【ハリウッドコラムvol.315】旅行先のハワイで見た、withコロナの新たな景色
2021年12月3日 15:00
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ゴールデングローブ賞を主催するハリウッド外国人記者協会(HFPA)に所属する、米ロサンゼルス在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリストの小西未来氏が、ハリウッドの最新情報をお届けします。
感謝祭の連休を利用して、ハワイに家族旅行にやってきた。新型コロナが感染拡大してから1年半にわたり自宅待機で頑張ってきたけれど、今秋からロサンゼルスの学校が正式に再開し、かつての日常が戻りつつある。小学生の子どもたちもようやく1回目のワクチン接種を終えたので、そろそろ外の世界に触れさせてもいいのではないかと考えた。なによりぼく自身がハワイに飢えていた。
アメリカ本土からハワイ州に渡航する場合、同州の「セーフトラベルズプログラム」というものに登録する必要がある。渡航者の名前やフライト番号、滞在先などを入力し、出発72時間前のPCR検査の結果、ワクチン接種の証明書をアップロードする。すると、メールでQRコードが送られてくる。ハワイの空港で係員にQRコードを提示すると、10日間の自主隔離が免除され、普通に観光が楽しめる仕組みだ。
セーフトラベルズプログラムのサイトは、いかにも間に合わせで急いで作られたもので、使い勝手が良いとは言いがたい。実際、渡航24時間以内に健康状態に関するアンケートに回答しなくてはいけなかったのだが、それに気づかないままロサンゼルスを出発してしまったため、ハワイの空港で足止めを食らってしまった(30分ほどで手続きが完了し、入島が許された)。
だが、水際対策がデジタルで完結している点は、効率面でも衛生面でも見事だと思う。大量の書類を人海戦術でやりくりしている日本とは雲泥の差である。
ちなみに、11月8日をもって、日本からハワイに直行便で行く場合、セーフトラベルズプログラムへの登録が不要になった。PCR検査の陰性結果と、ワクチン接種の証明書を航空会社に提出するだけで済むようだ。つまり、アメリカ本土に住んでいる人よりも、日本で暮らしている人のほうがハワイに行きやすくなっているのだ。もっとも、帰国便の出発72時間以内にPCR検査を受け、無事再入国したとしても、14日間の自主隔離か、期間短縮のための煩雑な手続きが待っているわけだけれど。
今回の渡航先は、はじめてのカウアイ島だったので、コロナ以前との違いについてはわからない。ただ、連休中だったこともあって、いずれの名所も観光客で賑わっていた。満員の旅客機に揺られているときや、レンタカー屋で長蛇の列に並んでいるとき、人でごったがえしたポイプビーチで場所取りをするときなど、ぼくらは本当にパンデミックの最中にいるのだろうかと疑問に思ったほどだ。
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驚いたのは、アメリカ本土のみならず世界中からやってきた人々がみんな、ルールを守って節度ある行動に徹していたことだ。スポーツ中継をみると、マスクを外して大声をあげているアメリカ人の姿が映し出されるけれど、羽目をはずしている旅行者はひとりもいない。もちろん、海やプールではみんなマスクを外しているけれど──そうしなきゃ溺れてしまうし、マスク型の日焼け跡ができてしまう──、それぞれきちんと距離を保っている。そして、屋内ではみんながマスクを着用している。
これは、水際対策が関係しているのではないかと思う。ハワイに上陸するためには、PCR検査もワクチン接種も必要だ。反マスク、反ワクチン派の人たちにとって、このハードルを越えるのはなかなか難しい(偽造のワクチン証明書を利用して逮捕されたカップルもいる)。その結果、ハワイの観光客は新たな生活様式に適応した人だけということになる。
そういえば、ロサンゼルスでも屋内のサービスを利用するためには、ワクチン接種証明書の提示が義務づけられるようになった。いちいち提示するのは面倒ではあるけれど、その引き替えとして安心して映画やレストランでの食事を楽しむことができる。美容院やジムの利用に関しても同様だ(直近のPCR検査の陰性結果の提示でも大丈夫なので、アレルギーなどでワクチン接種が出来ない人も排除されていない)。ワクチン接種を終えた人にとってみれば、証明書の提示義務化により、安心して活動できるエリアが広がったとも言える。
言ってみれば、ハワイは4島全体が安全なバブルに包まれているようなものだ。プールサイドのデッキチェアーに横たわり、ウクレレの音色に耳を傾けていると、不安がすうっと消えていくのを感じる。きっとすべてうまくいく。オミクロン株であろうと、何が来ようとも。
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