、イスラエルとパレスチナ問題の根深さを語った。

最後に、廣津留氏は「コロナが長引く中で、私たちは段々と自分の国のことしか考えられなくなってしまいがちです。しかし自分の周りにはいろいろなバックグラウンドの人、いろいろな民族、国籍の人がいます。相手を理解しようとする姿勢、対話をしようとする姿勢を忘れずにいきたいと思います」と呼び掛け、トークイベントは終了した。
「クレッシェンド 音楽の架け橋」は、1月28日から全国公開。
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